【7/30日本市場の確認ポイント】
日経平均 38,525.95(+0.15%)[38,076~38,531]
TOPIX 2,754.45(▲0.19%)[2,732~2,757]
マザーズ 646.37(▲1.32%)[641~653]
値上がりセクターTOP5
1.不動産(+0.81%)
2.海運(+0.77%)
3.輸送用機器(+0.72%)
4.サービス(+0.56%)
5.電気機器(+0.39%)
値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲1.83%)
2.銀行(▲1.58%)
3.繊維(▲1.06%)
4.金属製品(▲0.79%)
5.機械(▲0.71%)
日本株は日米金融政策転換を見込む円高ドル安が一服し、7/29には日経平均が一時+1,000円幅での急反発をみせるなど先物主導で買戻しの動きが強まりました。昨日も日米金融政策イベントを前に手控えムードの中、半導体株の冴えない動きに引っ張られて下値を試す場面がありつつも自律反発期待の買いが継続。売買代金は29日の大幅高した日を上回り4兆円を超えました。
主力どころの決算シーズン入りでファナック(6954)など決算好感の銘柄はもちろん、決算売りとなった小松製作所(6301)なども物色され、個別株は上下まちまちながらも売買代金が増加している点は好ましい。セクター別には日銀の利上げ観測に伴い売られてきた不動産が買い戻され、一方で金利敏感の銀行株が利益確定売りに押されるなど金融政策にらみのトレードも活発化していると言えます。
日銀の長年にわたる低金利政策がいよいよ転換するにあたり、金利敏感の不動産や新興グロース株が警戒売りに押されやすい局面が続きました。金融政策の変更が日本株にとって一時的にネガティブな影響をもたらす半面、市場ではこれまで着実にそのXデーに向けた織り込みを進めてきたことから、思惑が事実を確認することで上記のようなトレードの逆流が起こり得ます。今後の日本株反転でリターンをもたらすのは円高や金利高でも選好される銘柄であり、埋もれてきた中小型株の躍進が期待されます。
【米国株概況】
米ハイテク決算に地政学リスクが重なり調整加速、4月決算シーズンと同様の展開で押し目好機を演出
NYダウ 40,743.33(+0.50%)[40,529~40,866]
S&P500 5,436.44(▲0.50%)[5,401~5,489]
NASDAQ 17,147.42(▲1.28%)[17,015~17,468]
ダウ輸送株 16,013.3(+0.74%)[15,937~16,177]
半導体SOX 4,887.5(▲3.93%)[4,874~5,119]
日経平均先物(CME) 38,105(▲1.00%)[37,880~38,725]
ドル/円 152.66~155.22(高値161.99:7/3、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 0.999%(高値1.104%:7/3、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.140%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 75.28(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2454.45(高値2,488:7/17、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 4.090(高値5.199:5/20、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.69(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 127.31(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 42(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)78.26 (安値70.30:2022/10/13)
米国市場は主要ハイテク企業の決算発表真っ只中で、高い市場の期待に応えられずに売り反応となる銘柄が株価の重しとなっています。先行した金融株は概ね業績好調を確認するも、ハイテク株は期待のハードルが高くマイクロソフトはじめ主要な半導体企業なども苦戦が目立ち、全体の調整に拍車をかけています。
昨晩は米国株の調整の象徴ともなってきた米半導体大手エヌビディアが競合との競争激化により成長鈍化が懸念されるとしてチャート上のサポートラインを下方ブレイクし大幅安、その他の半導体株にも警戒感が広がり半導体SOX指数は▲4%近い急落となっています。前回の決算売りで注目したテスラも大幅安、日銀利上げ観測のリーク報道でやや持ち直す動きをみせるも主力のハイテク株下落でナスダック、S&P500は下落しました。
個別の決算材料に加えて大型ハイテク株の売り圧力とボラティリティを増大させたのは中東の地政学リスクです。米国の金利は幅広い年限で低下、米利下げ期待を抜きに米金利低下とハイテク株売りが同時に起きていることから投資家のリスク回避姿勢が強まっています。中東情勢は反イスラエルの動きが強まる中で再びイラン勢との衝突懸念が高まっており、まさに4月の市場調整の時と同じような展開となっています。
◆【米国市況】大型株に売り、戦争懸念で国債に買い-ドルは152円台(2024/7/31)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-30/SHG5A5T0G1KW00?srnd=cojp-v2
◆イスラエル、ヒズボラに報復「司令官を殺害」レバノンで(2024/7/31)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR30DYU0Q4A730C2000000/
米ハイテク企業の決算を精査するのはこれからだと思いますが、決算に対する市場期待のハードルが高すぎるだけで実際に業績がすこぶる悪化しているわけでもなさそうです。米国株の調整ムードは6月のエヌビディア株ピークアウトからすでに始まってきたわけで、足元の決算売りはこれみよがしに売るための理由付けに使われているだけという可能性も否定できません。米国での利下げをめぐる議論は今晩の米FOMCおよびパウエル米FRB議長会見を経て、夏場のデータがその裏付けとなる可能性もあることから米国株は押し目買いの好機と言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
日銀利上げのリーク報道も利上げ幅をめぐり警戒緩和に、日銀イベント通過後の自律反発期待で押し目買い
日本市場は日銀警戒の地合い悪化とともに為替円安(円キャリートレード)の巻き戻しによる円高ドル安が一服し、日本株も日経平均を中心に買戻される動きが強まりました。急反発明けとなった昨日も一時は下値を試す場面がみられるも、引けにかけては大きく切り返し、不安定ながらも自律反発狙いの押し目買い意欲はそれなりに健在とみることができます。
足元における日本株の急落を演出してきたのは政府・日銀による金融正常化に向けた地ならし、そして本日の日銀金融政策決定会合で追加の利上げ決定が行われるかに対する警戒感と市場織り込みであったわけですが、昨夜の2時に日経新聞から日銀リークと思われる観測記事が報じられました。内容的にはほぼ確定ともとれる見出し、そして具体的に0.25%に引き上げる案が採用されるとあって為替市場では一気に円高ドル安が進みました。
◆円は1ドル=152円台に大幅上昇、日銀利上げ検討報道-財務官発言も(2024/7/31)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-30/SHGEZKT0AFB400?srnd=cojp-v2
◆日銀が追加利上げ検討、0.25%に 量的引き締めも決定へ(2024/7/31)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB25AMT0V20C24A7000000/
時間外の日経先物も同様に円高株安となり、急落した後は38,000円付近での攻防となっていますが、日銀が今回の7月会合でゼロ回答ではなく追加利上げ、金融引き締めを決定するとあらば足元の下落は正当化されます。しかし、市場では先日の為替ドル円で152円付近、日経平均は37,500円まで下値テストをしており、これには日銀の金融正常化に向けた利上げ幅をめぐり0.25%引き上げとなる可能性もあったことから、上記リークの0.15%利上げ案というのはむしろ過度な警戒感を後退させる形になったのではないかと思われます。
とくに米国市場におけるハイテク株安の地合い悪化した状況下で、日銀利上げリーク報道後の動きは為替ドル安と並行して米国株の買戻しを強めることとなりました。これには日本由来の円キャリートレードの巻き戻し懸念がやや緩和してリスク資産を買い戻す動きの表れとみることができるでしょう。日本株においても日銀利上げ警戒で売り込まれた部分は非常に大きいとみられ、足元ではそれを過度に織り込み過ぎた結果としての日経平均37,500円であったとするならば、すでに底入れとみなしてよいかもしれません。
最終的に重要なのは底値圏での出来高急増がセリングクライマックスのシグナルとなりますが、日銀金融政策決定会合を控えていた直近は様子見ムードも仕方ありません。しかし本日以降は日銀金融政策決定会合を通過して不透明感が解消されますので、押し目買い意欲も高まってくるとみられます。あとは個別株の決算材料や8月の為替円高動向、さらに地政学リスクのゆくえなどが株価変動を大きくすることとなりそうですが、じきに決算シーズンも明けて日本株買いの機運も高まっていくことでしょう。
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