【1/27日本市場の確認ポイント】
日経平均 39,565.80(▲0.92%)[39,520~40,255] 
TOPIX   2,758.07(+0.26%)[2,753~2,781] 
グロース250 638.90(▲0.28%)[638~645] 

値上がりセクターTOP5
1.不動産(+2.55%)
2.ゴム(+2.10%)
3.陸運(+2.09%)
4.鉄鋼(+1.60%)
5.食料品(+1.37%)

値下がりセクターTOP5
1.非鉄金属(▲5.03%)
2.電気機器(▲1.57%)
3.機械(▲0.23%)
4.その他製品(▲0.22%)
5.情報・通信(▲0.19%)

 日本株は日銀が昨年7月に続いて17年ぶりとなる政策金利0.5%への追加利上げを決定、事前にメディアを通じたリーク報道で既成事実化していたこともあり24日の金融政策決定会合後の市場反応はとくに混乱などはみられませんでした。日銀イベント通過後は為替が一時円高に振れるも株式や債券は事前の市場織り込み完了に伴いポジション巻き戻しの影響なども限定的でした。

 また、日銀利上げ警戒の緩和に加えてトランプ関税政策に対する過度な警戒感もやや後退、為替円高や長期金利上昇の一服感を背景に外需セクターおよび中国関連株に買い戻しの動きを加速させました。内需セクターではトランプ政権下でのAI巨額投資および規制緩和への言及によりハイテク株だけでなく電力インフラ株への物色意欲を再び刺激した格好となりました。

 日銀利上げ警戒がひと段落したことにより最も投資家のリスクテイクを後押しするとみられるのが新興市場で、グロース250指数は大幅反発で640pt回復。主要株式指数が昨夏以降のレンジ上限を突破できるか注目される中、日経平均は40,000円の大台を一時回復したものの中国発の生成AIディープシークが脅威と伝わり急反落。直近で急騰を演じていた半導体や電線株などにしてみれば利益確定売りの口実になりました。

【米国株概況】
米金利上昇一服とトランプ政策への期待でハイテク株上昇から一転、中国発AI競争の激化が米中対立に拍車をかけるか影響注視

NYダウ 44,713.58(+0.65%)[44,026~44,727]
S&P500 6,012.28(▲1.46%)[5,962~6,017]
NASDAQ 19,341.83(▲3.07%)[19,204~19,514]
ダウ輸送株 16,848.7(+1.46%)[16,568~16,901]
半導体SOX 4,853.24(▲9.15%)[4,785~5,045]
日経平均先物(CME) 39,060(▲1.06%)[38,655~40,395] 
ドル/円 153.72~156.25(高値161.99:7/3、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 1.206%(高値1.26%:1/15、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.532%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 73.11(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2772.66(高値2,805:1/27、安値1,618:2022/11/3)【高値更新】
銅先物 4.243(高値5.199:5/20、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.90(高値65.73:2024/8/5)
SKEW指数 173.16(安値110.34:2022/11/3、高値180.09:12/24)
Fear&Greed指数 39(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)79.81(安値70.30:2022/10/13)

 米国市場は金融機関を皮切りに企業決算が本格化する中、トランプ米大統領が巨額AI投資や暗号資産をめぐる規制緩和を積極推進するなど米ハイテク企業の技術覇権争いを後押しする野心を明らかにしたことでハイテク株が上昇を牽引。S&P500は史上最高値を更新したほかナスダックも高値トライの動きにつながりました。

【米国市況】株続伸、トランプ氏演説が後押し-円買われ一時155円台(2025/1/24)
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 また、ダボス会議に出席したトランプ米大統領はOPECに原油価格の引き下げを要請すると示唆したほか、金利について米FRBへ即時引き下げを要求すると発言するなど改めてトランプ政策期待を高め、市場先高観を支援する姿勢を示しました。米金利上昇がピークアウトした1月中旬以降の相場はリスクオンを続けてきましたが、週末にかけては米FOMCも迫ってきたところで利益確定売りを交えた様子見姿勢も強まりました。今回は追加利下げ見送りが濃厚との見方が大勢を占める一方、今後のトランプ政策の行方や金融政策も前回取り上げたように利下げサイクルの継続に疑問符が付き始めたことにより先行き不透明感を反映して金(ゴールド)価格が再び上昇を強めています。

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 米国株のパフォーマンスを左右する米ハイテク株は好調が期待される一方、生成AI開発競争をめぐる巨額投資の負担が大きいことが懸念ともなっています。株価が最高値圏に位置している銘柄が多いためバリュエーションの伸長を正当化できるかが決算で問われることになり、AIとテクノロジー主導の強気相場がサイクルのピークに達しようとしているのか、あるいはまだ始まりなのかを見極めどころにもなります。

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 米国内において生成AI開発をめぐる競争が熾烈さを増す一方、昨日急に飛び込んできたのは中国発の生成AIディープシークのAIモデルが非常に安価でオープンソース方式であると同時に性能も米オープンAIや米メタのモデルにも引けをとらないとの喧伝が広まり、市場でも大きな動揺を誘いました。米国株は時間外の先物市場で大幅安となり、本則市場においてもエヌビディアの▲17%安を筆頭に主力の半導体株が軒並み大幅安を演じ半導体SOX指数は▲9%超の暴落商状、ナスダックも▲3%と大幅反落となりました。くしくもAI競合の半導体やハイテク企業はこれから決算発表を迎えるところでしたが、手前側で利益確定売りを迫られる格好の口実を得たことにより投資家は一斉に出口に集中する結果となってしまいました。中国AI企業をめぐっても実際の評価はこれからといったところかと思いますが、半ば強制的にAI相場の仕切り直しを迫られた形となりましたが、リスクオフから米金利の低下を後押ししたことは押し目待ちの投資家にとっては好機が巡ってきたとも言えそうです。

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 他方、中国ディープシークの脅威は殊更に大袈裟に伝えられている印象があり、米国ビッグテックにおける開発競争や業績評価を脅かすか問われれば市場反応は過大と言わざるをえないでしょう。しかし、トランプ米政権にとっては対中強硬派による中国敵視政策を推し進める口実ともなり得る話で、今のところは中国への関税政策や渦中のティックトックをめぐる措置においても穏健な対応をみせているトランプ米大統領が姿勢を硬化させるきっかけになっていくのか、米企業のファンダメンタルとは別の観点でよくよく注視しておく必要があるとも考えます。

【日本株投資戦略】
中国ディープシークショックは押し目買い好機、日銀リスク消化し2025年相場の本格始動はまさにここから

 日本市場は日銀イベントを波乱なく通過したことで改めて投資家の買い安心感を後押しするとみられ、今週から企業決算も本格化して個別株物色が活発になりそうです。米大統領就任式や日銀会合を待っていた投資家もリスクを取りやすくなり、ようやく日本株の売買高も膨らむかが期待されます。

 日銀会合直後の市場反応はイベント前に積極的にリスクテイクしていった投資家を中心に材料出尽くしの利益確定売りや年初来で高値掴みしたポジションにとって戻り売りの場になったとみられる一方、イベント通過後の押し目買いを狙っていた待機資金も多いと推察され日経平均の38,000円~40,000円のレンジが未だ有効に機能しているとみられます。重要イベント通過で市場参加者が動き出してくるとみられるため日本株もようやく新年相場スタートが期待されるところでしょう。

【日本市況】円が上昇、日銀利上げ決め物価見通し引き上げ-債券下落(2025/1/24)
【日本株週間展望】上値重い、円高進行警戒-重要日程終え買い安心感(2025/1/24)

 週明けの27日は週末の時間外取引で先物が上昇していたこともあり、日経平均は40,000円を突破して始まりましたが値がさの半導体株を中心に寄与度の大きい主力株が下落したことで日経平均は反落。先物ベースでの下げ幅は▲1,000円を超えて指数の重しとなりましたが、そこに中国AI企業ディープシークの脅威で米株先物が急落する動きに連れ安し下げ幅を拡大した形となりました。

 今回は日銀イベントを無難に通過できたかと思いきや案の定というべきか、またしても足元をすくわれた形となってしまいました。リスクオフの動きから為替が円高に傾いたことも半導体企業だけでない日本株の売り材料として意識されました。昨夏の令和版ブラックマンデーの再来という程にはパニック売りに至らず、円キャリーポジションの巻き戻しも限定的とみられますが、影響を精査する上ではまだしばらくの間は余韻をひきずることになりそうです。ただ、中国と米国の技術覇権をめぐる競争はトランプ政権にとって交渉材料に位置づけられるもので、日本企業は米中対立の激化が懸念される中でも両者にビジネスできる立場にあるためファンダメンタル上で深刻な打撃となる可能性は低いとみられます。

 問題は市場の流動性懸念に端を発するパニック売りのような事態が引き起こされるかであり、昨夏のような暴落商状は極めて稀ですので為替市場で極端な円高反応に陥るようなことがなければ円キャリートレードの巻き戻しに伴う異様なリスクオフとはならず、むしろハイテク株のバーゲンハンティングには好都合と言うべきタイミングかと思われます。

 他方、日銀の追加利上げに対する市場反応は事前リークを通じたコミュニケーションがあって限定的なものにできたと評価できる一方、日銀のタカ派姿勢は変わらず市場の金利先高観が燻ったままの状況がしばらく続くものと思われます。米金利の低下余地とともに日銀もしばらくの間は追加利上げに時間的猶予があると考えられるため日本の金利上昇が抑えられている間が次の株高局面を演出することになろうかと思われます。ただし、日銀の利上げサイクル継続および日本経済のデフレ脱却を実現する過程で日本国債の信用リスクを危ぶむ声も挙がってきていますので、日本株のリターンに期待する一方で思わぬ金利上昇リスクに市場が動揺しやすくなっている現状もきちんと認識しておく必要があると考えます。

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