【7/2日本市場の確認ポイント】
日経平均 40,074.69(+1.12%)[39,457~40,113]
TOPIX 2,856.62(+1.15%)[2,822~2,860] 【高値更新】
マザーズ 646.04(▲0.49%)[644~651]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+3.69%)
2.鉱業(+2.98%)
3.保険(+2.97%)
4.精密機器(+2.52%)
5.証券・商品先物(+2.47%)
値下がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(▲1.23%)
2.鉄鋼(▲0.18%)
3.なし
4.なし
5.なし
日本株は大型バリュー株を中心に騰勢を強め、TOPIXが2800pt超えから一段高し年初来高値を更新。日経平均も3月以来となる40,000円台を回復するなど上値期待を高める動きとなりました。6月末より配当再投資買いや月末月初のリバランス需要も相まって売買代金が4兆円超えを記録する日もみられ始めました。
上昇の中心セクターは銀行・保険などの金融株、さらに円安恩恵の電機・商社株のほか、直近では海運や商社、エネルギーといった資源株が騰勢を強めています。国内外で長期金利の上昇がややグロース株には売り圧力となっており、半導体や不動産など金利敏感株の動きが冴えず、新興グロース市場もここにきて急減速となっています。
主力株では半導体の東京エレクトロン(8035)が引き続き停滞する中でもアドバンテスト(6857)、TDK(6762)、ソフトバンクG(9984)などが強い上昇トレンドにあり、日経平均の押し上げに寄与しました。決算シーズンが近づく中でファーストリテイリング(9983)、安川電機(6506)などが幸先よいスタートダッシュを切って業績期待の復活、ひいては売買代金の高水準に繋げていくことができるかが焦点となりそうです。
【米国株概況】
米経済指標悪化でディスインフレ進展期待の株高、トランプ候補優勢とともに育てられるインフレ再燃の芽
NYダウ 39,331.85(+0.41%)[39,085~39,340]
S&P500 5,509.01(+0.62%)[5,458~5,509]
NASDAQ 18,028.76(+0.84%)[17,802~18,031] 【高値更新】
ダウ輸送株 15358.3(+0.39%)[15,158~15,376]
半導体SOX 5,544.9(+1.24%)[5,442~5,546]
日経平均先物(CME) 38,710(▲0.08%)[38,375~38,965]
ドル/円 158.78~159.91(高値160.03:4/29、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 1.095%(高値1.100%:5/30、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.428%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 83.03(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2339.25(高値2,454:5/20、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 4.429(高値5.199:5/20、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)12.03(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 147.16(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 50(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)76.93(安値70.30:2022/10/13)
米国市場はバイデン・トランプ両大統領候補によるTV討論会を経て、いずれの候補が勝っても財政拡大の懸念が強まるとの見方から米金利は上昇、米株市場では討論会の内容を受けてトランプ氏優勢との見方から早くもトランプ政策の候補株を物色する動きにも繋がっている模様です。
◆トランプ氏返り咲き予想上昇、早くも米株市場で勝ち組探し-討論会後(2024/6/29)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-28/SFT492DWLU6800?srnd=cojp-v2
直近の米経済指標では6月末のPCE価格指数がCPI・PPIの下振れに因んで事前予想どおりにインフレ鈍化を示唆、ISM製造業指数も弱含みが継続ですが、米金利上昇に弾みがついているのは米大統領TV討論会や欧州の政局混乱などに起因している面がありそうです。前回のエヌビディア株ピークアウトを指摘した記事を取り上げましたが、足元ではエヌビディアに代わって旧来の成長株の代名詞であったマグニフィセント7の他銘柄が上昇でこれをカバーし、ナスダックは最高値圏を維持しています。
◆米PCEインフレ鈍化で米国債が上昇、年内米利下げ観測を後押し(2024/6/28)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-28/SFSJIXDWRGG000?srnd=cojp-v2
6月に入り米経済指標の悪化が目立つようになってきたものの、米FRBは利下げを先送りする代わりにQT(量的引き締め)減額によって市場の流動性を支えています。また、4月のようにハイテク株の調整地合いが深まる際には株価維持のオペレーションとしてレポ資金供給なども機動的に行っていくものと思われ、現在は決算前に伴うブラックアウト期間で米企業は自社株買いをしづらい状況であることをふまえますと、この間における自律調整の衝撃をできるだけ緩和させながら自社株買い再開につなげていきたいところでしょう。
6月後半の地政学情勢では、イスラエルやウクライナに対しても和平交渉や国際会議など一定の進展期待がありましたが、これらが奏功せず足元ではむしろ戦況悪化の懸念も含めて米国は覇権存続のために戦争経済をより回していくことを選択したとみられます。これによって米国は米ドルを増刷する理由づけができます。インフレ退治は一段と遠のくことになりますが、インフレ期待を繋ぎとめることで実質金利を低下させ、結果的に米景気悪化をも米株高の資産効果で相殺し、表面的にでもソフトランディング実現をアピールする公算です。裏では当然ながら米国民の格差はさらに拡がり、バイデン政権に不満を持つポピュリズムが蔓延する政策的矛盾を孕んでいる現状です。これがさらに進むならば、米大統領選に向けて米国内ではさらなる混乱と分断が待ち受けることになりそうです。それでも金融市場は楽観的な株高が続くのであれば文句なしと割り切って進んでいく可能性もあり、ひとまずはこの7月を無事乗り切ることが肝要です。
◆米景気鈍化示す統計続々、高金利や長引くインフレが影落とす(2024/6/28)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-27/SFR903T0AFB400?srnd=cojp-v2
◆底を突いた余剰貯蓄、米経済に忍び寄る個人消費急減速の足音(2024/6/28)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-27/SFQMJOT0AFB400?srnd=cojp-v2
【日本株投資戦略】
歯止めの効かない円安が進む中で日本国債に信用不安の影、バブル的な株高と将来のデフォルトを綱渡りするチキンレースに
日本市場は為替円安に歯止めがかからない中、円安追い風の外需株に業績上振れ期待の買いが強まるかが注目されます。為替感応度の高い代表である自動車セクターが認証不正の問題で低迷しておりましたが、足元では徐々に買い戻しの動きもみられるとともにTOPIXも年初来高値を更新。
日経平均も直近で急速に上昇して40,000円の大台を回復、相変わらず半導体株の低迷からその他のバリューセクターに堅調な動きが確認できます。39000円半ばを突破した後の上げ足の速さはショートカバーとみられる上昇ながらも、売買代金が注目してきた4兆円超えをクリアしたことは朗報です。海外勢のオプションポジション次第ではコール買いとともに先物買戻しが勢いを増す可能性もあるでしょう。
しかしながら、目下の懸案は通貨当局もけん制発言を続ける為替動向です。株価が上昇している間はまだ良いものの、日本国債の長期金利と為替円安の深耕は日本における将来の財政不安を映す動きであるかのようです。市場ではイギリスやフランスの混乱を目の当たりにした以上、警戒する向きがいつ強まっても不思議ではなくなりました。とくに日本は前回のGW為替介入時に他のG7諸国とも為替問題を議論しましたが、とくに米国の賛同が得られず結局は単独介入に至り、効果も一時的なものにとどまりました。
前回取り上げた記事に米財務省による日本の為替操作をめぐる監視リスト入りがありましたが、米国は日本がつまるところ財政ファイナンスしか打ち手がない現状を認定したようなものです。そのような中、財務省は先日の為替介入を指揮した神田財務官を退任させる人事を発表し、当の神田財務官におかれては日本の国債格付け、すなわち日本そのものの信用力が問われる段階にきていることを示唆しました。これはつまり、政府の借金が膨らんだ現状での日本の金利上昇が日本財政を圧迫し、やがては日本国債のデフォルトを引き起こす可能性につながっていく話です。
◆市場介入を指揮 神田財務官 7月末付けで退任へ 財務省(2024/6/28)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240628/k10014495271000.html
◆神田財務官、金利一段高で国債格付け動向に注意-私的懇談会で報告書(2024/7/2)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-02/SFZOC5T1UM0W00?srnd=cojp-v2
さらに日本のマクロ経済統計をめぐっても統計不正で従来よりさらにGDP悪化が伝えられるなど、日本に対する信頼の揺らぎが鮮明となってきました。これらと政治不正や大企業の不祥事なども相次ぐ中、日本の国債、通貨の売りが偶然重なっただけと考える人はおそらく楽観が過ぎるでしょう。米国と同様、日本株が上昇するのと景気認識が改善しているかどうかはもはや別次元の話となっています。
◆1〜3月期GDP、実質2.9%減に修正 建設統計の改定反映(2024/7/1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA300C60Q4A630C2000000/
◆建設統計でミス、景気判断の信頼揺らぐ 改善策効かず(2024/7/1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA0114D0R00C24A7000000/
前回も指摘したように、日本株の上昇は先んじた欧米にならいインフレを原動力とした株高が演出される可能性があります。ただ、実体経済すなわちファンダメンタルの改善から大きく逸脱したような株価上昇は資産バブルとなり、いずれは日本国債のデフォルト騒動とともにバブルがはじける瞬間が訪れる可能性があるということです。
◆「インフレ税」シナリオの現実味 円安が試す利上げ耐性(2024/6/30)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB277RB0X20C24A6000000/
日本はちょうど本日7/3から新紙幣の流通が始まるわけですが、そう遠くない将来で日本円の価値そのものが見直される必要がでてくるかもしれません。だからこそ長年にわたる金融・マクロ経済運営を誤ってきた政治の変革が求められるところで、自民党内における派閥政治の解消と新たなリーダーシップ誕生が求められるのは必然の流れと言えるでしょう。くしくもイギリスやフランス、さらには米国においても政権与党の支持基盤が大きく揺らいでいる現状、これ以上の混乱を食い止めるには次のリーダーシップに託す必要があるところまできているのだと思われます。つまり、2024年後半はまさしく選挙相場がその中心であり、新たな政治、新しい時代の風を期待する声が強まっていくことで株価の上昇機運も高まっていくことになるのでしょう。
◆自民・麻生氏「禍根残す改革はダメ」 規正法改正巡り(2024/6/16)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA162010W4A610C2000000/
◆麻生派議員が岸田首相退陣論 「責任誰かが取らねば」(2024/6/16)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA162PI0W4A610C2000000/
◆首相が負う規正法の代償 麻生氏と溝、維新取り込み頓挫(2024/6/19)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA160T70W4A610C2000000/
◆首相批判、自民党内から噴出 「このままでは政権交代」(2024/6/24)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA233900T20C24A6000000/
◆菅前首相「岸田首相も責任取るべきだった」 月刊誌で言及(2024/6/26)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA263K20W4A620C2000000/
◆石破元幹事長、自民総裁選に立候補へ 党立て直しのため世論受け判断(2024/6/28)
https://www.asahi.com/articles/ASS6W3WFRS6WUTFK01CM.html
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