【5/23日本市場の確認ポイント】
日経平均 39,103.22(+1.26%)[38,617~39,129]
TOPIX 2,754.75(+0.64%)[2,722~2,757]
マザーズ 615.48(▲1.47%)[614~627] 【安値更新】
値上がりセクターTOP5
1.電気機器(+1.89%)
2.機械(+1.70%)
3.繊維(+1.60%)
4.保険(+1.47%)
5.精密機器(+1.42%)
値下がりセクターTOP5
1.石油・石炭(▲1.24%)
2.鉱業(▲0.80%)
3.非鉄金属(▲0.70%)
4.不動産(▲0.69%)
5.その他製品(▲0.22%)
日本市場は市場注目の米半導体エヌビディア決算を好感した半導体関連株が一斉高し日経平均は39,000円台を回復。とくに生成AIブームの恩恵が期待されるレーザーテック(6920)やアドバンテスト(6857)、ディスコ(6146)、ソフトバンクG(9984)などが大幅高して日経平均を押し上げました。
その一方、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり865/値下がり723と日経平均の上昇幅の割には値下がり銘柄も多く、TOPIXはじめ中小型株の上昇は鈍かった模様。日本の長期金利が1%付近の攻防で金利上昇警戒が重しとなる中、小型グロース株は逆行安となりグロース250指数は昨年10月安値のサポートラインを割り込む展開。
昨年末から年初にかけての半導体一強相場の再現とも言える状況の中、同じ半導体セクター内でも強弱が分かれる展開で選別色はより一層強まった印象。半導体株に物色資金が集中する形で東証の売買代金は4兆円台半ばまで増加したものの、以前の半導体・AIブーム時と比べてまだまだ物足りない水準です。金利高警戒が日本株の逆風となる中、まだまだ慎重な投資家姿勢が浮かび上がっています。
【米国株概況】
エヌビディア好決算で急騰もそれ以外が総崩れ、強い経済指標が3連休前のポジション調整売りを加速
NYダウ 39,065.26(▲1.52%)[39,025~39,694]
S&P500 5,267.84(▲0.73%)[5,256~5,341] 【高値更新】
NASDAQ 16,736.03(▲0.39%)[16,678~16,996] 【高値更新】
ダウ輸送株 15,008.9(▲1.22%)[14,945~15,220]
半導体SOX 5,126.0(▲0.02%)[5,082~5,255]【高値更新】
日経平均先物(CME) 38,560(▲1.38%)[38,425~39,190]
ドル/円 156.52~157.19(高値160.03:4/29、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 0.992%(高値1.000%:5/22、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.481%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 76.98(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2330.65(高値2,454:5/20、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 4.775(高値5.199:5/20、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)12.77(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 153.33(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 54(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)76.82(安値70.30:2022/10/13)
米国市場は米半導体大手エヌビディアが好決算をうけて一時2ケタ上昇となる急騰を演じる傍ら、それ以外の銘柄が総崩れとなりNYダウが▲600ドル超安の続落。S&P500、NASDAQも最高値更新をした後に利益確定売りが圧倒し、半導体SOX指数においてもエヌビディアの大幅上昇分を打ち消してしまいました。
元々、米国株の主要3指数はいずれも史上最高値更新で高値警戒感がありましたが、S&PグローバルのPMIが製造業、サービス業ともに予想を上回った結果を公表したことで米FRBの利下げ期待が後退、これに米金利が敏感に反応して急伸し株売りを誘発しました。楽観的だったVIX指数も11pt台から急伸して一時13pt台をつけるなど、これまで人気化していたボラティリティショートトレードが巻き戻しを迫られる動きにもなっています。
◆米総合PMIが上昇、22年4月以来の高水準-インフレ再加速(2024/5/23)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-23/SDXYLFDWLU6800
強い経済指標が金融市場にとってはかえって逆風となり、米エヌビディア決算を通過して一安心したマーケットに再び懸念が持ち上がった格好ですが、米国市場は来週月曜日がメモリアルデーで休場となるカレンダーから週末にかけての持ち高調整売りが急がれたものとみられます。ここに至るまでの米エヌビディア決算の注目度が非常に高かっただけに、ひとまず緊張の糸が解けたような状態で次は月末のPCEが米FRBの最重要視するインフレ指標として大きな焦点となります。
最近のインフレ関連指標の下振れが相次いだ一方、高止まりしている住居費や依然として底堅い個人消費、雇用状況などから米FRBが求めるディスインフレを裏付けるデータで利下げ期待を刺激するかがカギとなります。米国株にとって足元の金利水準でとどまっている間は上昇期待が継続するとみられ、6月FOMCまでにこうした高値波乱をはさみながらも上値を伸ばしていけるかが注目されます。
【日本株投資戦略】
エヌビディア決算好感で日本市場でも半導体株買いが加速、半導体・AIバブルにはまだまだ物足りない売買代金
日本市場は米半導体エヌビディア好決算の連想買いから半導体相場で日経平均の39,000円台を回復、値がさ半導体株の日経平均寄与度も大きいだけに指数インパクトは絶大でしたが、その他セクターにまで好影響が及ぶというわけにはいきませんでした。東証プライムでは値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を上回りましたが、スタンダードやグロース市場では反対に値下がり銘柄数が優勢となっており、引き続き日本の長期金利1%接近が重しとなっています。
日本の債券市場では日銀がマイナス金利解除以降も国債買入オペを継続してきましたが、足元ではこれを減額する方針を示唆しており、この観測が日本の金利上昇圧力となっています。債券プレーヤーは将来の金利先高観から国債買いを手控える一方、期間の長いものから短いものにシフトさせつつ日銀の利上げタイミングをめぐり当局とにらめっこしている状況と言えます。また、事業会社なども日本の金利上昇が始まる前に社債で資金調達を済ませようと大型起債が相次いでいる状況で、市場の流動性の奪い合いとなっているのも金利上昇の一因と言えるでしょう。
◆日銀買い入れオペ、1年超3年以下が札割れ-異次元緩和以降で初(2024/5/23)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-23/SDX590T1UM0W00?srnd=cojp-v2
◆MUFG、AT1債の起債を9月以降に後ろ倒し-従来7月以降(2024/5/23)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-23/SDX65KT1UM0W00?srnd=cojp-v2
日本株市場においてはこうした金利上昇圧力と向き合っていかざるを得ない状況はまだ始まったばかりで、これまで欧米が利上げサイクルで通ってきた道を辿っていくことになります。その点では株売り圧力はある程度止むを得ない事情と言え、その影響はとくに利上げ開始の前後が最も大きくなりがちです。加えて、現状では日本株だけでなく日本国債、日本円も売られてトリプル安の状況ですから事実上の日本売りと言える様相となっています。半導体・AIブームだけでは売買代金が物足りないレベルですから、さらなる刺激材料が必要です。
◆資産運用特区、首相「構想を具体化」 近く首長と面会へ(2024/5/22)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22AAR0S4A520C2000000/
◆岸田首相、資産運用特区「創設に加速」 モルガンS投資家イベントで(2024/5/22)
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/I3BKEP4UZVPZLGMNIXXZ4I27QQ-2024-05-22/
そのような中、岸田政権はこれまで温めてきた金融・資産運用特区の創設について6月上旬にも構想を具体化させると発表しました。ちょうど昨秋のニューヨーク講演でこの話が出てきた時にも日本株は手ひどく売られましたが、その後の海外勢による資金流入が強烈で日経平均は平成バブル最高値を更新したことは記憶に新しいことと思います。日銀の政策修正警戒に怯まず日本株買いが再開されるタイミングに向けて今は丹念に仕込んでいく時でしょう。
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