【4/12日本市場の確認ポイント】
日経平均 39,523.55(+0.21%)[39,457~39,774]
TOPIX 2,759.64(+0.46%)[2,750~2,768]
マザーズ 687.37(▲0.68%)[687~696]
値上がりセクターTOP5
1.不動産(+5.02%)
2.その他金融(+1.25%)
3.ガラス・土石(+1.09%)
4.水産・農林(+0.96%)
5.食料品(+0.89%)
値下がりセクターTOP5
1.石油・石炭(▲0.78%)
2.小売(▲0.65%)
3.電気・ガス(▲0.50%)
4.海運(▲0.27%)
5.鉄鋼(▲0.22%)
日本市場は米ナスダック最高値更新をうけてハイテク株主導の下で反発、先導株のレーザーテック(6920)が大幅高となったほか、株主還元強化を大々的に発表した三井不動産(8801)に刺激を受けた不動産株が軒並み急騰を演じました。一方、決算売りで大幅安となったファーストリテイリング(9983)が日経平均を大きく押し下げたほか、4月オプションSQ算出後の手仕舞いにより後場は全体に上昇幅を縮小する動きとなりました。
日経平均は25日移動平均線にタッチするも戻り売りで上値が遮られ40,000円回復には至らなかった一方、TOPIXは決算期待や株主還元強化に向けた評価が高まっている内需株を中心に底堅さをみせて25日移動平均線を上抜けてきました。新年度の期初売りに伴う需給悪化が尾を引いている形でまだ全体としての上値が重い中、一部の材料株には積極的な買い意欲も復活しつつあります。低迷気味だった売買代金も底打ちの兆しが感じられ、アク抜けにはあと一歩までに迫ってきた印象です。
主力株にようやく復活の兆しが出始める中、中小型株の回復は後回しになっても致し方ない状況と言えますが、一部の材料株・テーマ株には急騰を演じる銘柄も散見されます。ファンダメンタルが脆弱な新興株は決算警戒で売り圧力が強くなるのは当然と言える一方、決算売りで急落した生成AI関連株のABEJA(5574)は朝方のストップ安気配から手前で寄り付いた後に一転して急反騰をみせるなどし、決算シーズン特有の波乱相場の中にも大きな投資チャンスが潜んでいることが浮き彫りとなりました。
【米国株概況】
中東リスクにインフレ再燃と警戒材料が相次いでリスク回避、米納税シーズン期日を迎えて調整一巡から反転へ
NYダウ 37,983.24(▲1.24%)[37,877~38,319]
S&P500 5,123.41(▲1.46%)[5,107~5,175]
NASDAQ 16,175.09(▲1.62%)[16,125~16,341]
ダウ輸送株 15,498.1(▲1.59%)[15,425~15,636]
半導体SOX 4,745.0(▲3.29%)[4,735~4,819]
日経平均先物(CME) 38,865(▲1.73%)[38,790~39,965]
ドル/円 152.58~153.38(高値153.38:4/12、安値127.46:2023/1/3)【高値更新】
日10年債利回り 0.841%(高値0.975%:2023/11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.517%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 85.45(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2360.20(高値2,448:4/12、安値1,618:2022/11/3)【高値更新】
銅先物 4.316(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.31(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 142.31(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 46(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)76.37(安値70.30:2022/10/13)
米国市場はインフレ指標上振れで米FRBによる早期利下げ期待が後退する中、中東地域における地政学リスクの高まりを受けて主要株式指数はそろって下落。一方で、上昇基調にあった原油や金(ゴールド)などが直近の高値を更新したほか、為替市場では「有事の米ドル買い」も意識されて米ドル一強となり、ドル円相場は153円台にまで騰勢を強めてきました。
債券市場ではインフレ再燃懸念から米FRB利下げに対する先送り観測も強まり、最初の利下げ時期をめぐっては6月から9月にずれ込むとの見方が優勢となりました。中東情勢の混乱だけでなく、マクロ経済指標においても3月輸入物価の上昇やミシガン大消費者信頼感指数の発表における期待インフレ率の予想比上振れなどがそれを裏付けるデータとなっていることによるものです。
◆米消費者センチメント、予想以上に悪化-物価高への不満浮き彫り(2024/4/12)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-12/SBU1LVT0G1KW00?srnd=cojp-v2
各メディアを通じて中東情勢の緊迫化が伝えられる中、リスク指標のVIX指数が一時19pt台にまで急騰、F&G指数も一気に「NEUTRAL」の下限水準まで低下するなどリスク回避の動きも強まりました。ただし、これまでも再三指摘してきたとおり米株市場では来週15日まで納税シーズンに伴う換金売り需要があり、中東情勢はじめ地政学リスクに対する警戒もある程度想定できたものであることから、きっかけの一つに過ぎないものと言ってもよいでしょう。
◆イランの攻撃実施、市場に新たな波乱リスク-警戒される報復の連鎖(2024/4/14)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-14/SBXM5WDWLU6800?srnd=cojp-v2
◆イスラエル、イランとの対立で新局面-代理勢力だけでなく直接対峙も(2024/4/15)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-14/SBXP8ZDWX2PS00?srnd=cojp-v2
投資家心理の悪化に伴うリスク回避の動きは今週も引きずる可能性があるものの、その大部分は週明けで織り込まれるものと考えられマーケットは「陰の極み」に達してくるものと思われます。他方、これからの展開可能性で注意しなければならないのは米企業の決算シーズン入りに移ってまいります。先行した米銀大手行が大きく売られて幕開けしたことから米株における決算期待を繋ぎとめられるかが焦点となります。個別株では決算材料が相次ぐことによって市場の目線はマクロからミクロに移っていくとみられ、年初からの米株上昇を支えてきた半導体・AIブームの行方や市場の期待を裏切って下落してきたアップルやテスラなど指数影響度の大きいハイテク株の動向に注目しておきたい場面です。
【日本株投資戦略】
中東地政学リスクの激化を世界で最初に織り込む日本市場、訪米を終えた岸田首相の次の一手に注目
日本市場は前週末の米株安に加え、この週末に大きく注目を集めた中東のイラン・イスラエル戦争懸念により緊迫した地政学リスクを世界で最初に織り込むこととなります。時間外の日経先物ではすでに39,000円割れとなっているだけに、朝方の寄付直後は売り先行でスタートしてくることが目に見えており、今後のイラン報復に対するイスラエルの報復が助長されていき最終的に中東戦争に至ってしまうのか?という懸念が投資家のリスク回避を促すものとみられます。
とはいえ、当塾ではすでにこの地政学リスクによる急落局面が訪れるであろうことは指摘済みであり、「戦争は買い」であるという相場アノマリーにしたがって本日以降の数日間はまさに天与の買い場と言える場面と考えます。中東情勢における混乱が長引く可能性についていろいろ議論や懸念もあるかと思われますが、市場としては今がまさに悲観の極みに達しているところであり、いざ開戦となれば大きく反発するのが相場の常識ということを肝に銘じておくべきでしょう。
市場動向に即して解説を加えるならば、3月の時点よりすでにこの地政学リスクは織り込みが進んでいく中、原油や金(ゴールド)などが騰勢を強めてきた経緯があり、前週末の米市場では安全資産である米国債買い、金(ゴールド)買いが強まり、米長期金利は低下して一時4.5%割れ、金(ゴールド)は史上最高値更新となった後に急速に売られる結果となっています。ひとまずはこれらの地政学リスク激化に対するトレードがピークを迎えたとの認識でよいかと思われます。
次なる展開としまして、まずは日米首脳会談を終えた岸田首相が帰国の途についたことにより国会内で日米首脳会談の結果報告がなされることになります。国会会期も後半戦にさしかかる中で政治資金問題の議論が深まっていくことにばかり焦点が当てられていますが、外交でポイントを稼いだ岸田政権が攻勢に転じようとしていくかが見ものです。
◆日米双方の投資促進が重要との認識、米国内で党派超え広がり=岸田首相(2024/4/12)
https://jp.reuters.com/world/us/RXFONG6NEZPUDDNMG4KRZQWW74-2024-04-12/
◆岸田首相、訪米の外交的成果をアピール-韓国とは引き続き連携(2024/4/13)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-13/SBV0J8T0AFB400?srnd=cojp-v2
市場の先行きに関してましては、ひとまず地政学リスクの高まりを受けた売り仕掛けの下、個人投資家の信用買いが高く積み上がっている需給が整理され、目先のボトムを確定させる動きとなるでしょう。市場急落に動揺して投げ売りする個人のポジションをバーゲンハンティングしようと狙っているのは海外勢というのは言うまでもなく、日米ともに企業決算シーズンがこれから本格化してくることを見据えてのオペレーションと考えてよいでしょう。4/8相場展望からの繰り返しになりますが、「戦争は買い」であり、海外勢とともにこの押し目買い好機を活かさない手はないと言えるでしょう。
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