【4/5日本市場の確認ポイント】
日経平均 38,992.08(▲1.96%)[38,774~39,274]
TOPIX 2,702.62(▲1.08%)[2,679~2,706]
マザーズ 691.04(▲0.74%)[681~692]
値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+3.50%)
2.非鉄金属(+2.93%)
3.鉱業(+2.51%)
4.保険(+1.77%)
5.金属製品(+1.65%)
値下がりセクターTOP5
1.空運(▲1.43%)
2.水産・農林(▲0.75%)
3.鉄鋼(▲0.48%)
4.陸運(▲0.04%)
5.なし
日本市場は日経平均採用の主力銘柄が下落を主導しNT倍率は低下、日経平均は東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)など半導体大手が大きく売られて3月中旬以来の38,000円台に下落しました。騰落レシオが3月下旬の買われ過ぎ水準から一転、今度は短期レシオがそれまでと反対に売られ過ぎ水準を示すなど乱高下激しい展開が続いています。
短期的には機関投資家の期初益出し売りで需給が悪化した一方、4月に入り新安値銘柄数が200に迫るなど下値模索の動きも概ね一巡してくるところです。半導体など質の高いグロース株への強い売り圧力から買い手も怯んでしまう場面かもしれませんが、内需株やバリュー株の一角には積極的に買い向かう動きもみられており、全面的なリスクオフにまでは至らないと言えます。
グロース市場では直近のIPOラッシュが一巡したところでの地合い悪化に伴い、グロース250指数が節目の700pt割れと前週のところから売り圧力が増幅。日米金利上昇に伴うグロース株敬遠の流れを受けて売りが嵩んだほか、直近IPO株物色も一巡してきたところで資金流出が鮮明になったとみられます。
【米国株概況】
米FRBメンバー極論発言で米早期利下げ期待の後退も強い米雇用統計を冷静に消化、地政学リスク意識の商品高でインフレ懸念の再燃に現実味
NYダウ 38,904.04(+0.80%)[38,602~39,040]
S&P500 5,204.34(+1.11%)[5,157~5,222]
NASDAQ 16,248.52(+1.24%)[16,080~16,326]
ダウ輸送株 15,919.2(+0.76%)[15,796~15,961]
半導体SOX 4,819.1(+1.33%)[4,751~4,847]
日経平均先物(CME) 39,335(+0.91%)[38,775~39,395]
ドル/円 150.81~151.74(高値151.97:3/27、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 0.772%(高値0.975%:2023/11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.400%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 86.73(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2349.10(高値2,350:4/5、安値1,618:2022/11/3)【高値更新】
銅先物 4.240(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)16.03(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 142.64(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 61(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.82(安値70.30:2022/10/13)
米国市場は前週の米雇用統計で強い結果が示されたほか、米FRBメンバーによる年内利下げなしの可能性もあるとの発言をうけてリスクオフとなる場面がみられました。米金利上昇が一段と鮮明になり米10年債利回りは4.4%をつけて再び警戒水準の4.5%が視野に入ってきたほか、地政学リスクの高まりから米ドル高と並行して原油や金(ゴールド)など商品市場の高騰がみられ、インフレ再燃への懸念および早期利下げ期待の後退が米株売りにつながりました。
米利下げを巡っては米FRB内でも年内の利下げ見通しについて見解が異なる部分がみられつつ、ひとまずは初回の利下げ時期についての議論は時期尚早として現状維持を示唆するに留めました。年内の利下げが無い可能性を指摘したミネアポリス連銀のカシュカリ総裁に関しては従来よりタカ派と属されてきたほか、今年のFRB政策決定における投票権をもたない同氏の発言とあって米株市場には4/4の大幅安に動揺が走りつつも翌4/5にいたってはこれを冷静に受け止めたとみられます。
◆【FRB高官発言】今年は利下げ実施しない可能性も-カシュカリ総裁(2024/4/5)
何より米雇用統計が市場予想を大幅に上回る強い結果を示し、米経済の堅調さを改めて裏付けたことによって米債市場では米FRB以上に早期利下げ期待を織り込んできましたが、今度は一転して年内の利下げ回数を昨年後半の6回⇒3回⇒2回??と疑心暗鬼が深まってきたことが窺え、足元では早期利下げを牽制してきた米FRBの方が年3回の利下げ見通しを改めて強調する構図へと入れ替わっています。
米政治や経済だけでなく国際的な地政学リスクや気候変動リスクなどから金融政策決定における不確実性が増す中において、ただでさえ金融政策が転換する時期は市場混乱が引き起こされやすい状況と言え、とりわけ中東情勢の緊迫化がバイデン米政権にとって頭痛の種となっています。長引くインフレへの不満が鬱積してきた経緯をふまえつつ、足元で米ドル高の環境下でも再び商品市況が高騰し始めたことは1970年~80年代のインフレ再燃の懸念を抱かせるには十分です。米FRBはインフレ退治を未完の状態で高金利政策を続けざるをえない状況に置かれている以上、米金利もまた高止まりする環境を強いられやすいとみられます。
◆NY商品、原油続伸 地政学リスクの高まり受け 金は連日の最高値(2024/4/6)
前回取り上げた米納税シーズンにちなんだ米株換金売りの実需も重しとなるため、米株市場は今週の米CPI(消費者物価指数)を経て米早期利下げ期待の剥落で上値が重い展開をいましばらく続けると思われます。一方で、まもなく訪れる米企業決算シーズン入りに伴い、米経済の底堅さを反映する米企業業績への自信回復につなげることができれば、米納税申告期限とされる4/15前後をもってアク抜けへの期待感も高まってくるようになると考えられます。
【日本株投資戦略】
強い米雇用統計が米ドル高環境を後押しで円安株高、地政学リスクや財務省の為替介入による円高警戒も
日本株は前回解説に続いて4月前半の地合い悪化局面を乗り越えて4月後半の好転につながっていく具体的時期を探っていきたい場面を迎えます。前週で大方の機関投資家による期初益出し売りを消化したのではないかとみられますが、今週においても前半はまだその余波が続くとみられるほか、中東情勢の緊迫化やウクライナ情勢、さらには朝鮮半島情勢における地政学リスクの高まり、そして日本能登地震に続く台湾地震と自然災害リスクなども相まって、いずれにしても早期のアク抜けを期待するには程遠い状況に置かれているとみられます。
ただ、こうした複合的リスクが重なる厳しい環境に置かれる一方、日銀・財務省が為替介入の具体的な検討に踏み出すレベルで為替円安環境が続いている状況であることをふまえますと、日本の企業業績に対する一定の期待感を持続させることにつながると思われ、徐々に底堅さも垣間見えるものと考えます。
為替円安環境が続くということはつまり、一方では米ドル高へのヘッジ需要を生み海外勢による日本株買いを促すことになるとみられ、ましてや円安下での商品高による輸入物価上昇圧力によって日本のインフレ期待率は高まることで実質金利の低下、すなわち日本株高を後押しする材料につながっていきます。
裏を返せば、日銀・財務省が為替介入をせずして為替が円高に振れてくる場合、主に地政学リスクなどによって突発的な円高局面が生じるような場合には要注意で、国内勢だけでなく海外勢も日本株売りに拍車をかける展開も想定しておく必要があるかもしれません。通常であれば、米ドル高環境における米ドル建て資産の原油や金(ゴールド)、あるいは仮想通貨にいたるまで下押し圧力がかかりやすいところ、現状ではこうしたオルタナティブ資産クラスに異相が生じているということは金融市場の広範囲で地政学リスクを意識していることに他ならないとみられます。くしくも、米雇用統計は強い結果を示したことで米ドル高を正当化しつつも、内容の割にドル円は直近の上限レンジ内に踏みとどまりました。
◆ドル独歩高で世界に痛み広がる-各国の通貨当局、対応に苦慮(2024/4/4)
◆為替介入も辞さない構えの日本の通貨当局、次の試金石は米雇用統計(2024/4/5)
これらをシンプルに解釈すると、地政学リスクで一瞬の緊張が高まる場面は「戦争は買い」の相場アノマリーにしたがうべきところで、近年でもロシアによるウクライナ侵攻開始やイスラエル戦争の勃発時は絶好の押し目買い好機だったことは記憶に新しいところかと思われます。足元においては4/10の岸田首相訪米が予定されている以上、これに刺激される中国勢や北朝鮮勢における日本への圧力で緊張が高まりやすい環境であるとも言えるのですが、国際的にはイスラエルによるラファ侵攻も焦点になります。しかし、目先にとらわれ過ぎることなく大局的に相場の押し目はありがたく買い場として活かしていくべきかと思われます。また、財務省における米ドル高円安の牽制発言においても然りで、為替動向にらみの取り組みはしばらく続くでしょう。
◆日米関係「統合された同盟へ」、中国念頭 米CSIS報告書(2024/4/5)
◆バイデン氏、日朝首脳会談を支持 米韓との調整条件(2024/4/6)
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