【3/19日本市場の確認ポイント】
日経平均 40,003.60(+0.66%)[39,407~40,003]
TOPIX   2,750.97(+1.06%)[2,713~2,750]
マザーズ   746.07(+0.76%)[737~747]

値上がりセクターTOP5
1.不動産(+4.48%)
2.鉱業(+2.72%)
3.輸送用機器(+2.57%)
4.ゴム(+2.54%)
5.その他金融(+2.22%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲1.39%)
2.医薬品(▲0.29%)
3.銀行(▲0.24%)
4.なし
5.なし

 日本市場は祝日をはさんで米FOMC材料を消化するところから取引再開、市場注目の日銀金融政策決定会合は事前リーク報道も相まってマイナス金利解除決定後は株高、金利低下、円安で日経平均は節目の40,000円を回復。米FOMCもFF金利据え置きが決定し、日米金利差が縮小なしとみて為替市場ではドル高円安となり151円台後半まで急伸しました。

 日本株は日銀不透明感解消とともに調整含みだった半導体株に買戻し、先物買戻しを中心に値がさ主力株が再び上昇を強める展開となり日経平均の40,000円台回復、TOPIXも終値ベースで平成バブル後高値を更新。日銀材料で事前織り込みが十分に進んでいた銀行株が売られる一方、日本のデフレ脱却期待から不動産株が大幅高となりました。また、原油市場では中東減産や地政学リスクの高まりからWTI原油先物は80ドル突破から一段高したことをうけてエネルギー株も積極的に買い進まれています。

 主力株が高値圏に舞い戻ってくる中で下押しの深かった中小型株は出遅れ鮮明、買戻し相場ではいつものパターンで資金循環の順番待ち。グロース250指数は25日移動平均線を下回っており、まずは戻り売りをこなす必要があります。2月後半からの急騰局面で高値掴みした投資家のしこり玉で需給悪化は避けられないとみられ、大型株上昇から資金が回ってくるまで出番待ちの状況になりそうです。

【米国株概況】
米FOMC消化し米金利低下・株高でS&P500は最高値更新、実質金利低下でドル安・ゴールド高

NYダウ 39,512.13(+1.03%)[38,988~39,529] 【高値更新】
S&P500 5,224.62(+0.89%)[5,171~5,226] 【高値更新】
NASDAQ 16,369.41(+1.25%)[16,127~16,377] 
ダウ輸送株 15,820.3(+1.80%)[15,480~15,829]
半導体SOX 4,788.2(+1.60%)[4,682~4,798]
日経平均先物(CME) 40,335(+1.86%)[39,840~40,395]
ドル/円 150.73~151.85(高値151.93:2023/10/21、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 0.725%(高値0.975%:2023/11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.269%(高値5.000%:2023/10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 81.46(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:2023/5/4)
金先物 2216.45(高値2,224:3/20、安値1,618:2022/11/3)【高値更新】
銅先物 4.089(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.04(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 141.19(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)
Fear&Greed指数 73(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)77.82(安値70.30:2022/10/13)

 米国市場では米FOMCで政策金利が据え置かれたほか、パウエル米FRB議長の発言でも今後の経済・金利見通しについて市場想定どおりの内容で買い安心感を誘い、株高・金利低下・ドル安の反応となりました。米金利は短期債を中心に金利低下となり、ハイテク株買い戻しを安心材料にNYダウ・S&P500は史上最高値を再び更新、ナスダックも終値ベースでは最高値更新しました。

 米FRBは政策金利を高止まりさせておく一方、QT(量的引き締め)ペースの鈍化に言及し先日のダラス連銀ローガン総裁の指摘を再確認しました。まもなくリバースレポ残高が近づく中において金融市場の流動性に配慮する必要が生じてくるため、インフレ懸念の再燃とうまく折り合いをつけられるような政策調整が求められます。
米ダラス連銀総裁、当局はバランスシート圧縮ペースを減速する必要(2024/1/7)

 今回の米FOMCでは市場の強気相場に水を差すようなタカ派発言がなく、今年の利下げ見通しについても年3回の従来予想を維持したため市場期待をつなぎ止めました。また、最新の経済予測では基調的インフレ率が引き上げられたことで、実質金利の低下とみた市場では米ドル売りとともに株高はもちろん、金先物価格が急伸し再び2,200ドル台をつけて高値更新しました。
FOMC、今年予想する利下げ回数3回で維持-2025年予想は減少(2024/3/21)

 他方で、今週末で米政府機関閉鎖が迫っていたつなぎ予算期限の懸念も米議会が政権と折り合いをつけ24年度予算に合意、無用な混乱が回避され債券市場に安心感をもたらしました。引き続きリスクオンの金融環境が維持された米株市場では半導体・AIブームの立役者とも言えるエヌビディアが最新AI半導体をお披露目するなど話題も事欠かず、調整含みだった半導体株やハイテク強気相場の背中を後押ししました。
◆米政府閉鎖回避も、国防予算など議会共和党と政権が合意-関係者(2024/3/19)
エヌビディア、旗艦AI半導体発表 30倍高速化で競合引き離しへ(2024/3/19)

【日本株投資戦略】
日米中銀の材料消化で株高期待、日銀決定のご祝儀相場は短期利食い好機にも

 歴史的な日銀マイナス金利解除が決定し祝日をはさんだ日本市場は続伸する見込み、海外市場では米FOMCも概ね事前予想どおりの結果で買い安心材料となりました。時間外の日経先物では、高値引けで40,000円台を回復した19日の日経平均から600円超の上昇をみせるなどしており、為替もドル円で昨秋の151円台後半まで円安が進む場面がありました。

 かねてより市場が注目してきた日銀金融政策決定会合では、世界で唯一取り残されてきたマイナス金利政策を解除、YCC(イールドカーブ・コントロール)政策やETF買入れ、オーバーシュート型コミットメントなど異次元金融緩和の象徴だった政策がまとめて取り止められました。植田日銀総裁の会見では再三にわたり金融緩和環境の維持が強調されるとともに、国債買入れは柔軟性をもたせながら継続するとして市場に十分配慮された内容で好意的に受け止められました。日銀決定をうけてメガバンクもこぞって預金金利引き上げを発表、産業界にも歓迎ムードが広がる一方、ただちに利上げサイクル開始というわけではないということも示唆されました。
◆植田日銀総裁「緩和的な環境の維持が大事」-マイナス金利解除決定(2024/3/19)
◆大手行が預金金利引き上げへ、三菱UFJ銀は21日から 日銀利上げで(2024/3/19)
日銀利上げで不動産株急伸、銀行株から資金移動-インフレ転換期待(2024/3/19)

 日銀決定をうけて為替市場では円安が一気に加速、マイナス金利解除=利上げで教科書的には円高と解説されるものですが、市場ではすでに短期金利がプラス圏推移であったことに加えて、依然として実質金利はマイナスであることに変わりはないため投機筋は安心して円売りする材料となりました。また、次の焦点として追加利上げの観測も浮上する中、以前取り上げた内田日銀副総裁の連続した利上げサイクルの政策軌道にはならないとの安心感もこれを後押ししたものとみられます。

 実際、市場では次の利上げ時期をめぐり目先4月の日銀展望レポートで具体的な時期を探るものとみられますが、今回の日銀決定をうけても政府からのデフレ脱却宣言はなされておらず、むしろ政府発表が大きな注目ポイントになっていきそうです。つまり、政府の月例経済報告をつぶさにチェックしていく必要がある中で市場は常にそれを先取りしようと動くため、しばらくは期待先行から思惑外れを繰り返すことになり、上昇相場ながらも不安定さをはらんだ軌道を描いていくことになりそうです。
◆日銀正常化入りで早期利上げの思惑も、4月展望リポートが道しるべに(2024/3/19)

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