【2/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 37,963.97(+2.89%)[37,184~38,010]
TOPIX 2,612.03(+2.12%)[2,577~2,613]
マザーズ 720.48(+1.54%)[712~722]
値上がりセクターTOP5
1.保険(+8.20%)
2.電気機器(+3.16%)
3.サービス(+2.78%)
4.輸送用機器(+2.77%)
5.卸売(+2.74%)
値下がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(▲1.61%)
2.不動産(▲0.69%)
3.なし
4.なし
5.なし
日本市場は日銀政策修正警戒の緩和とともに海外勢の日本株買いが加速し、日経平均は36,000円付近から急上昇。為替の円安進行とともに上値を拡大、日本企業の決算材料とあわせて主力株中心に上昇し38,000円台をマークしました。一気に平成バブル期の史上最高値38,915円も視野に入ってきたとの話題性もさることながら、昨日は1,000円超の上げ幅となりました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1274/値下がり353となり、決算好感の東京エレクトロン(8035)、ソフトバンクG(9984)をはじめファーストリテイリング(9983)など日経寄与度の大きい値がさ株が上昇牽引。引き続き半導体関連や生成AI関連銘柄の物色意欲が旺盛であったほか、財務省による保険セクターの政策保有株売却促進が日本企業変革の期待を刺激して損保株も軒並み急騰を演じました。
企業決算も終盤を迎える中で新興・中小型株は決算材料に一喜一憂する日々ですが、やはり半導体・AI関連の期待度の高さから新興株にも思惑が波及して関連銘柄が軒並み急騰。個別株の値動きは業績・思惑でくっきりと明暗分かれ、グロース250指数への影響は限定的ながらも主力株から中小型株への物色の広がりを受けながら上値期待は高まっています。
【米国株概況】
米CPIショックで早期利下げ期待が後退、米金利上昇で連日の史上最高値更新に冷や水
NYダウ 38,272.75(▲1.35%)[38,039~38,699]
S&P500 4,953.17(▲1.37%)[4,920~4,971]
NASDAQ 15,655.60(▲1.80%)[15,551~15,770]
ダウ輸送株 15,785.8(▲2.62%)[15,670~16,049]
半導体SOX 4,468.2(▲2.01%)[4,408~4,515]
日経平均先物(CME) 37,685(▲1.17%)[37,390~38,390]
ドル/円 149.27~150.89(高値151.93:10/21、安値127.46:2023/1/3)
日10年債利回り 0.719%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.320%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 77.73(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2005.25(高値2,098:12/28、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.706(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)15.85(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 170.52(安値110.34:2022/11/3、高値170.52:2/13)【高値更新】
Fear&Greed指数 69(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.57(安値70.30:10/13)
米国市場はインフレ鈍化傾向に米経済ソフトランディングに自信を深めていた中、1月米CPI(消費者物価指数)が上振れたことを受けて株式、債券ともに大きく売られ、NYダウ・S&P500・ナスダックいずれも史上最高値更新に沸いていた市場は冷や水を浴びせられることとなりました。
◆米CPI、利上げサイクル終了していない可能性も-市場関係者の見方(2024/2/13)
◆米利下げ開始時期、6月との見方強まる 予想上回るCPI受け(2024/2/14)
米FRBによる早期利下げ期待は大きく後退し、市場が当初3月と織り込んでいた利下げ開始時期は5月へ、さらに6月にずれ込むとの見方が強まりました。強い米CPI結果を受けて米金利は短期債を中心に急反発、先日の期待インフレ率低下を示したNY連銀調査から間もないところに米金利が上昇し、実質金利の高まりに警戒感が広がりました。
◆中期的な米インフレ期待が低下、データ開始以来の最低水準-NY連銀(2024/2/13)
◆米実質利回りが2%台に上昇、昨年12月12日以来-CPI上振れで(2024/2/14)
ギャップダウンで取引開始した米株市場はこれまでのゴルディロックス相場で史上最高値更新が続いていたこともあって利益確定売りを誘発しました。リスク指標もVIX指数が先週末の12pt台から18pt手前まで急騰したほか、滅多に反応しないSKEW指数も5年ぶりとなる170pt台に急伸をみせました。リスク警戒から小型株指数のラッセル2000が▲4%超の大幅安となり、それまでの総楽観ムードが一気に萎みました。
市場は米経済ソフトランディングと早期利下げ実現を織り込み、高収益期待のビッグテック株に一極集中しながら史上最高値を更新していただけに、バリュエーションやポジションの偏りなどは全て無視して上値追いを続けてきました。今回の米CPIだけでバラ色のシナリオが崩れたわけではないですが、押し目無しの強気相場に調整を欲していたところに良いきっかけを作ったとみられます。半導体株筆頭のエヌビディアはじめAMDなどは買い戻されているところからすれば、引き続き業績安心感のある銘柄への押し目買いは継続で、むしろ出遅れ株の修正期待が剥落しやすいとみられ、結局は一部の銘柄に一極集中しやすい相場づきとなっているものと考えられます。
【日本株投資戦略】
平成バブル期以来となる日経平均38,000円台を記録、売買代金6兆円に迫る勢いの中で主力以外への物色波及にも注目
日本市場は好決算の主力値がさ株が上昇を牽引して日経平均は38,000円台をつけるとともに、昨日の売買代金はSQや特殊なリバランスが生じない日であるにもかかわらず6兆円に迫る勢いで積み上がりました。日経平均は平成バブルピークの1990年以来となる34年ぶりの高値を記録、当時と比べても出来高水準がケタ違いのために昨日1,000円超の上げ幅はまさに真空地帯を駆け上がり急騰を演じたと言えます。
出来高を伴って上昇することは典型的な強気相場と言えますが、先週からの上昇の過程でも値下がり銘柄が値上がり銘柄を圧倒する日が続いており、一部の主力銘柄による急騰が指数を押し上げただけという構図も見え隠れしています。日経先物やコール・オプションを売買する投資家にとっては記録的な好パフォーマンスを叩き出したものと推測されますが、物色のど真ん中銘柄を保有していない投資家にとっては恩恵を感じにくい相場かと思われます。
これらの背景には年初から買い越しを続ける海外勢の意欲的な日本株買いがあるとみられるほか、昨日の空売り比率ではここ数年で記憶にない35%台と低下していたことが判明し、空売りを燃料としたショートカバー(売り方の買戻し)以上に買い上がった投資主体がいたことを物語っています。
足元では再び信用買い残が4兆円近くに迫っており、上昇相場に乗り遅れまいとする機関投資家だけでなく早売りして押し目待ちしていた個人投資家がたまらず上値を買わされた可能性もありますが、それ以前に日本株をまだ十分に保有できていない海外勢が爆買いしている可能性もありそうです。グローバルマクロはじめ多くの海外ファンドは米国株を中心に手がけてきたほか、足元では中国人投資家の本国離れで日本株や米国株を買い漁っていることが話題を呼んでいます。
誰の目にも明らかな強気相場のように映りますが、実際のところではまだ一部の主力株に投資マネーが集中している構図で、まだ多くの日本株が割安と言える水準に取り残されているのが現状と言えます。海外勢の事情からすれば、巨額の資金を動かす上で日本株は器が小さく、米株のビッグテックのように何百兆円もの時価総額を売買しているのと比べて日本株は大型株でもせいぜい数兆円~数十兆円で、それもほんの一部にすぎません。まともに買える銘柄と言えば流動性が高くて時価総額が大きい一部の銘柄に限られてしまうという面が少なからずあるものと思われます。しかし、だからこそ数千億円の企業でも上昇余地が見込めるわけで、今後の調整局面を迎える中で主力以外の銘柄にも触手が伸びてくることを期待しておきたいものです。
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