【1/23日本市場の確認ポイント】
日経平均 36,517.57(▲0.08%)[36,436~36,984]
TOPIX 2,542.07(▲0.11%)[2,533~2,565]
マザーズ 707.28(▲0.28%)[702~716]
値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+1.04%)
2.医薬品(+0.62%)
3.食料品(+0.42%)
4.金属製品(+0.38%)
5.空運(+0.28%)
値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.38%)
2.陸運(▲1.02%)
3.繊維(▲1.00%)
4.海運(▲0.76%)
5.証券・商品先物(▲0.72%)
日本市場は米株S&P500の最高値更新を受けて大幅続伸で日経平均は37,000円に接近しましたが、日銀金融政策決定会合での現状維持が伝わった後場からは一転して利益確定売りが優勢となりました。植田日銀総裁の会見で物価目標の確度が高まっているとの発言から、根強い政策修正に対する見方が改めて意識されて為替市場では急速な円高に傾くとともに日経先物も時間外で36,000円近辺まで売られる場面がみられました。
日経平均先物の下落とともに上昇牽引役であった半導体株を中心に利食いするきっかけになったとみられます。もっとも、それ以前から過度な楽観に傾斜していた面もあり、ひとまず相場の過熱感を和らげる動きになったとも言えるでしょう。売買代金は再び5兆円近くにまで膨らんだ中で、騰落レシオは買われ過ぎの水準にあり利益確定の動きが広がるのも無理はないことと思われます。
主力株は半導体株一極集中から広範に物色されるようになり、全体での底上げが進んだことでTOPIXの高値更新にもつながっています。その一方、新興グロース市場ではグロース250指数の出遅れが鮮明となっており、中小型株には資金流入に大きなばらつきがみられます。主力株の上昇に一服感が出始めたところでその利食い資金が回ってくるか注目が集まる中、一部の半導体関連やAI関連といった銘柄群にはテーマ物色として集中的に買われるものも目立っています。
【米国株概況】
ついにS&P500が最高値更新、半導体SOX指数の一段高でハイテク企業の業績期待を反映
NYダウ 37,905.45(▲0.25%)[37,804~37,980]
S&P500 4,864.60(+0.29%)[4,844~4,868]
NASDAQ 15,425.94(+0.42%)[15,337~15,432]
ダウ輸送株 15,892.7(▲0.28%)[15,839~16,073]
半導体SOX 4,415.3(+0.65%)[4,347~4,419]
日経平均先物(CME) 36,475(▲0.18%)[36,025~36,975]
ドル/円 147.00~148.71(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.665%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.135%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 74.51(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2030.60(高値2,098:12/28、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.805(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)12.55(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 148.12(安値110.34:2022/11/3、高値162.51:12/14)
Fear&Greed指数 73(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)77.14(安値70.30:10/13)
米国市場は企業決算シーズンを迎えて個別材料による影響が大きくなってきましたが、全体には先日の米経済指標で消費関連や雇用関連指標の上振れが確認され、米経済のソフトランディングに自信を深める見方が強気相場を後押ししています。米FRBメンバーは市場の早期利下げ期待を牽制する発言を繰り返し、債券市場でも長期金利が上昇するとともに為替もドル高基調をより強めています。
株式市場では米企業業績に注目が集まる中、昨年末の株高ラリーを引っ張ってきた半導体大手に利益見通し改善が相次いでおり、半導体SOX指数は最高値更新で上値志向を強めています。NYダウに続いてS&P500も最高値を更新し、大手証券にも今年のS&P目標を5,000pt突破に置いて上方修正する動きも広がっています。
リスク指標が軒並み超強気を示唆して過熱感も意識されてくるところですが、半導体大手のエヌビディアをはじめハイテク企業への期待も大きく、金利上昇をものともせずに上昇を続けています。米金利はまもなく米10年債利回りが4.2%を窺う中で、長短金利の逆イールド状態は縮小傾向を辿り、ひとまず米2年債利回りと米30年債利回りで逆イールド解消に向かってきています。
米景気後退懸念を映す債券逆イールドが解消するのであれば米経済はソフトランディングを達成し、米FRBも早期利下げ転換に踏み切る理由も失われるとみられます。しかし、高金利政策の維持が政府や企業、家計の債務負担増加につながり米経済をじわじわと蝕み続けることになることには変わりないため、市場はその分バイデン米政権の財政出動拡大を期待するようになるでしょう。
米国では今年大統領選挙が予定され各地で予備選がスタートする中、米共和党ではトランプ前大統領の復活を支持する動きが強まっています。米株市場はS&P500が再び史上最高値を更新したことに歓喜する一方で、米経済には脆弱な面も浮き彫りとなっており、バイデン米政権への不満がトランプ復活を望む声に表れているとみられます。とりわけ足元での米共和党予備選でニューハンプシャー州の注目が高まっていた中でトランプ勝利が伝えられ、バイデン米政権は今秋に向けて支持率回復のために政策総動員の構えで臨む必要に迫られています。米金融政策の早期利下げ転換が遠のくとしても、米財政政策の期待が高まることで米株期待を繋ぎとめることになるものと思われます。
◆焦点:トランプ氏が迎える大事な一戦、ヘイリー氏には逆転の好機(2024/1/23)
◆トランプ氏が共和候補選び連勝、ニューハンプシャー予備選-指名に前進(2024/1/24)
【日本株投資戦略】
月末から2月における調整を意識しておく場面、決算シーズン入りで足元好業績株を狙いたい
日本市場では年初から大幅上昇の勢いそのままに日経平均は37,000円目前にまで迫るとともに、昨日の日銀金融政策決定会合を経て為替もドル円で昨年末の140円台から150円の大台に再接近してきました。ただし、日銀の金融政策維持決定により足元の円安株高トレードが加速する可能性もあった中で、市場は材料出尽くしでの反応をみせただけに日本株の上値追いには慎重な見方が増えてきているものとみられます。
米国市場をはじめとする海外株高へのキャッチアップも出遅れ修正の枠を超えて、日本株は年初来のパフォーマンスはトップに踊り出るほどに買われましたので、今度は買われ過ぎの修正で調整を余儀なくされる面もでてくるものと思われます。とりわけ日経平均においては、影響度の大きいファーストリテイリング(9983)の株価動向に左右される面も少なくないため、下記記事にありますように1月末の基準日に向けたリバランス需要には注意を払っておきたいところでしょう。
◆アングル:ファストリ株、日経ウエート上限に接近 「大株主の売り」に思惑も(2024/1/19)
その一方、上述したような主力株の上昇が一服した場合であっても市場全体の地合いが良い状態で継続されれば、大型株の利食い資金がまだ上昇していない中小型株の物色に回ってくることも期待できます。注意点は全体の地合いが良好であり続ける必要があることで、たいていの場合、主力株が値崩れを起こす時には中小型株の方がそれ以上に売られることが多いため、リスク性の高い中小型株を手がけるにはそれ相応に難易度が高いことを認識しておく必要もあるでしょう。
◆アングル:出遅れ中小型株に資金流入、循環物色で底上げ期待(2024/1/22)
また、前回解説したようにこの1月下旬以降は急上昇した後の反動安を警戒しておきたい局面であり、とくに月末にかけては日本の政治が通常国会召集にあたり足元の混乱が政治リスクとして海外勢に嫌気されてしまう可能性や、突発的な地政学リスク発でのリスクオフの動き、それでなくとも企業決算シーズン入りで業績警戒で売られやすくなる面も考慮しておく必要があります。とくに日本経済における10-12月期は前四半期よりも下振れとなっている可能性があります。逆にこの10-12月期が前四半期、前年同期比で好調だった企業はむしろ大きく買われることになるはずですので、目先2月中旬にかけての取り組みは決算後の買い場を探っていきたい場面かと思われます。
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