【1/16日本市場の確認ポイント】
日経平均 35,619.18(▲0.79%)[35,955~35,587]
TOPIX   2,503.98(▲0.82%)[2,501~2,525]
マザーズ   706.96(▲0.45%)[706~720]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+2.26%)
2.鉱業(+0.25%)
3.ゴム(+0.20%)
4.石油・石炭(+0.11%)
5.鉄鋼(+0.06%)

値下がりセクターTOP5
1.繊維(▲2.53%)
2.倉庫・運輸(▲1.83%)
3.水産・農林(▲1.78%)
4.その他製品(▲1.71%)
5.非鉄金属(▲1.69%)

 日本市場は年初から大幅上昇で6連騰となり、日経平均は先週のSQ値36,025円に迫るも昨日は利益確定売りに押されました。TOPIXもバブル後最高値を更新して2500ptを突破、為替円安を追い風に自動車やエレクトロニクス、海運、商社など物色の幅が広がり、内需も小売から情報・通信セクターまで底上げの動きとなっています。

 上昇の主役が半導体株一極集中から徐々に海運株はじめ他のセクターにも資金が回るようになり、日米の異なる金融政策から金利差を意識した為替円安も進んだことで日本株の業績期待が膨らんでいます。新NISA制度開始に伴う投資家の裾野拡大に注目が集まる中、東証は以前からの低PBR対策を一層推進するべく企業に資本効率改善を要請し、日本市場の改革にも期待が広がりました。

 他方、新年相場の開始と株価上昇に伴い東証の売買代金が4兆円を超える日が続く中、新興市場では商いが減少傾向となりグロース250指数はまだ盛り上がりに欠ける展開となっています。中型株、小型株指数も高値更新は達成したものの、パフォーマンスでは大型株に大きく劣後し出遅れ色が鮮明です。物色傾向の広がりを受けながら中小型株にも資金が回ってくるかも今後の注目ポイントとなりそうです。

【米国株概況】
◎欧米中銀の利下げ慎重発言が株価の重し、地政学混乱でインフレ再燃の兆しに警戒感

NYダウ 37,361.12(▲0.61%)[37,201~37,543]
S&P500 4,765.98(▲0.37%)[4,747~4,782]
NASDAQ 14,944.35(▲0.18%)[14,863~15,004]
ダウ輸送株 15,342.6(▲0.83%)[15,256~15,427]
半導体SOX 4,105.9(+1.32%)[4,035~4,133]
日経平均先物(CME) 35,855(+0.58%)[35,490~36,190]
ドル/円 145.59~147.31(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.589%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.062%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 72.01(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2031.70(高値2,098:12/28、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.768(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.84(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 139.94(安値110.34:2022/11/3、高値162.51:12/14)
Fear&Greed指数 70(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)77.21(安値70.30:10/13)

 米国市場はマグニフィセント7に代表されるビッグテック株の上昇に歯止めがかかる一方、その他のオールドエコノミーセクターにも資金が回りNYダウが最高値を更新。S&P500の最高値更新にも注目が集まる中、足元では米FRBメンバーから利下げ慎重発言が相次いでいることもあり、昨年末以降の金利低下・株高の楽観ムードにやや修正の動きがみられ始めました。

 米FRBが注目する米経済指標ではCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)が強弱まちまちで、とくにPPIの市場予想下振れで米金利低下、米FRBの利下げ観測が強まることで株高と弱い経済指標の方が市場の利下げ期待を後押しする傾向にあります。一方、市場の期待をよそに昨日のウォラーFRB理事発言からもわかるとおり、金融政策の転換においてはインフレ再燃が無ければという条件付きであり、これには中東情勢の混乱をはじめとする地政学リスクや厳しい寒波など気候変動の影響などを通じたエネルギー価格再上昇の可能性を無視できず、高いハードルが設定されているとみられます。
粘着性の米インフレが市場の利下げ期待裏切る恐れ-ヒルデブラント氏(2024/1/15)

 足元の物価データにおいてもCPI上振れにみられるようにインフレ鈍化に働きかけてきた住居費やエネルギー価格の低下に歯止めがかかり、これ以上簡単には低下しづらくなっているのに加え、社会全体に値上げ・賃上げが広がりサービスセクターにおけるインフレ圧力緩和の難しさもみてとれます。
米CPIは伸び加速、予想上回る上昇-早期利下げ期待が後退(2024/1/11)
米PPI、前月比で3カ月連続の低下-利下げ観測が再び強まる(2024/1/12)

 今年一年をみればやがては利下げ転換も可能となる可能性がある一方、そこには市場期待と現実の間に大きなギャップが存在していると言えます。昨日は3連休明けとなった米国市場で米金利が上昇し、とくに長期金利が4%を再び超えてきたことで株価も調整を余儀なくされました。もっとも、昨年末以来の株高ラリーでガス抜き調整も必要な場面であるとも言えますし、これから米企業決算も立て込んでくることから、市場が先走りして楽観に傾き過ぎた分は修正安となるのも仕方ない部分かと思われます。

【日本株投資戦略】
年始から大きく飛躍した日本株は一極集中からセクターローテーション、高騰後の日本株に待ち受ける政治リスク

 日本市場は昨年末の欧米株高に後れを取ってた分、出遅れ修正の動きとともに年始の能登地震の影響から日銀による政策修正観測の後退を背景とした金融緩和継続期待、為替の円安が日本株押し上げに寄与しています。日経平均は先週のオプションSQ清算値で36,000円台をみたことからも昨年末の33,000円台とは景色が大きく変わっています。

 足元では反対に欧米株が米FRB、欧州ECBの関係者発言で早期利下げ観測後退から株価も軟化し始め、各債券金利も再上昇の芽が出て通貨高、日本からみれば円安を後押しする動きとなっています。これらに加えて中国株も以前からの不動産不況から投資意欲減退を招き上海総合指数は安値圏で低迷、香港ハンセン指数は安値更新の動きから、当局は機関投資家に株売り抑止を要請したとまで取り沙汰されています。

 新年のご祝儀相場から日本株の独歩高と言える状況にまでなる中、日本市場全体でも出遅れ修正の動きが鮮明となっています。上述したように売買盛況な半導体株や海運株の刺激的な上昇に加えて、他セクターにも広範に買いの手が広がりを見せてTOPIX上昇、全面高の様相となってきました。
世界株、上昇の踊り場 日本急騰の裏で7割が年初下落(2024/1/15)

 実際のところ、日経平均34,000円突破に苦戦した昨年の相場から飛躍した背景には先物・オプション取引での需給的な踏み上げ相場となっている一面と、海外勢では中国株から日本株シフトを鮮明にする動きが加速した実需面、新NISA開始にともなう日本人投資家の裾野拡大といった要因が日本株押し上げに寄与したとみることができるでしょう。
海外勢、日本株買い越し、2週ぶり、円安で業績期待(2024/1/12)

 ただし、海外市場が金融当局による早期利下げ期待牽制発言から軟化し始めたことに加えて、日本国内でも政治混乱が日本固有のリスクとして浮上してきており、来週からの国会召集を控えて事態が収拾どころかより暗転してしまいそうな雰囲気があります。日本株の投資環境は外的要因を横目に独歩高となっているものの、海外勢・個人投資家の新規マネー流入が一巡した後は高値をそれ以上買ってくれる投資主体がいなくなってしまいますので、息切れした後は急失速となる恐れがあります。かねてよりお伝えのとおり、1月下旬以降ではこれまでの急ピッチで上昇した反動安を警戒しておく必要があるとみられ、欧米のみならず日本の金利が再上昇してくる前に値上がりした主力株の利益確定を進めていきたい場面かと思います。

通常国会26日召集 林官房長官が衆参に伝達(2024/1/16)

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