【12/19日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,219.39(+1.41%)[32,654~33,219]
TOPIX   2,333.81(+0.73%)[2,304~2,336]
グロース250 686.60(+2.04%)[670~686]

値上がりセクターTOP5
1.その他製品(+1.69%)
2.保険(+1.68%)
3.海運(+1.52%)
4.食料品(+1.51%)
5.電気機器(+1.35%)

値下がりセクターTOP5
1.陸運(▲0.90%)
2.空運(▲0.82%)
3.銀行(▲0.43%)
4.鉄鋼(▲0.35%)
5.建設(▲0.27%)

 日本市場は日銀金融政策決定会合に向けて様子見ムードが続いてきましたが、現行の金融緩和策維持決定を受けて反発しました。海外市場では年末ラリー真っ只中で続々と年初来高値更新の知らせが届く中、日本市場は植田日銀総裁によるチャレンジング発言以降、金融引き締め転換警戒と思惑先行の為替円高に苦戦して上値を遮られる展開が続きました。

 為替ドル円が140円台に突入する中でドル建て日経平均は堅調に上値を試すも、円建てでは33,000円の壁に阻まれてきました。日銀会合後は足元の金利低位安定を背景にグロース株が大きく買い戻される展開となり、日経寄与度の大きい東京エレクトロン(8035)、ファーストリテイリング(9983)、アドバンテスト(6857)など主力どころが大幅高しました。

 一方、金利低下を促した景気減速懸念や為替の先行き円高懸念で輸出産業は警戒感が重しとなっており、シクリカル(景気敏感)バリュー系業種の反発はやや鈍い印象。日経平均やグロース250指数の反騰と比べてTOPIXの反発は限られました。日銀警戒ムーブの巻き戻しで空売り筋の買戻しが中心とみられますが、年末相場も終盤に差し掛かり日本株は出遅れ修正の期待で買い手を呼び戻せるか注目されます。

【米国株概況】
米FRBの早期利下げ観測否定もさらに勢いを増す米株高、NYダウに続きS&P500も史上最高値更新が目前に

NYダウ 37,557.92(+0.68%)[37,311~37,562]
S&P500 4,768.37(+0.59%)[4,743~4,768]
NASDAQ 15,003.22(+0.66%)[14,921~15,003]
ダウ輸送株 16,104.6(+0.89%)[15,989~16,150]
半導体SOX 4,125.6(+0.53%)[4,101~4,130]
日経平均先物(CME) 33,330(+0.60%)[32,570~33,615]
ドル/円 142.25~144.96(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.608%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.931%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 74.08(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2053.80(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.907(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)12.53(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 133.18(安値110.34:2022/11/3、高値162.51:12/14)
Fear&Greed指数 80(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)77.20(安値70.30:10/13)

 米国市場は先週のFOMC後における来年の米FRB利下げ転換を見越しながらインフレ鈍化や米金利低下を背景とした株高が継続し、NYダウは9日続伸で史上最高値を更新中。さらにS&P500も2022年1月の最高値に迫っており、リスク指標のVIX指数やF&G指数は超強気の市場環境を示しています。

 米FOMCのパウエル米FRB議長発言は市場の早期利下げ期待を煽るものとなったほか、米金利の10年債利回りの4.0%割れとともに主要株式3指数の上昇はもちろんですが、長らく低迷を続けてきた中小型株指数のラッセル2000が急速にキャッチアップしてくる動きがみられました。リスク度の高い中小型株にも資金が回ってきたことが強気な投資家心理を映したものと言えるかもしれません。

 これらの背景には米FRBの金融政策見通しを巡る思惑が主題となっている一方、市場に流動性供給を行っているリバースレポ・ファシリティーの効果も無視できません。米FRBのQT(量的引き締め)政策とバイデン米政権の米国債増発により市場の流動性が徐々に吸い上げられていく一方で、この隠れQE(量的緩和)とも言えるRRFが市場に流動性を提供する仕組みによって米国株高が実現されていると言っても過言ではありません。

 米FRBはパウエル議長発言後、早速他のメンバーが市場の利下げ期待は先走り過ぎだと牽制を行いつつ、オペレーションは資金供給を続けているわけですから市場にフレンドリーな政策は変わっていないとみられます。その一方で、実体経済における景気減速とインフレ鈍化を歓迎しつつも、市場の早期利下げ牽制の裏には今後のインフレ再燃警戒を前提とした金利再上昇シナリオを想定していることも読み取れます。中央銀行としてインフレとの闘いはまだ終わっていないとの見方から、市場の流動性に配慮しつつも過度な楽観には自制を求め、次のFOMCに向けては一定の金利上昇を促す動きを見せるようになってくるかもしれません。

【日本株投資戦略】
日銀会合を波乱なく通過して一気に買戻しの動き、緩和継続による警戒感後退で海外市場との出遅れを修正へ

 日本市場は日銀金融政策決定会合の通過で日銀警戒売りのトレードが一服、売り方が買戻しを加速させて日経平均は33,000円台を回復してきました。直近の動向では33,000円台に乗せても直ちに押し戻されてしまい、打ち返される動きが続きましたのでようやく上値を抑えてきたフタが取れたと言えるかもしれません。

 ただ、日本株の現状としては海外市場で米国はじめ欧州や新興国市場でも高値更新の動きを見せる中でも足踏み状態を続けていましたので、出遅れ感が鮮明で需給状況も悪化しています。日経平均は主力どころが上昇を引っ張り、空売り筋の買戻しも入りやすいので、昨日そして本日と日銀会合後の動きで一気に25日移動平均線もブレイクしていますがTOPIXに目を向けるとまだ手こずっているように見えます。

 直近で日銀の政策修正警戒から為替円高による業績先行き懸念で売られた外需株に買戻しの動きは強まりやすいと言え、内需・ディフェンシブ系などは戻り足が鈍くなりやすいとみられるために、目先は日経平均優位、そして外需・グロース株優位の展開となるでしょう。もう少しリスク選好の動きが強まってくれば、出遅れ株や中小型株などにも資金が回っていくようになり、来週からサンタクロース・ラリーとなることにも期待が持てるかもしれません。

 いずれにせよ年末の節税売り需要も一巡してくる頃合いで、投資家も年末の休暇入りする時期です。ただその一方で、一足早く来年の新年早々のご祝儀相場を期待するのであれば、年末の薄商いをめがけて調整した銘柄のせっせと下値を拾っておくような買い手も動き出すと言ってよい局面かもしれません。年末年始を持ち越すリスクとの兼ね合いになってくるため投資家によってそのスタンスはまちまちかと思いますが、日本はとにかく政治混乱が足元における重しとなっている面が否めません。しかし、これが年内にも一定の区切りをみせるのであれば前向きにリスクテイクしていくのもよいかと思われます。

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