【12/12日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,843.70(+0.16%)[32,800~33,172]
TOPIX   2,353.16(▲0.23%)[2,351~2,372]
マザーズ   663.43(▲2.04%)[662~680]

値上がりセクターTOP5
1.電気機器(+0.67%)
2.非鉄金属(+0.39%)
3.小売(+0.25%)
4.証券・商品先物(+0.23%)
5.その他製品(+0.11%)

値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲1.69%)
2.銀行(▲1.50%)
3.鉱業(▲0.82%)
4.輸送用機器(▲0.78%)
5.繊維(▲0.77%)

 日本市場は米株高を受けて朝方に日経平均が33,000円台を回復した後、上値の重さが意識されて徐々に上げ幅を縮小する展開となりました。米利下げ観測の後退とともに債券市場では利益確定売りで金利が上昇し、グロース株買戻しも一服。最終的に東証プライムの騰落銘柄数は値上がり565/値下がり1050と値下がり銘柄が優勢となったほか、新興グロース市場では▲2%超の大幅安となるなどイベント前で押し目買いに消極的な様子も浮き彫りとなりました。

 米半導体SOX指数の高値更新を受けて国内の半導体株にも買いが向かい、東京エレクトロン(8035)などが指数を押し上げたものの、上げ幅縮小とともに日経平均も急失速する展開。日銀の政策修正観測が前のめり過ぎたこともあり金利上昇に一巡感が意識され銀行株が軟調、また為替も円安が一服して自動車株なども売られTOPIXはマイナスに転じることとなりました。

 新興市場では年末の新規IPOラッシュとなる中、先週上場のQPS研究所(5595)が一段高し人気化が窺える一方で昨日はブルーイノベーション(5597)、アウトルック(5596)の2社が新たに上場。しかしどちらも終値は初値を大きく下回り、新興市場における需給面の弱さが鮮明となりました。

【米国株概況】
米経済指標が予想通りで主要3指数はそろって年初来高値更新、早期利下げ転換見込む市場に米FRBはどう応えるのか

NYダウ 36,577.94(+0.48%)[36,373~36,596]
S&P500 4,643.70(+0.46%)[4,608~4,643]
NASDAQ 14,533.40(+0.70%)[14,385~14,533]
ダウ輸送株 15,418.6(+0.13%)[15,382~15,516]
半導体SOX 3,930.2(+0.71%)[3,880~3,931]
日経平均先物(CME) 32,865(+0.47%)[32,690~33,130]
ドル/円 144.74~146.19(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.716%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.204%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 68.80(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1995.00(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.792(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)12.07(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 148.83(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 68(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.98(安値70.30:10/13)

 米国市場は前回の雇用関連指標に続いて昨晩発表された11月CPI(消費者物価指数)が市場予想と一致したことで、米FRBの早期利下げ期待は萎みつつも景気悪化の懸念も薄れ、米経済のソフトランディング期待が株式市場の支えとなりました。米国株は主要株式3指数がそろって年初来高値を更新し、文字通りの年末ラリーを実現しています。

 注目された米11月消費者物価指数(CPI)ではほぼ市場予想通りとなりインフレ鈍化期待が続く中、市場の反応は米10年債利回りが低下し、イベント警戒のヘッジポジションが一部解消されたとみられます。これに続いて今晩は米FOMC後のパウエル米FRB議長の発言が予定されており、早期利下げ期待を膨らませる市場に対してタカ派トーンを滲ませながら牽制してくるかが注目されます。

 米FRBとしてもできる限り市場インパクトを抑えようとするものと思われる反面、市場の先走りが行き過ぎて債券の金利低下が著しく進んでしまう場合には、前回のFOMCでも金利上昇が利上げ一回分に相当するとして政策金利を据え置いた論拠を失ってしまいます。米景気の減速が利上げ見送りを裏付けるものに代わり得るものの、足元の米経済指標はまだら模様ながら米FRBが期待する景気減速を示唆するものでなかったとすればタカ派トーンを発信するしかありません。

 これらは微妙な綱渡りの中における程度問題と言えますが、市場反応は株式も債券も極端にレバレッジを効かせたカジノ相場となっているため、強弱どちらにも大きく振れやすくなっているのが現在の市場環境であることは留意しておかなくてはなりません。現状では米利上げサイクルの終盤から、すでに来年の利下げ開始時期と利下げの回数に焦点が移りつつあります。ただ、今回の米FOMC後で市場が早期の利下げが見込めないと捉えれば金利が上昇して、株価を押し上げているビッグテック株に調整圧力がかかってしまいかねないことも念頭に置いておく必要がありそうです。

【日本株投資戦略】
中銀ウィークで様子見強まる中で年末特有の需給要因が上値を阻む、政局混乱で年末の選挙相場はあるのか

 日本市場は主力株を中心に戻り足を強めて日経平均が33,000円を回復しましたが、戻り売り需要も強くあえなく打ち返しに遭いました。為替の急激な円高の反動により週初は147円台まで円安が進み、日銀の政策修正観測の勇み足を修正するとともに株式市場も大きく反転しましたが、節目の33,000円が壁となって米FOMCや欧州ECBを前に様子見姿勢が強まっています。

 米国では米FRBの早期利下げ期待が後退するとともに主力のビッグテック株にも上昇に陰りが見え始めていますが、半導体の市況回復期待から半導体SOX指数が堅調で、ハイテク株買いも主力以外が健闘を見せています。日本でも同様の展開が期待されるところですが、年末の節税対策に伴う損出しの売り需要などもあることで戻りの鈍い面も窺えます。

 とくに新興グロース市場でその影響が顕著であるとみられ、昨日は日経、TOPIXが大幅高スタートした際でも売り優勢の展開が続きました。グロース市場では今年6月中旬ごろが年初来高値で、信用取引の絶対期日も近づいていることから見切り売りが嵩みやすいとも言えるでしょう。以前解説したように12月は年末特有の需給要因があることは侮れません。

 機関投資家などは今週から来週にかけての中央銀行ウィークが終われば事実上の長期休暇入りとなるため、この時期はポジション整理に追われる他、個人投資家も今年前半の超過リターンをふまえますと低調な保有株を年末の節税対策として損切りしてしまおうとなりやすいわけです。ただし、こうした一過性の特殊な需給要因によって必要以上に売られてしまうような場合には、売り圧力が緩和してくるとバーゲンハンターが抜け目なく押し目を拾った後に急反発に転じてくることもありそうです。

 国内では日銀の金融政策に対する思惑のほかに政局波乱が巻き起こっており、岸田政権の存続が危ぶまれる事態となっています。以前も触れたように政治混乱は株式市場にとってネガティブですが、これが内閣総辞職や解散総選挙といった展開になっていきますと年末解散思惑から選挙相場で株買いのきっかけとなるかもしれませんので、年末の政治動向にも目を配っておきたいところです。

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