【12/7日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,858.31(▲1.76%)[32,814~33,195]
TOPIX 2,359.91(▲1.14%)[2,354~2,372]
マザーズ 682.28(▲2.32%)[682~694]
値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+1.96%)
2.保険(+1.41%)
3.空運(+1.21%)
4.銀行(+0.59%)
5.陸運(+0.07%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲3.21%)
2.鉱業(▲2.66%)
3.電気機器(▲2.06%)
4.機械(▲2.00%)
5.非鉄金属(▲1.86%)
日本市場は12月限メジャーSQに絡む先物・オプション売買で乱高下、前日の日経平均670円高の反動から▲587円安と大幅安となりました。日銀の植田総裁発言から政策修正観測が再燃し、債券市場では30年債入札の不調と相まって10年債利回りが0.62%から0.75%へと急伸。金利上昇警戒とともにグロース株に大きく売られる銘柄が続出したほか、為替円高も重しとなりました。
東証プライムの値上がり銘柄数は249、値下がり銘柄数は1382と値下がり銘柄が圧倒し、売買代金は概算で3兆7000億円と膨らみました。日経平均採用銘柄では東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)の半導体株のほか、エムスリー(2413)やサイバーエージェント(4751)など製造業、サービス業ともにグロース株売りで、川崎汽船(9107)や川崎重工業(7012)などバリュー株の一角も大幅安でした。
一方で逆行高銘柄にはディフェンシブ系バリュー株の東京電力(9501)が新潟柏崎刈羽原発再稼働への思惑から大商いとともに急伸、米国パランティア株の売却を発表したSOMPO(8630)が大幅高したほか、日銀政策修正思惑から銀行株などが銀行など金融株の買戻しを誘発。逆風の新興グロース市場では直近IPOのQPS研究所(5595)が前日のストップ安引けから反転してストップ高まで買われました。
【米国株概況】
米FRB利下げ転換を催促する投機ポジション、債券・為替市場ではポジション巻き戻し開始か
NYダウ 36,117.38(+0.17%)[36,021~36,164]
S&P500 4,585.59(+0.79%)[4,565~4,590]
NASDAQ 14,339.99(+1.36%)[14,220~14,353]
ダウ輸送株 15,299.3(+0.45%)[15,154~15,309]
半導体SOX 3,747.5(+2.79%)[3,669~3,756]
日経平均先物(CME) 32,445(▲1.26%)[32,185~33,190]
ドル/円 146.90~147.50(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.751%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.148%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 69.64(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2045.20(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.799(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.06(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 130.84(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 64(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)76.01(安値70.30:10/13)
米国市場では雇用関連指標が労働市場の緩やかな減速を示しつつも強い結果となり、債券が売られて金利が上昇するなど市場の警戒感を誘った一方、ビッグテックの一角アルファベットが最新AI発表で大幅高。また、半導体のAMDも最新AI向け半導体の発表により10%弱の大幅高をみせるなどハイテク株主体のナスダックを押し上げました。ほかに最新AI筆頭のエヌビディアも堅調に推移し、半導体SOX指数は+2.79%と大幅高しました。
主力株の材料動意がハイテク株を牽引しS&P500も再び4600ptに迫る一方、NYダウは小幅な値動きに終始しました。週末の米雇用統計を控える中、とくに債券市場における米FRBの早期利下げ転換期待を背景とした買い偏重のポジション動向が注目され、来週の米FOMCに向けて利益確定売りを狙ってくる頃合いともみられます。
また、為替市場においてもドルインデックスは米景気減速への懸念を反映しつつ下落基調を辿り、これが債券の金利動向によって反転材料となるかも注目されるところです。商品市況は世界の景気悪化および需要減退、在庫の膨らみを懸念して原油、工業用金属などが全般に下落しましたが、米ドル安との関係から相対的な価格上昇圧力を受けているとみられます。この足元における景気減速キャンペーンを展開しながらヘッジファンドは債券買いとその他のリスク資産に対しては売りポジションを積み上げているとみられ、これらが米雇用統計、米FOMC前後で方向転換のきっかけにされるかが目先の焦点と言えるでしょう。
これらイベントを通過する上で米国債買いが行き過ぎたものであった場合には景気減速懸念は後退するとみられ、景気敏感株や市況関連を買い戻すきっかけとなるでしょうし、米FRBには市場の早期利下げ期待を牽制しながらも米経済のソフトランディングを実現できる根拠も示す必要があります。もし舵取りを失敗すれば突発的に市場を急落させるリスクも孕んでいるために、年末にかけての投資スタンスは慎重に構えておく必要があるものと思われます。
【日本株投資戦略】
12月メジャーSQ絡みの高値波乱から景気減速懸念の演出、強弱感の対立を煽る投機ポジションの巻き戻しを見極める
日本市場は為替円高が重しとなり日経平均は最近の33,000円付近のレンジ下限を下抜け、昨日に続いて下落幅が大きくなっています。日銀の政策修正警戒から株売り加速となる展開は10月相場と似ていますが、為替水準は10月の150円台から昨晩は141円台まで円高が進んだために環境が大きく異なります。
為替が円高に振れれば日経平均は外需株主体で下落幅を拡大しやすいところですが、これをドル建て日経平均でみた場合には為替調整分で押し上げられ、海外勢にとっては上昇圧力がかかることになります。つまり、円高になればなるほど海外勢からみた日本のリスク資産はリターンが大きくなるわけで、彼らがこの11月に買い込んできた日本の株式、債券をこのまま買い越し続けるのか、あるいは年末にかけて売りに転じてくるかが重要と言えるでしょう。
昨日公表された11月第5週(11/27~12/1)の投資部門別売買状況では海外勢が2週連続での売り越しとなり、前週と異なるのは現物主体か先物主体かという点で金額ベースでは横ばいでした。日経平均が高値圏を維持する中で海外勢は売り越していたことを勘案すると、以前からこの日本株投資戦略で示してきたように利益確定を進めていくのが彼らと歩調を合わせることになっていると言ってよいかと思います。
◆〔需給情報〕11月第5週、海外投資家が2週連続の売り越し 4016億円=現物先物合計(2023/12/7)
ただし、上述した米国株概況のところでも触れたように足元の市場ロジックでは、債券市場における買いバイアスが強くかかり過ぎたことで金利低下=ハイテク株買いを後押ししてきた経緯があり、これの修正によってハイテク株には調整圧力がかかってきますがある意味当然と言えば当然です。日経平均などは値がさ主力株の動向に左右され、TOPIXは為替変動の感応度が大きい自動車株、そして金利変動の感応度が大きい金融株などの影響が大きく出てくるため、個別株の投資判断ではそれぞれの要因を細かく考慮する必要があると思われます。全体では調整が進んで10月安値を意識しながらダブルボトム形成に向かう銘柄も増えてきたため、あとは景気減速への懸念が払拭されるか次第です。上記の経済指標や中央銀行の金融政策決定といったイベントと前後して、景気減速への懸念も行き過ぎとなる場合も考慮しながら強気に転じていきたい局面と言えるかもしれません。
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