【12/1日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,431.51(▲0.17%)[33,397~33,551]
TOPIX 2,382.52(+0.32%)[2,377~2,387]
マザーズ 700.75(▲2.22%)[700~714]
値上がりセクターTOP5
1.卸売(+1.49%)
2.倉庫・運輸(+1.21%)
3.輸送用機器(+1.14%)
4.銀行(+1.07%)
5.建設(+1.00%)
値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲0.60%)
2.精密機器(▲0.46%)
3.情報・通信(▲0.35%)
4.電気機器(▲0.34%)
5.空運(▲0.27%)
日本市場は米国でNYダウ年初来高値更新の好材料にもかかわらず反応が鈍く、金利や為替動向をにらみながら上値の重い展開が続きました。米金利上昇をうけて為替がドル高円安に振れ、自動車株や銀行株が買い直されてTOPIXは反発、一方でハイテクグロースが売りに押され日経平均は反落。日本の金利上昇も相まって新興グロース市場では▲2%超の大幅安まで強く売られました。
前回に続いて半導体株もレーザーテック(6920)など一部は上値追いを続ける一方、ハイテク株は主力どころも含めて幅広く売りに押される銘柄が目立ちました。率直に言えば金利低下時の上昇幅に対し、金利上昇時のネガティブ反応が大きくなっており、年末ラリー期待も盛り上がりに欠ける様子が窺えます。市況関連もドル安を背景に商品高となり、商社株などが買われたものの素材株全般に買いが広がるまでには至りませんでした。
新興市場では直近で人気化した銘柄が反動売りで大幅安となるケースが目立ち、足の速い短期筋の動向に振り回されやすくなっています。金利低下にも一服感がみられ改めて強弱感が対立、相場の方向感は掴みづらい状況にあるものの、中間配当の受取が始まって再投資需要が相場下支えに一定の役割を果たすとみられます。
【米国株概況】
パウエル米FRB議長発言で米金利は一段と低下、MMFから投資マネー回帰で向かった先のリスク資産は?
NYダウ 36,245.50(+0.82%)[35,914~36,264]
S&P500 4,594.63(+0.59%)[4,554~4,599]
NASDAQ 14,305.03(+0.55%)[14,135~14,311]
ダウ輸送株 15,463.8(+2.96%)[15,018~15,471]
半導体SOX 3,738.3(+0.37%)[3,675~3,744]
日経平均先物(CME) 33,470(+0.15%)[33,255~33,575]
ドル/円 146.66~148.35(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.706%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.209%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 74.38(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2073.20(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.919(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)12.63(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 144.54(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 67(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.99(安値70.30:10/13)
米国市場はパウエル米FRB議長の発言にハト派部分を見出した強気派が優勢となり主要株式3指数はそろって反発、NYダウとS&P500は年初来高値を更新しました。前日に上昇していた米10年債利回りもパウエル発言を受けて一時4.2%割れまで低下、事前予想に反して米11月ISM製造業景況指数が下振れたこともこれを後押しすることとなりました。
パウエル米FRB議長は追加利上げの選択肢を維持するとしながら市場の早急な利下げ期待を牽制したものの、現行の政策金利が概ね適正との見方を示したことから利上げサイクルは終了との観測を強めました。来年の利下げ開始時期と引き下げ幅をめぐり議論される中で金利先物市場では来年1-3月期にも利下げがあり得るシナリオも織り込みが始まってきました。
ただ、足元では金利の急低下を受けて先週大きく上昇したのはNYダウ>S&P500>ナスダックと、従来の金利低下=ハイテク株買いは鳴りを潜めています。11月の急反発局面で買われたハイテク株よりも経済指標悪化を反映した金利低下が景気敏感株にむしろ資金が向かう形となっているのは不思議な印象があるかもしれませんが、これはいわばMMFなど現金同等ポジションが将来の利下げ転換を見越してリスクマネーに回帰し始めたとみられる中、米国債のほかに金(ゴールド)、そしてバリュー株など比較的質の高いリスク資産を選好していることを表しています。
また、上記の定点観測データの一覧には参照しておりませんが、中小型株指数のラッセル2000が+3%近い大幅上昇となっていることから、リスクマネーは単純に質を重視するだけでなく、仮に高リスクでも明らかに出遅れ感のある中小型株を見直し買いしたとみられます。これらは来年の動きを先取りしたに過ぎないものかもしれませんが、初動の兆候として、あるいは短期金利が低下する局面における物色傾向としておさえておくべきかと思われます。
【日本株投資戦略】
米国株高を好感できずにレンジ売買が続く日本株、年末ラリー期待も盛り上がりに欠ける相場の行方は
米国株高が投資家の年末ラリー期待を刺激するも、為替が円高に振れてきたことで企業業績の悪化を懸念して日本株は今ひとつ上値を伸ばしきれないでいます。これまで株高と円安が同居した環境になじんでしまっているため、高値警戒感から利益確定売りが嵩みやすいのも仕方ない面があるでしょう。
実際、足元の相場ではファンダメンタルより需給面で上値を阻まれている要因が大きく、海外勢の買いの手も止まってきていることから上値を積極的に買っていく投資主体が不在の状況と言えます。ただ、上記のように米国株が高値圏で値を保っている以上は日本株だけが大きく崩れるという可能性は低く、レンジ下限までくれば押し目買いも相応に入ってくるとみられます。
上述したように足元では中間配当の受取日が集中することもあって相場も大きく崩れにくいと言える状況ですが、バリュー株・グロース株問わず手がけにくい水準で消極的な様子が見て取れます。一時期よりも金利が大きく低下しているため、グロース株を手がけようにもこの先の金利低下余地を考えると、金利上昇時には逆に大きく売られることに巻き込まれかねません。バリュー株も金利低下とともに金融株などは下落してきましたが、海運や鉄鋼など指標的にはPBR1.0倍割れでも10月末の水準からはすでに反発して値ごろ感があるとは言えなくなってきています。
こうした相場の煮詰まり感から局面打開のカギとなってくるのは政府・日銀による政策や企業の個別材料となりますが、どうやら政治要因は例の自民党政治パーティー収入の裏金還流疑惑が次々と表に出てきて売り材料となってしまっています。とくに与党の政治スキャンダルは政局混乱から海外勢が売るきっかけにされてしまうものですが、この永田町のざわめきが支持率低迷に喘ぐ岸田政権にとって逆風から支持率低下の瀬戸際に追い込まれたまま政権に居座り続けるのか、あるいは政治不信を払拭するため起死回生の解散総選挙を決断させるのか、大きな分かれ目と言えます。ここから年末解散が現実味を帯びてくるであれば強気に転じていきたいところですが、それほど期待できなければ利益確定売り、戻り売りで短期ポジションも手仕舞いしていかざるを得ないでしょう。
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