【11/28日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,408.39(▲0.12%)[33,298~33,545]
TOPIX 2,376.71(▲0.21%)[2,367~2,386]
マザーズ 711.12(▲0.24%)[707~714]
値上がりセクターTOP5
1.水産・農林(+1.17%)
2.紙・パルプ(+1.13%)
3.ゴム(+1.02%)
4.鉱業(+0.73%)
5.繊維(+0.68%)
値下がりセクターTOP5
1.証券・商品先物(▲1.21%)
2.保険(▲0.98%)
3.海運(▲0.86%)
4.輸送用機器(▲0.74%)
5.機械(▲0.65%)
日本市場は高値警戒感から利益確定売りに押されつつも下げ幅を縮小する一進一退の攻防、日米の金利低下余地をにらみながらグロース株の下値を拾う動きもみられます。金利低下で銀行株はじめ証券、保険など金融セクターが弱含み、為替円高を意識した自動車株が売られる一方、円高メリットのニトリHD(9843)や紙・パルプなど内需系の一角は強含みで推移しました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり970/値下がり635と値上がり優勢でしたが、半導体株をみてもレーザーテック(6920)やルネサスエレクトロニクス(6723)が上昇してもアドバンテスト(6857)や東京エレクトロン(8035)などは精彩を欠き、日経平均の上値を抑えることとなりました。
日米の金利低下をうけてグロース株物色が強まりやすい状況ながら、国内の投資家は利益確定売りに回っており新興株のグロース市場も上値の重い状況に直面。政府のクラウド事業者認定でさくらインターネット(3778)がストップ高まで買われるなど材料株を物色する勢いは健在ながら、新高値銘柄数は伸び悩んでいます。これは利益確定売りをこなして上昇できる銘柄は限られることを物語っています。
【米国株概況】
FRB高官発言が利上げ終了期待を後押しで米金利は一段と低下、ドル安とともに金価格上昇を注視
NYダウ 35,416.98(+0.23%)[35,307~35,518]
S&P500 4,554.89(+0.09%)[4,540~4,568]
NASDAQ 14,281.76(+0.28%)[14,195~14,303]
ダウ輸送株 14,816.2(▲0.59%)[14,687~14,939]
半導体SOX 3,718.3(▲0.56%)[3,688~3,735]
日経平均先物(CME) 33,290(▲0.27%)[33,220~33,570]
ドル/円 147.33~148.85(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.752%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.316%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 76.58(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 2041.60(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.847(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)12.69(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 142.68(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 65(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.44(安値70.30:10/13)
米国市場は感謝祭明けで上値が重くなってきている中、米FRB高官からの利上げサイクル終了を期待させる発言をうけて米金利が低下、昨晩は主要3指数がそろって反発しました。米10年債利回りは4.3%に接近のほか、来年の利下げ転換期待から米2年債利回りも4.7%台にまで低下してきました。
個別株はまちまちで主力のマイクロソフトやテスラなどの上昇が目立った一方、景気敏感株や半導体株は利益確定売りに押されてダウ輸送株指数や半導体SOX指数は下落しました。金利低下でハイテク株買いの方程式は感応度がやや鈍ってきており、上昇した株を売って債券を買い込む動きが強まっているとみられます。
米金利低下に伴い、米ドルが下落する動きが目立っていますが、足元で金価格が2000ドルを突破して上昇基調を強めています。金利低下と通貨安で実物資産の価値が上昇しやすい面があるとはいえ、安全資産としての金需要が高まっているのは少し不気味さも感じられるところです。地政学リスクはイスラエルで停戦がまとまり今のところ落ち着いているものの、国連では同時に北朝鮮の軍事衛星打ち上げに警戒感を募らせており、米国は対ロシア、中東、北朝鮮、そして台湾と安全保障のリーダー役を務めるにも限界が近づいているとみられます。
足元の経済指標やブラックフライデー、サイバーマンデーといった年末商戦および米個人消費に対する見方も好調と受け止められており、家計におけるクレジット消費やBNPLの急増といった負の面もありますが、概ね米経済は堅調との見方であるようです。今週末には前回指摘した米ISM製造業景況指数が発表予定で、これが強い結果であった場合には米景気への強気な見方から米金利は上昇に転じてくる可能性があります。今後は米景気が強くて株は買いとなる期待もある反面、そうなると米FRBが追加利上げを匂わせることも考えられ、強弱感の対立から調整ムードが広がりやすいと思われます。最も重要視されている米雇用に関する経済統計が弱含みであれば、米FRBは12月FOMCで追加利上げ見送りとなる可能性は高まるでしょう。
【日本株投資戦略】
年初来高値圏での利益確定売り続く、明日の月末リバランスは短期的な押し目買い好機にも
日経平均はざっくりと33,000円~34,000円のレンジ往来と言えますが、国内勢の高値警戒感は根強く利益確定売りが上値を押さえつけています。すでに年初来高値圏ですのでこれは無理もない話で、その割に上昇しきれていない銘柄への見切り売りもこの年末にかけて強まりやすいと言えます。
その一方、足元では日米の金利低下でリスク選好しやすい環境ではあるため、急に地合い悪化が警戒されるところではありません。上値追いには慎重な見方があるものの、利益確定売りが一巡してくるまでは調整ムードが広がりやすいというのが正しい認識かもしれません。ただし、極めて短期的な見方をすれば、本日は反発期待が持てるものの、明日は月末で年金・ファンドのリバランス需要が見込まれ、最近の相場環境を考えますと株売り・債券買いが強まりやすいとみられます。よって、本日は利益確定売りの好機となる一方、明日にもう一段の金利低下がみられる場合には反対に押し目買いの好機が演出されやすいと言えるでしょう。
これまでにも12月相場の展望について触れてきたかと思いますが、国内の投資家は個人・機関も含めて株では大きな利益が出ているはずで年末にかけては利益確定売りと節税にからめた含み損銘柄の見切り売りが出やすくなると考えられます。また、個人レベルでは来年開始の新NISA枠への余力を確保しておきたい向きは例年以上に強まるとみられます。
こうした国内勢の売り圧力をこなして上昇するには海外勢が積極的に日本株の上値を買ってくることを期待します。ただ、海外株式も上記の米国株をはじめ上値いっぱいになりつつあり、当面は調整期間に入りやすくなることに留意しておく必要があります。本国の株価が冴えない、もしくは大きくドローダウンしてしまうと反対に日本株を売って穴埋めする必要も出てきてしまいます。日本株に対する上昇期待は変わらないものの、ここからしばらくの間は過度な強気、弱気は厳禁で、ひとまず長期保有株以外の利益確定売りを済ませた後では無理せず、日米の金融政策決定を見届けた上で次の相場の仕込みに入っていくのが得策でしょう。
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