【11/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,585.20(+0.48%)[33,263~33,599]
TOPIX 2,391.05(+0.95%)[2,360~2,391]
マザーズ 694.37(+0.47%)[686~696]
値上がりセクターTOP5
1.空運(+2.82%)
2.精密機器(+2.19%)
3.建設(+2.00%)
4.陸運(+1.90%)
5.電気・ガス(+1.83%)
値下がりセクターTOP5
1.その他製品(▲0.43%)
2.不動産(▲0.23%)
3.ゴム(▲0.09%)
4.なし
5.なし
日本市場は今年の年初来高値圏でもみ合い、個人投資家を中心に国内勢は利益確定売りの一方で海外勢が先物買いで強気相場を演じています。売り方が買戻しを迫られるショートカバーでV字回復を達成した日本株は、年末ラリーに向けては逆に〝持たざるリスク″を意識させる展開となっています。
引き続き主力の大型株を中心としながら物色はヨコに広がりを見せ、値がさハイテク株だけでなくグロース系では医薬品や情報・通信セクターに、またバリュー系にも鉄鋼や化学など景気敏感セクターの他に内需の建設や鉄道・航空などインバウンド関連の物色が復活し始めました。空運株などは原油安を受けて強く買われましたが、反対に売り先行で始まった石油関連株なども押し目買いが入りプラスに転じています。
大型株では上昇けん引役の半導体株が資金の回転が効いて一段高となる中、利益確定後の資金の一部はセクターローテーションで他の業種にも回り始めたとみられ、同様に新興・小型株市場にも段階的に移っていくことが期待されます。ただ、今のところ買い主体の海外勢が先物を中心とした売買に留まっており、足の速い先物買いだけでは持続性に疑問符が付くところです。相場の地合いが良好なうちにスムーズに資金が行き渡り、全体で底上げとなる相場の盛り上がりにまでつながるか注目です。
【米国株概況】
感謝祭を前にきわめて小動きとなる米国株、再びボラティリティが拡大する前兆か、米ドル急落の一方で原油は急反発
NYダウ 34,947.28(+0.01%)[34,882~35,028]
S&P500 4,514.02(+0.13%)[4,499~4,520]
NASDAQ 14,125.48(+0.08%)[14,063~14,154]
ダウ輸送株 14,932.3(+0.80%)[14,846~14,934]
半導体SOX 3,748.6(+0.66%)[3,707~3,754]
日経平均先物(CME) 33,530(▲0.21%)[33,260~33,610]
ドル/円 149.21~150.78(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.734%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.439%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 75.86(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1983.50(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.734(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.80(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 146.88(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 58(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.77(安値70.30:10/13)
米国市場は米経済指標の下振れや小売大手の決算ガイダンスを受けた米景気への懸念から米金利は弱含みでの推移となる中、商品市場でも米中の需要減速懸念から原油先物価格が急落をみせるなどしました。一方、株式市場では米景気減速は米FRBによる利上げサイクルの終了観測に自信を深める材料とみなされやすいほか、原油安もインフレ再燃の警戒が和らぐものとして好感され好感されて高値圏を維持しています。
金利上昇警戒で大きく積み上がった売りポジションによって、一見悪材料にとらえられがちな景気減速懸念も金利低下を促す好材料と化し、この売り方による買戻し圧力が株価の堅調さにつながっているとみられます。この売り方がショートカバーで踏み上げられたところに、次は年末ラリー期待だと〝持たざるリスク”を意識させるところまで強気演出がなされる点も相場の恐ろしいところで、この先の上値は文字通りのチキンレースに突入しそうな気配です。
一歩間違えると飛びつき買いはバッドロングのポジションで高値掴みとなるリスクが大きいため、ハイテクグロース株もシクリカルバリュー株も手掛けづらい局面となっています。そこで主要株式3指数および代表的なテック株なども週末は極めて小さなレンジでの取引となっており、次に動きが出る時には値動きが上下どちらにも大きく振れやすくなるとみられ緊張感漂う場面ともなっています。
前回の難所としていた米中首脳会談や米小売企業決算、米政府のつなぎ予算も無事成立をみたことで米金利は落ち着いており、リスク指標も低下を示しています。よって、現状のもみ合いも上放れとなる期待は高いですが、あくまでその前提となっている米金利低下も米景気減速を好意的に捉えているからで、売り方の買戻し一巡後は解釈が一変してくるリスクも孕んでいます。米FRBにしても今もなお追加利上げの選択肢を完全に捨て去ったわけではない以上、次の上昇局面は短期ラリーの延長としてみるべきものと思われます。
【日本株投資戦略】
決算通過後の業績相場でTOPIXのバブル後高値更新期待高まる、先行上昇した半導体株の天井をさぐる
日本市場は企業の決算スケジュールが一巡して上方修正や増配などの材料を好感して織り込みが進む一方、株価上昇による利益確定売りで再び踊り場を迎えています。年初来高値圏でさらなる上値を試すには新規材料が欲しいところで、政府からは総合経済対策を通じた政策支援や企業の株主還元策など投資家が前向きな変化を感じ取れるかが新規買いを呼び込む上での重要な要素となります。
日本企業の今回における決算評価は上方修正企業が下方修正企業の倍以上に膨らみ、業績相場として上値追い期待が高まりやすいほか、企業の自社株買い発表なども増加しています。成長重視のグロース系業種にしても足元の半導体市況底入れをはじめ内需が足踏みした7-9月を乗り越えて再び業績改善が期待されるところに入っています。政府・日銀による来年のデフレ完全脱却シナリオをベースに海外勢が改めて日本株シフトを強めてくるかが大きな焦点となります。
日本株の上昇けん引役となっている大型主力株はTOPIXコア30が日経平均やTOPIXよりも先行して年初来高値を更新、とくに先導役となる半導体関連の東京エレクトロン(8035)、信越化学(4063)をはじめトヨタ(7203)や日立(6501)、伊藤忠(8001)などの貢献も目立ちます。これらセクターの一番手銘柄に二番手、三番手が追従していけばTOPIXの平成バブル後高値更新も時間の問題と言えるでしょう。
今週は引き続き日米の金利動向をチェックしておきつつも、焦点は先週末に大きく動いてきた為替動向に移ってきそうです。前回、ドル建て日経平均を参照しながら日経平均の上値余地について探りましたが、為替が円高に振れてくればその分だけ日本円ベースの上値余地は天井が抑えられれることとなります。また、海外では米20年債入札、米エヌビディアの決算などが予定されています。日本の指数影響が大きい半導体株の動向にも関係してくるため、これらも注目しながら利益確定の好機を待ち構えておくようにしましょう。
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