【11/14日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,695.93(+0.34%)[32,667~32,836]
TOPIX   2,345.29(+0.37%)[2,344~2,354]
マザーズ   672.37(▲0.84%)[667~680]

値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+2.55%)
2.石油・石炭(+2.07%)
3.非鉄金属(+1.97%)
4.銀行(+1.77%)
5.輸送用機器(+1.37%)

値下がりセクターTOP5
1.サービス(▲0.99%)
2.倉庫・運輸(▲0.54%)
3.不動産(▲0.53%)
4.医薬品(▲0.44%)
5.証券・商品先物(▲0.37%)

 日本市場は決算材料に一喜一憂しながらも主力株が堅調な動きで続伸、米CPI待ちで商いは低調ながらも場中の売り物をこなしながら上値を試す動きは継続。米長期金利の落ち着きを好感しながら東京エレクトロン(8035)やアドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)など半導体関連の中核銘柄がそろって上昇し、指数を押し上げました。

 ただし、米金利にらみのグロース株物色は決算好感の銘柄に限定され、嫌気売りとなったリクルート(6098)やソフトバンクG(9984)、ソニー(6758)などは冴えない動きとなっています。一方、セクター別にみると原油高を受けた市況関連が値上がり上位で、エネルギーや非鉄金属が強い動きをみせた他、売り一巡の銀行株や自動車株の買戻しが強まりバリュー株の安定感が光る展開。

 足元では寄付が高くても序盤で大きく売られて始まることも多く、主力株を中心に押し目買いが入るために日経平均やTOPIXは底堅い推移ですがグロース市場では相対的な弱さが際立っています。決算反応や個別材料で急騰する銘柄もそれなりにあるものの、決算ミスした銘柄には容赦ない売り浴びせとなってしまうほか、値動きの良い主力株に資金が向かいやすいため押し目買い意欲の乏しさもみられます。

【米国株概況】
米CPIを受けて米FRBの利上げ終了観測、米株・米債券ともにショートカバーラリーの一方で米ドルは急落

NYダウ 34,827.70(+1.43%)[34,581~34,931]
S&P500 4,495.70(+1.91%)[4,458~4,508]
NASDAQ 14,094.38(+2.37%)[14,003~14,124]
ダウ輸送株 14,855.6(+3.31%)[14,536~14,932]
半導体SOX 3,685.6(+3.62%)[3,639~3,696]
日経平均先物(CME) 33,210(+1.53%)[32,670~33,245]
ドル/円 150.16~151.81(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.850%(高値0.975%:11/1、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.447%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 78.45(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1966.20(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.676(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.16(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 138.38(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 47(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)74.74(安値70.30:10/13)

 米国市場は米経済指標待ちの様子見ムードから昨晩の米CPI(消費者物価指数)結果を受けた途端に急動意、主要株式3指数はそろって上昇となったほか、ハイテク株主体のナスダックは+2.3%と大幅高、半導体SOX指数も+3.6%と急伸。さらには小型株で構成されるラッセル2000が+5.4%と急騰をみせ、怒涛のリスクオンとなりました。
米CPI、10月はコアと総合ともに鈍化-追加利上げ観測が後退(2023/11/14)

 前回指摘したとおり、この米10月CPIでは総合、コアともに伸び率鈍化で市場のディスインフレ期待にかなう内容となりました。ブルームバーグでは今回のCPI発表を前に上振れ観測記事を報じていましたが、真逆の結果となったことで市場は昨秋の逆CPIショック再現のようになりました。昨年は為替市場で大きくドル安になりましたが、今回は米株の中でもとりわけ売られてきた中小型株や米国債の中でも短期債の買戻しによる市場反応が大きくなっています。
米CPIに上昇圧力か、10月から医療保険料の算出方法を変更(2023/11/14)
米コアCPI、改善鈍い公算-FRBは追加引き締めバイアス維持か(2023/11/14)
米CPI後の円急落リスクに市場身構え、33年ぶり安値で介入誘発も(2023/11/14)

 今後のインフレ再燃に警鐘を鳴らしつつ追加利上げの選択肢を残した米FRBの市場けん制発言もひとまず後退につながるとの見方に加え、上記のような事前観測をもとに空売りした短期筋などが一斉にポジションを巻き戻す必要に迫られ、よけいにショートカバー(売り方の買戻し)を誘発したと言えるでしょう。米10年債利回りは直近の岩盤だった4.5%を下回り4.4%台へと低下し、続く今夜の米小売売上高が程よく低調な結果となれば米金利はさらなる低下を促し、米株の短期ラリーを後押しするものと思われます。

 米国のハイテク株においては以前の節目となっていた4.3%水準を下回ってくるようなことがあれば、ナスダックは今年7月の年初来高値更新も期待できる展開となります。しかし一方では、米小売指標の悪化が必要以上に下振れしてしまう場合には米国のGDPを占める割合の大きい個人消費の弱さに焦点が当たり、一転して景気後退懸念の台頭につながってしまうリスクも孕んでいる点には注意が必要です。

 とはいえ、足元ではこれらに加えて前回注目とお伝えした米小売の企業決算、そして米議会の連邦政府つなぎ予算をめぐる米二大政党の駆け引き、さらに外交面における米中首脳会談の実現など重要なポイントが多々あります。これらは一つ間違えれば波乱を巻き起こすリスクに違いありませんが、裏を返せばこれらをうまく乗り切れれば米国株の年末ラリー期待を醸成するきっかけとなり得るものでもあります。米国株が強気相場に回帰できるかという点では非常に重要で、少なくとも短期ラリーを阻むような致命的ミスだけは回避してほしい局面です。

【日本株投資戦略】
米CPI鈍化による米金利急低下で全面高期待、出遅れのバリュー、小型グロースの投資妙味と年内の日経上振れ余地

 日本株は日経平均やTOPIXなど大型株の上昇により堅調にみえる一方、値上がり銘柄数があまり膨らまずに一部の値がさ主力株に支えられた指数上昇となっているため、内容的には難しい相場の一面をみせています。決算材料で個別株を物色する手がかりは豊富にあるものの、決算反応が上にも下にも大きいこともあって短期筋による投機が活発化しています。

 前回も指摘したとおり決算プレイでは悲喜こもごもの状況となることはさておき、足元では米CPI(消費者物価指数)や米小売売上高などの経済指標待ちで市場の売買高はやや低調でした。しかし、昨晩の米CPIでは案の定、事前の観測報道とは異なり鈍化を示したことで米国株は大きく買い戻され、日本株においても米長期金利の一段の低下を歓迎するとみられます。

 米金利低下を受けて主力のグロース株はもちろん小型グロース株のリスク選好ムードも復活しやすくなるほか、バリュー株においても高配当株などが債券利回りとの格差が縮小で資金が向かいやすくなるとみられます。日本株では日経寄与度の大きい半導体関連株が上昇することで投資家心理も一段と改善が見込まれるほか、PBR1倍割れの銀行やエネルギー、鉄鋼、海運、電力、自動車といったバリュー系セクターに時価総額の大きい銘柄が所属するため、低PBRで高配当銘柄の物色とともにTOPIXが押し上げられることとなります。

 10月末の底入れ後から大きく反発した日経平均は33,000円手前で今年のレンジ内でしたが、11月後半にかけては6/19の33,772円の年初来高値を視野に、前回越えられなかった9月高値33,634円をトライすることとなります。米金利のピークアウト観測から米金利低下とともに直近で33年ぶりの円安水準と騒がれた為替も円高に振れてきましたが、海外勢におけるドル建て日経平均の上昇余地からすればあまり気にせずともよいでしょう。むしろこれが9月高値、6月高値を視野に入れた場合、10%程度の上振れ余地を残していることになり、為替水準が日銀の政策修正待ちで極端な円高に振れる公算が少ないとなれば株だけで相応の上昇をみせる可能性があるとみてよいかもしれません。

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