【10/24日本市場の確認ポイント】
日経平均 31,062.35(+0.20%)[30,551~31,210]
TOPIX   2,240.73(+0.09%)[2,196~2,247]
マザーズ   651.09(+2.74%)[618~652]

値上がりセクターTOP5
1.精密機器(+1.92%)
2.空運(+1.52%)
3.鉄鋼(+1.28%)
4.陸運(+1.07%)
5.小売(+1.02%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.37%)
2.銀行(▲0.76%)
3.医薬品(▲0.71%)
4.電気・ガス(▲0.64%)
5.保険(▲0.47%)

 日本市場は中東情勢の地政学リスク懸念後退をうけて切り返した米国株の動きをふまえつつ、朝方は従来の先物主導による下落で下値を試しましたが、中国株取引がオープンし国家隊買い支えを背景に反発を強めると急速に買い戻される展開となりました。日経平均は全場に▲600円超の下落となる場面がありましたが、前回10/4安値を下回ることなく後場には31,000円台を回復。TOPIXも一時節目の2000pt割れを見ましたが、同じく切り返し今夏以降のレンジ内に回帰する動きとなりました。

 米金利の上昇一服とともに日本でも金利上昇に歯止めがかかり、グロース株の買い戻しが強まりました。日経平均は寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)やソフトバンクG(9984)が反発し、新興市場でもマザーズ指数が一時618ptまで低下したところから大きく切り返して+2.5%近いV字反騰。高安では底値から5%超の反発となり、売買代金も膨らみました。

 注目していた東証の売買代金は3兆円台後半でセリングクライマックスとまではいかないまでも、需給面での整理には十分なレベルで出来高が積み上がったと言ってよいかと思います。個別では決算シーズンの先陣を切ったニデック(6594)が失望売りで2ケタ下落、アナリストのレーティング引き下げが嫌気された川崎汽船(9107)が▲4%下落と海運大手3社がそろって軟調でしたが、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1091/値下がり507と引けにかけて多くの銘柄が値上がりとなりました。

【米国株概況】
米金利上昇ストップでショートカバーに転じる米国株、決算ラリー期待と注目される今後の米国債増発予定

NYダウ 33,141.38(+0.62%)[32,988~33,272]
S&P500 4,247.68(+0.73%)[4,219~4,259]
NASDAQ 13,139.88(+0.93%)[13,022~13,170]
ダウ輸送株 14,238.0(▲0.01%)[14,159~14,422]
半導体SOX 3,343.9(+1.38%)[3,303~3,349]
日経平均先物(CME) 31,255(+0.34%)[30,545~31,295]
ドル/円 149.31~149.92(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.842%(高値0.880%:10/23、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.818%(高値5.000%:10/19、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 83.75(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1982.30(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.633(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)18.97(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 132.44(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 32(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)72.59(安値70.30:10/13)

 米国市場では週明けの中東情勢激化に警戒が強まっていたところ、イスラエルの地上戦展開への懸念が一旦後退したことで米株買い戻しの動きにつながったほか、もう一つの懸案であった米金利上昇に対して債券界の大物ビル・アックマン氏が米国債ショートを買い戻すとともに過度な弱気に警鐘を鳴らす発言をしたことで米国債買いが再開され、米金利上昇に歯止めがかかりました。

◆アックマン氏が米国債をショートカバー、リスク多過ぎると指摘(2023/10/23)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-23/S2ZKQ0DWLU6901?srnd=cojp-v2

 米金利上昇の一服から米株にも買い戻しが入り、月曜は主要株式3指数で高安まちまちでナスダックのみプラスでしたが、昨晩は3指数そろっての反発となりました。米金利低下と足元の決算期待でハイテク株の足並みが揃った上昇にナスダックの戻りが優勢ですが、大型グロース以外でも景気敏感バリュー株や小型株にも買い戻しの波が広がっています。指数影響度が大きく注目度も高いテスラやマイクロソフト、またアップル、エヌビディアなど決算が遠い銘柄もチャート上での重要サポートからリバウンドしました。

 昨晩は通信大手のベライゾンが決算好感で大きく買われたほか、GE、コカ・コーラ、スリーエムなどが軒並み決算高しており、GEを除くNYダウ採用銘柄の大幅反発によりNYダウも堅調な展開となりました。時間外ではマイクロソフトの好決算もこれに加わり大幅高となっていることもあり、米国株に対する弱気な見方も後退につながると思われます。

 ひとまず米金利上昇の一服とともに債券市場におけるボラティリティも落ち着きを取り戻してくるとみられ、かねてより注目してきた米FRBによる米国債買入もこれを後押しすると考えられますので、金利環境の正常化とともに米株ショートカバーがしばらく続くと期待されます。足元の決算シーズンで個別材料の買いも入りやすくラリーを強化する可能性につながる一方、米金利をめぐっては米財務省が11/1に米国債四半期入札の計画を発表する予定もあることから次の焦点になってくるものと思われます。

【日本株投資戦略】
週明けのリスク警戒が緩和して急反発、日銀政策修正の思惑が燻る中で決算期待で見直し買いが強まる

 日本市場は昨日の大幅安から急反発に転じた流れをうけてショートカバー(売り方の買い戻し)が入りやすく、これまでの極端な買い控えの動きにも変化が出てくるものと思われます。これまで先物に振り回される展開が続きましたが、昨日はプライム市場やグロース市場でも現物の売買代金が膨らんだことから売り物をこなして大商いとなったことが推察されます。

 世界的な金利上昇圧力に伴う将来の景気減速懸念や地政学リスクへの過度な警戒感が緩和するにしたがい、世界で最も景気敏感と言われる日本株にはその分だけ見直される余地が大きいと言えるかと思います。現時点ではひとまず下げ止まりから下値波乱の範囲内での動きなのかもしれないですが、売り方の買い戻し需要が日経・TOPIXの下値を強力にサポートすることになるとみられます。

 今週から日本でも決算シーズンが本格化を迎えることとなり、先陣を切ったニデック(6594)は株価としては派手に売られてしまいましたが、上期は増収増益着地ながら足元の伸び悩みは中国経済悪化の影響が色濃く出やすかったこともふまえますとやむを得ない事と割り切れる範囲かとみられます。これをもって日本企業の決算期待が萎んでしまうようなことにはならないと思われますので、今後続く企業に関しても前のめりな期待は禁物としながらも、いつまでも弱気を引きずるような局面ではないと言えるでしょう。

 来週には日銀金融政策決定会合が控える中、前回はにわかに日銀の政策修正観測が浮上してきたことを取り上げましたが、あくまでも将来材料の一つと言え、市場への配慮や現実的な目線としてすぐさま金融緩和政策の見直しにつなげられるものではないと考えます。ここに向けて政策修正の憶測が飛び交うことで市場も完全に強気転換するまでにはもう少し時間が必要かもしれませんが、足元の下値波乱を抜けてしまえば強気相場入りも期待してよい局面と言えるでしょう。

◆日銀のYCC再修正、長期金利動向を直前まで見極めて判断-関係者(2023/10/24)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-10-24/S2YJI4T1UM0W01

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