【9/29日本市場の確認ポイント】
日経平均 31,857.62(▲0.05%)[31,717~32,027]
TOPIX 2,323.39(▲0.94%)[2,315~2,351]
マザーズ 729.64(+0.60%)[726~735]
値上がりセクターTOP5
1.その他製品(+0.40%)
2.精密機器(+0.25%)
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲4.38%)
2.鉄鋼(▲3.35%)
3.鉱業(▲3.01%)
4.電気・ガス(▲2.94%)
5.石油・石炭(▲2.92%)
日本市場は米長期金利がやや低下したことをうけてグロース株に買戻しの動きがみられる一方、月末リバランスにGPIFなど年金勢の大規模株式売り需要が発生した影響から、大きく値上がりした大型バリュー株中心に幅広く売られました。日経平均は高安300円幅で上下し、一時は32,000円台回復も結局横ばい、一方のTOPIXは▲1%弱とこれまでの優位性はみられず、終日にわたって売られました。
逆行高の銘柄は日経寄与度上位の東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、TDK(6762)など半導体株のほかにファーストリテイリング(9983)やソフトバンクG(9984)なども上昇、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり429/値下がり1360と値下がり銘柄が圧倒する中で日経平均を下支えしました。また、10/2からの日経平均採用銘柄入れ替えに伴い、レーザーテック(6920)やニトリHD(9843)、メルカリ(4385)などが売買代金を大きく積み上げました。
全体売りの中でもとくに大きく売られたのが海運、鉄鋼、鉱業、電力と、これまでの全体底上げに貢献してきたバリュー系セクターで占められていることからも月末リバランス影響はこれらの利益確定売りが強く表れたと言えます。また、新興グロース市場のマザーズ指数も逆行高をみせており、物色傾向に変化が出てきた可能性も感じさせます。
【米国株概況】
米政府機関閉鎖を土壇場で回避、米国債売りのポジション巻き戻しで米金利低下および米国株買戻しを期待
NYダウ 33,507.50(▲0.47%)[33,407~33,893]
S&P500 4,288.05(▲0.27%)[4,274~4,333]
NASDAQ 13,219.32(+0.14%)[13,177~13,382]
ダウ輸送株 14,968.8(▲0.11%)[14,929~15,121]
半導体SOX 3,434.3(+0.39%)[3,421~3,461]
日経平均先物(CME) 31,825(▲0.61%)[31,710~32,125]
ドル/円 148.51~149.51(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.749%(高値0.776%:9/29、安値0.131%:2022/3/6)【高値更新】
米10年債利回り 4.579%(高値4.696%:9/28、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 90.77(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1864.70(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.733(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.52(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 134.50(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 28(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.72(安値70.30:10/13)
米国市場ではインフレ指標の8月PCE価格指数が、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数の伸びで久々に4.0%を下回りインフレ圧力の鈍化を示したのに加え、米金利がやや低下したことをうけて米国株は反発。NYダウは序盤に227ドル高と戻りを試しましたが、米議会で下院共和党がつなぎ予算案を否決したことを嫌気してNYダウは▲258ドル安まで反落とつるべ落としになりました。
ひとまず足元の原油高が鮮明なことからPCE価格指数でもエネルギー価格の高騰、インフレ懸念の再燃から米金利上昇という懸念は回避されました。他方、米金利に上昇圧力をかけていた米政府機関の閉鎖リスクですが、下院の予算案否決でどうなることやらといった感じで週末を迎えましたが、この連休中に11月17日までのつなぎ予算が土壇場で成立にこぎつけました。
これによって米金利上昇の圧力は軽減されるとみられ、また、成立したつなぎ予算にはウクライナ支援など米財政を圧迫する内容は含まれなかったことから、米国債市場ではショートカバー(売りポジションの買戻し)が一斉に起こってもおかしくないと言えます。米金利が低下へと向かい、今週のパウエル米FRB議長が米PCE結果をふまえてタカ派姿勢を若干でも緩めるようであれば米国株も買戻しの動きにつながるとみられます。
米政府機関の閉鎖が回避されたことで米財政懸念の緩和、米ドル供給量の低下で為替はドル高基調を支援しそうですが、米金利が一時的でも大きく低下すれば米国株のリターンリバーサルが期待できます。ただし、ファンダメンタル的に米金利上昇も米ドル高もトレンド転換はまだ見込みづらい状況から、現段階ではとりあえず下げ止まりを歓迎するところでしょう。
【日本株投資戦略】
米金利低下を背景にグロース株見直し買いが強まるか要注目、米中景気の改善で売られたバリュー株も調整後の押し目買い妙味
日本市場は先週の中間配当落ちや月末リバランスなど特殊な需給イベントが大きな下押し圧力となりましたが、いずれも一過性要因と言えますし、これらを消化したことでイベント前の様子見勢は再び市場参戦してくるとみられます。今週を皮切りに戻り期待の相場となりますが、まずは物色傾向をつかむことが先決となりそうです。
先週末にかけて日経平均/TOPIXのNT倍率の低下傾向が反転し、これまでのTOPIX優位が崩れています。同時に、グロース/バリュー指数も逆転現象でこれまでのバリュー株優位が崩れており、今後はこれを境にグロース株優位、日経平均優位の展開へと変化していくかを見極める必要があります。
それによって取り組むべき銘柄、セクターの絞り込み対象が大きく変わってくるわけで、もっと言えば株式市場の戻りを期待する以前に債券市場への資金還流を監視する必要があるかもしれません。足元では米金利をはじめ世界的な金利上昇でハイテクグロース株の低迷をもたらし、株式市場の上値抑制要因となりました。その代わり、バリュー株や外部環境の影響を受けにくい内需株などに物色資金が向かい全体を底上げしてきたのです。
また、米国や中国の株式市場が冴えなかったことも日本株への資金流入を後押ししたことも伝えられていますが、米国でも中国でも足元では米国内のエネルギー生産量増加や中国の製造業景況感底入れから資金戻りも考えられます。ただし、債券市場の安定化も米国、中国の景気改善も日本株にとって最終的にはプラス要因になってくるとみられ、目先は特殊な需給変動があった揺り戻しが中心かもしれませんが、前回売られたバリュー株も景気敏感株ですから次の業績相場では投資家期待も復活してくるでしょう。
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