【10/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,040.29(+1.20%)[31,901~32,260]
TOPIX 2,292.08(+0.82%)[2,281~2,310]
マザーズ 666.61(+0.96%)[664~677]
値上がりセクターTOP5
1.サービス(+1.90%)
2.精密機器(+1.77%)
3.不動産(+1.27%)
4.その他金融(+1.22%)
5.電気機器(+1.22%)
値下がりセクターTOP5
1.石油・石炭(▲0.66%)
2.鉱業(▲0.42%)
3.非鉄金属(▲0.21%)
4.紙・パルプ(▲0.17%)
5.なし
日本市場は週明けの大幅反落で全面安商状となったところから一転、昨日は米株高をうけて一気に買戻しが進み日経平均は再び32,000円台を回復。一時は全面高商状となり全戻しに近い水準まで戻りを試す場面がみられました。しかし、空売りの買戻し一巡後は失速、戻り売り圧力も強く32,000円をはさんで売り買いが交錯しました。
反発を主導したのは大型グロース株ですが、戻り一巡後の失速が大きかったのもこれらの面々で、全体が伸び悩んだことをうけて徐々に戻り売り優勢の展開となりました。日経平均・TOPIXともに先週の上値抵抗となった25・75日移動平均線の突破には苦戦するとみられ、これらを明確に越えられると買いに弾みがつきやすく、売り方も一段と買戻しを迫られるようになりそうです。
米長期金利のほか日本の長期金利も入札不調で上昇し、金利にらみの相場であるところに地政学リスクの重しも加わっています。相対的にリスクの高い新興株はマザーズ指数が年初来安値を再び更新するなど投資家心理の悪化が鮮明となっています。騰落レシオでは徐々に売られ過ぎ水準に達してきており、底入れも近いことを示唆しているものと思われます。
【米国株概況】
金利と株価の逆相関が薄れて債券売り・株買い、マクロ経済指標の改善を映した米株高は実現するかパウエル発言に注目
NYダウ 33,997.65(+0.04%)[33,854~34,147]
S&P500 4,373.20(▲0.01%)[4,337~4,393]
NASDAQ 13,533.75(▲0.25%)[13,364~13,602]
ダウ輸送株 15,103.5(+0.85%)[14,932~15,231]
半導体SOX 3,474.7(▲0.80%)[3,393~3,500]
日経平均先物(CME) 32,110(+0.22%)[31,815~32,255]
ドル/円 148.78~149.88(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.785%(高値0.816%:10/5、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.838%(高値4.887%:10/6、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 86.75(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1937.35(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.589(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.88(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 138.72(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 35(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)72.39(安値70.30:10/13)
米国市場は9月米小売売上高、鉱工業生産指数がそれぞれ市場予想を上回り米景気のソフトランディング期待が高まる一方、米長期金利が上昇してハイテク株の重しとなり、NYダウ、ナスダックは高安まちまちとなりました。引き続き中東の地政学リスクも意識される中、米政府は最新AI向け半導体の対中輸出規制強化を発表し、中心銘柄のエヌビディアが大幅安となり半導体SOX指数は大きめの下落となりました。
今週に入りNY連銀景気指数や上記の米経済指標などマクロ指標が強い結果を示す中で米長期金利は上昇、これが米景気の堅調さを反映した良い金利上昇なのか、米国政治の混迷からよけいに問題が悪化している米財政リスクを受けた悪い金利上昇なのか解釈が難しいところですが、米株にとっては金利と株価の逆相関に変化がみられています。先週は金利低下でもハイテク株高を支援せずリスクオフとなり、今週は金利上昇を意に介した様子もなく株価は上昇しています。
単純にマクロ経済の改善をうけて金利上昇、地政学リスクで安全資産需要が高まると金利低下という構図であれば、米金利上昇と株高が同居する局面というのもあり得る話かもしれません。米FRBは昨今の米金利上昇をうけて景気抑制効果として追加利上げに相当するといった見方も示していましたので、金利上昇が米FRBの追加利上げを阻止する株高要因と一時的に解釈される可能性もあるでしょう。
いずれにせよ株式市場では過度に米金利水準を警戒する見方が後退しているところ、米FRBも市場配慮する発言が増えていることもあり、明日のパウエル米FRB議長講演ではマクロ経済指標の改善といって金融引き締め強化という話ではなく、むしろ株価を刺激するような支援材料が飛び出すことも期待できるかもしれません。
【日本株投資戦略】
業績相場の本格移行を前に日経平均は25日線手前で足踏み、個別株の取り組みは25日線上抜けをクリアした銘柄に集中
日本市場は週明けの全面安から全面高とめまぐるしい展開が続きますが、昨日は大幅反発から戻り売りが優勢となり失速してしまいましたように売り方の空売り買戻しで上昇する場面があっても、買い手がそこから上値を買うような動きが出てきません。日経平均が明確に32,500円をブレイクしていくには材料不足感が否めないと思います。
ただ、直近の米国株は16日の相場で決算期待というだけで大幅高しており、米企業はビッグテックの決算期待が高いのでしょうが全体ではおそらく小幅な増収増益で着地できれば、ナスダックやS&P500などは吊り上げられると言ってもよいでしょう。日本株の場合、インデックス投資をしている方であれば日経225の寄与度が大きいファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)の株価が堅調であればそれで十分でしょうが、個別株を手がける投資家はそうもいきません。
決算期待とはいいながら今回の2Q決算はセクターや同業種内でもセグメント別の業績に明暗が分かれ、株価の反応も大きく二極化してしまう可能性があります。外需株は為替円安効果で業績が押し上げられるとの期待はあるかもしれませんが、昨年のこの時期にも財務相が為替介入に踏み切ったように円安でしたから、昨対比でみた時の増益効果は限定的となります。
よって、サプライズ決算を期待した買いというのは本当に本業が好調で、かつ下期の見通しが改善してくるであろう銘柄に絞り込んで物色しないと期待外れで終わるケースが増えてしまうかと思われます。おそらく足元で相場の地合いが軟調であるにもかかわらず全体に逆行して上昇しているような銘柄はこの業績期待を先取りした買いも含まれているとみられます。よって、目先の取り組みではファンダメンタルをベースにしつつ、株価チャートでも25日移動平均線が上向きで需給良好な銘柄を順張りしていくのが得策と言えるでしょう。
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