【9/27日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,315.05(▲1.11%)[32,315~32,643]
TOPIX   2,371.94(▲0.57%)[2,369~2,387]
マザーズ 722.12(▲1.33%)[722~731]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+1.62%)
2.銀行(+1.13%)
3.保険(+1.08%)
4.紙・パルプ(+0.53%)
5.電気・ガス(+0.40%)

値下がりセクターTOP5
1.医薬品(▲1.35%)
2.機械(▲1.22%)
3.電気機器(▲1.18%)
4.輸送用機器(▲1.14%)
5.金属製品(▲1.03%)

 日本市場は米長期金利が一段と上昇する動きを受けて、半導体株が売られて東京エレクトロン(8035)が大幅安、アドバンテスト(6857)も反落して日経平均の下落を主導。また、前日に大きく買い上げられた医薬品株が一転して売られ、第一三共(4568)やエーザイ(4523)は大幅安となりました。反対に、前日売られた金融株が買い戻されたほか、海運株も逆行高しており、相対的にTOPIXが下げ渋りました。

 他方で、米金利上昇を背景に為替は米ドル高が一段と強まり円安も150円が視野に入ってくる中、自動車株が軟調。外需企業の多いエレクトロニクス、機械セクターも売りに押されるなど地合い悪化が鮮明となりました。もっとも今週は中間配当に絡む特殊需給発生からポジション調整の動きが出やすいとみられ、配当狙いの駆け込み需要と配当課税回避の持ち高調整売りが綱引きとなっています。

 足元で年初来安値圏から反発を見せたマザーズ指数も米金利上昇による地合い悪化を警戒した売りがかさみ反落、新たにIPOした2社はいずれも初値が公開価格を下回ったほか、セカンダリー取引も大きく売られて終えるなど新興市場には逆風が吹き荒れています。投資家センチメント悪化が懸念されるところですが、ここで怯まずにリスクテイクできるかどうかで勝ち組・負け組の分かれ道になりそうです。

【米国株概況】
米長期金利の一段の上昇を嫌気して米株売り直し、投資家センチメントが急速に悪化しパニック売り前夜

NYダウ 33,618.88(▲1.14%)[33,569~33,879]
S&P500 4,273.53(▲1.47%)[4,265~4,313]
NASDAQ 13,063.61(▲1.57%)[13,033~13,199]
ダウ輸送株 14,819.2(▲1.87%)[14,803~15,047]
半導体SOX 3,329.6(▲1.77%)[3,314~3,370]
日経平均先物(CME) 31,870(▲0.66%)[31,840~32,490]
ドル/円 148.70~149.21(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.725%(高値0.765%:9/21、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.546%(高値4.566%:9/25、安値1.668%:2022/3/7)【高値更新】
WTI原油 90.47(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1919.15(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.643(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)18.94(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 133.06(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 27(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.58(安値70.30:10/13)

 米国市場は米政府機関閉鎖にみられる米財政に対する懸念の強まりや米経済指標の悪化などから終日に亘って売られ続け、主要3指数はそろって反落となりました。NYダウは200日移動平均線を割り込んで下値模索の状況となり、ハイテク主体のナスダックも今年前半の貯金を取り崩しながら安値更新の動きを続けています。

 米経済指標では8月新築住宅販売、9月消費者信頼感指数がそれぞれ市場予想を下回りながらも、米FRBメンバーらは相変わらずインフレが根強いとの見解を示しており、政治的影響力の大きいJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOもここにきて更なるインフレ抑制のための利上げの必要性を訴えました。米経済指標では今週のインフレ指標PCE価格指数を確認するまでは米国株売りを抑えるのは難しいとみられるほか、来週の米雇用統計も仮に米政府機関が閉鎖されれば発表延期となる可能性がありつつ、内容としては強い労働市場の実態を反映することになると思われます。

 米FRBの高金利政策が浸透し始める中で米景気は抑制的になりつつも、米自動車ストにみられる賃上げトレンドや原油など資源高騰にみられるインフレ圧力の再燃をふまえ、市場は追加利上げに対する警戒を捨てきることができません。米個人消費や来月の企業業績がすこぶる悪化して景気後退懸念が再浮上してくるような状況となれば、米金利も急低下して方向転換してくる可能性がありますが、米財政への懸念も加味すれば米金利はそう簡単に下がりそうにないと言えます。

 よって、米国株が下値模索を続ける警戒感が広がるのも納得ですが、それを市場センチメントではVIX指数が18.94pt、Fear&Greed指数が27ptと直近で急速に悪化を示して悲観モードが漂っています。米国市場が自信を取り戻すには米企業決算でやっぱり強いと確認する必要があり、おそらくアップルなどの業績を好感すればビッグテックへの期待も復活してくるのでしょう。

【日本株投資戦略】
日本は金利上昇一服から米株に先行して底入れ、狙い撃ちで売り込まれてきた半導体株が仕込み好機

 日本市場は米金利上昇に対するアレルギー反応として半導体株に売りが出やすい状況が続いていますが、これも日本の金利上昇が一服してきたことから最終局面に差し掛かっているとみてよいでしょう。日経平均は東京エレクトロン(8035)など寄与度の大きい銘柄に引っ張られる面が目立つほか、TOPIXも配当落ちに絡む特殊な需給発生する今週は上値が重いのも仕方ありません。

 海外勢は配当課税回避のための現物売りで代わりに先物買いで帳尻を合わせているとみられ、実際に売り込もうとする向きは少ないと言えます。9月末のリバランスを通過して現物買いを再開してくることも十分考えられますので、この月末にかけて押し目買い好機であるとの認識は変わりません。

 グロース株売りはすでに先週末、あるいは今週の初め時点で一巡しているとみられ、バリュー株・高配当株にしましても配当落ち後の押し目は狙いどころです。というよりも前回取り上げましたように海外勢がそんなチャンスを見逃すはずがありません。とくに米金利上昇警戒で米国株の上昇期待が剥落していくことを考えれば、中国リスクで中国への投資マネーが日本株に流れてきているとの報道があるように米国市場に一極集中してきた資金の流れが日本株に向かってくることも十分に期待が持てます。

 米国株・米国債から流出した世界の投資マネーが行き着く先は、頑なに金融緩和を続けている日銀によって実質金利が低く抑え込まれている日本株に向かうことはごく自然の流れであり、岸田政権はそれを自らの手柄としながら国策推進、そして日本国民に投資を促すように政策を打ち出しています。それは支持率が低迷しても、経済対策の内容が不十分と批判を浴びても、最終的には国民の金融所得底上げに腐心することによって挽回を試みようとしているのは明らかで、海外勢に日本への投資を呼びかけたのも無関係ではありません。今年最も好パフォーマンスを記録している日本株、日本経済の展望は消去法的にみても海外マネーを引き付け、より高みを目指していくことは間違いありません。

スタンダード会員へご登録いただくと、1.今後のマーケットについても展望する【先読みの近未来】、2.日々の≪重要ニューストピック≫を厳選して深堀りする【揺れ動く世界情勢の解説】などを加えた内容充実のメールマガジンをお届けします。