【9/21日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,571.03(▲1.37%)[32,550~32,939]
TOPIX   2,383.41(▲0.94%)[2,381~2,408]
マザーズ   712.52(▲2.67%)[710~727]

値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+1.38%)
2.銀行(+1.03%)
3.ゴム(+0.34%)
4.海運(+0.27%)
5.鉄鋼(+0.14%)

値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲2.22%)
2.鉱業(▲1.85%)
3.電気機器(▲1.80%)
4.医薬品(▲1.77%)
5.その他製品(▲1.53%)

 日本市場は日米の金利上昇を背景に先物売りが加速して続落、日経平均はハイテク株軟調から33,000円を下放れる動きにつながりました。英アームIPO後の材料出尽くし感からソフトバンクG(9984)が大きく売られたほか、グロース株軟調でエレクトロニクスや医薬品セクターに売りが広がり、マザーズ指数も▲2%超の大幅安となりました。

 一方、バリュー系セクターで電力や銀行、海運、鉄鋼など逆行高となる銘柄もみられましたが、先物売りと並行してバリュー株の利益確定売り圧力も強まり、TOPIXも相対的には下げ渋ったものの全体安に抗えず反落となりました。これまでの高配当・バリュー株優位の流れで全体を下支えする展開が続いてきましたが、日銀会合を前にポジション調整売りの下押し圧力が強かったとみられます。

 金利上昇警戒のリスクオフに影響を受けやすい新興グロース株が強めに売られたことによりマザーズ指数は8/18以来となる安値圏まで往って来いとなる動き。再び700pt台に接近して年初来安値に迫っています。米FOMCを通過して、残る日銀金融政策決定会合をふまえて日米の長期金利上昇に歯止めがかかるかが焦点となる中、わかりやすく押し目買い好機が演出されています。

【米国株概況】
米長期金利が4.5%をつけて高値更新、ハイテク株売りを中心に株式3指数がそろって続落

NYダウ 34,070.42(▲1.08%)[34,058~34,378]
S&P500 4,330.00(▲1.64%)[4,329~4,375]
NASDAQ 13,223.99(▲1.82%)[13,222~13,362]
ダウ輸送株 15,058.0(▲0.71%)[15,048~15,196]
半導体SOX 3,338.9(▲1.76%)[3,337~3,381]
日経平均先物(CME) 32,030(▲1.17%)[32,005~32,765]
ドル/円 147.31~148.45(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.734%(高値0.765%:9/21、安値0.131%:2022/3/6)【高値更新】
米10年債利回り 4.505%(高値4.505%:9/21、安値1.668%:2022/3/7)【高値更新】
WTI原油 89.75(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1940.35(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.695(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.54(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 135.94(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 40(FEAR:恐怖)
High Yield Bond (HYG)73.87(安値70.30:10/13)

 米国市場は米FOMCで事前予想どおり9月の追加利上げは見送られて政策金利は据え置き、今年は残る2回の会合の中であと1回の利上げオプションを温存した形となりました。一方で来年の金利見通しが引き上げられ、インフレ鈍化に沿って4回の利下げ見通しだったものが2回になるとの見立てが市場サプライズにつながりました。高金利環境が想定以上に長引くとの観測から米国株はハイテク株を中心に売りが広がり、上昇していたNYダウもマイナスに転じました。
 
 米金利上昇に伴いハイテク株主体のナスダックは20日に▲1.5%安、翌21日も▲1.8%安と大幅反落となっており、長いデュレーションを持つグロース株や長期金利には大きな逆風となりました。パウエル米FRB議長は金融引き締めに対する米経済の耐性に想定以上の強さがみられることに改めて言及して、米GDP予想を引き上げるとともに失業率予想を引き下げました。

 その中で経済の加減速につながらない中立の金利水準について言及し、これが短期的に上昇している可能性があるとしたことで投資家は一様に目線を引き上げざるを得ず、米金利は上昇するとともに米ドル指数も上昇して為替はドル円で148円台に突入しました。

 昨晩は米経済指標でフィラデルフィア連銀製造業指数が予想に反して大幅に下振れし、米2年債利回りは低下しましたが米10年債、米30年債それぞれの利回りは一段と上昇し、米10年債利回りは4.5%台に乗せて高値更新。株式、債券ともに恐怖指数が大きく跳ね上がり、文字通りのリスクオフへとつながりました。目先の米国株は米金利上昇がいつ落ち着いてくるかが焦点となり、反転には金利低下につながる材料に加え、市場外の米自動車業界ストライキや政府機関閉鎖、またインフレ懸念を助長する足元の原油高一服などが重要なカギとなります。

【日本株投資戦略】
日銀金融政策決定会合を通過して週明けには底入れ観測か、金利上昇一服をにらみつつ押し目買い好機を生かす

 日本市場は米FOMC、日銀金融政策決定会合といった中央銀行イベントにらみで買い手控えムードが広がる中、米FOMC結果をうけて金利上昇に拍車がかかったことで日本株も売られ、日経平均は33,000円割れから下落が一気に加速しました。先物主導の売りで大きな節目を割り込み、現物市場でもリスクオフが強まりましたがその分商いは膨らみ、出来高は高水準となっています。

 前回の解説に続いてバリュー・高配当株優位の展開は変わらずで、やはり金利上昇警戒から半導体株や情報・通信などグロース株の下落が指数を押し下げていますが、ここにきてはバリュー株も利益確定売りに押される展開となってきています。来週の配当権利付最終売買日に向かって高配当株も配当落ちのヘッジ売りが強まってくるものとみられ、指数の方向感も日銀イベント通過で金利上昇に歯止めがかかるタイミングとグロース株売りの一服を見極めながら、下値のサポートラインを探ることとなっています。

 おそらく本日の日銀会合を消化すれば金利上昇は自ずと一服してくるとみられ、来週前半には日本株も底入れ観測が確信を持てるようになってまいるかと思われます。ただし、日経平均上昇につながるグロース株の反転にはやはり日米の金利水準が低下してくることが前提となり、そのためにも植田日銀総裁は先日の政策変更を想起させるような市場の思惑を否定し、金融緩和継続を強調することが重要となるでしょう。

 とはいえ、日銀が実際に今回の会合で政策変更の意図があるとは誰も想定しておらず、市場が勝手に先走っただけである可能性もあることから、植田日銀総裁が変に誤解を与えるような発言をしなければ市場の混乱はただちに収束するものと思われます。他方、国連総会に出席して米国を訪れている岸田首相は、日本株振興のための資産運用特区創設を発表し、外国人による日本への投資を促進したほか、来週前半にも経済対策を打ち出すことを発表しています。これは日本株の底入れとも同期してくるとみられ、ちょうど9月中間配当の配当落ちも重なって押し目買い好機を演出してくれているとみてよいでしょう。

◆岸田文雄首相 ニューヨーク経済クラブでの講演 全文(2023/9/22)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA212Z80R20C23A9000000/
◆岸田首相「資産運用特区を創設」 海外勢の参入促す(2023/9/22)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA20CY50Q3A920C2000000/

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