【9/12日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,776.37(+0.95%)[32,486~32,799]
TOPIX 2,379.91(+0.82%)[2,360~2,380]
マザーズ 738.56(+0.34%)[736~746]
値上がりセクターTOP5
1.輸送用機器(+2.04%)
2.ゴム(+1.82%)
3.不動産(+1.81%)
4.医薬品(+1.63%)
5.精密機器(+1.58%)
値下がりセクターTOP5
1.鉄鋼(▲0.70%)
2.卸売(▲0.47%)
3.保険(▲0.09%)
4.機械(▲0.03%)
5.なし
日本市場は大幅反発で東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1392/値下がり389と値上がり優勢、日経平均は寄与度上位のファーストリテイリング(9983)、東京エレクトロン(8035)、ソフトバンクG(9984)が上昇して上げ幅は300円超となりました。騰落レシオは引き続き過熱気味ながら短期レシオはやや落ち着いてきました。
ソフトバンクG傘下の英半導体アームのIPO人気が注目を集めてソフトバンクGが連騰のほか、日本の長期金利上昇で急伸した銀行株が一時利食い売りに押されるも切り返して上昇。自動車関連も堅調でTOPIXは再び5日線を上回りました。一方で苦戦が目立つのはアドバンテスト(6857)やルネサスエレクトロニクス(6723)など半導体の一角が調整続落。また、航空機エアバス搭載のエンジン不具合が伝わり業績への懸念から重工3社が大幅安。中でも航空機産業の割合が大きいIHI(7013)は▲15%超の暴落となり安値引けしました。
足元の日本の長期金利上昇が嫌気されて不動産株なども売られましたが、主力どころでは買戻される動きがみられています。しかし一方で新興グロース株にはその力は無く、マザーズ指数は小反発こそしたもののまだまだ不調と言えます。需給面で苦しい銘柄は戻り売り圧力が強く、全体は好地合いでも物色の二極化が一段と加速しています。
【米国株概況】
アップル新製品発表は不発に終わりナスダック反落、原油価格が再上昇を見せる中で米CPIの注目が高まる
NYダウ 34,645.99(▲0.05%)[34,560~34,852]
S&P500 4,461.90(▲0.57%)[4,456~4,487]
NASDAQ 13,773.62(▲1.04%)[13,763~13,913]
ダウ輸送株 15,203.5(▲0.54%)[15,170~15,314]
半導体SOX 3,541.1(▲0.79%)[3,536~3,599]
日経平均先物(CME) 32,585(▲0.11%)[32,265~32,680]
ドル/円 146.44~147.26(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.694%(高値0.715%:9/11、安値0.131%:2022/3/6)【高値更新】
米10年債利回り 4.284%(高値4.358%:8/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 88.78(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1935.85(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.790(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.23(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 136.25(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 51(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)74.63(安値70.30:10/13)
米国市場では13日の8月米CPI(消費者物価指数)を控える中、WTI原油先物はOPEC見通しをうけて一時89ドル台へと上昇しインフレ指標への注目が高まっています。昨晩はアップルの新製品発表がハイテクグロース株の物色意欲を刺激するか注目されましたが反応は限定的なものにとどまり、一方でオラクルの決算ガイダンスが嫌気されてマイクロソフトやアマゾンなどクラウド関連が軒並み売られてナスダックは反落の動きとなりました。
米国でも日本と同様に金利動向が注目され、今週は米国債入札も3年物、10年物、30年物がそれぞれスケジューリングされています。来週には9月FOMCを控える中、米経済指標次第で金利市場も利上げ見通しに影響が及ぶとあって慎重にならざるを得ませんが、それでも昨晩の米10年国債入札を無難に消化できたことは一安心と言えます。引き続き今晩の米30年国債入札、そして米CPIは金利市場にとって波乱材料ともなり得るため監視を強化しておく必要があるでしょう。
今のところ9月FOMCの利上げは見送られる公算が高く、CMEのフェドウオッチでも93%の確率で据え置き予想となっています。ただ、足元で原油価格上昇や住宅価格の高止まりなどから将来のインフレ予想が再上昇してくる兆しが出てくるような場合、9月は利上げ見送りでもその次の11月で追加利上げが必要との声が支配的となる可能性が高まってきます。市場がそれをいつの段階で織り込みにいくか次第で米国株、とりわけハイテクグロース株の動向に大きく関係してくることを念頭に置いておく必要があると言えます。
先の心配より足元の動きといった観点からみれば、来週のFOMCでパウエルFRB議長が米経済の底堅さについて言及しつつ利上げは静観する姿勢をみせれば市場は売り方の買戻しが誘発される可能性もあると思われます。9月後半はもともと波乱含みの展開になりそうな気配がありましたから、今週来週をいかに乗り切れるかが重要と言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
日本市場の金利上昇耐性が問われる場面、外部環境の影響を受けにくい内需株選好も売り込まれた外需株には押し目買い好機となる
日本市場は植田日銀総裁の発言に長期金利が反応して上値を押さえられる重しなったものの、バリュー株の堅調に支えられて25日移動平均線割れを回避しました。日本の金利上昇懸念を織り込むにあたってはいずれ必要となる調整と言えますが、それでグロース株や新興市場が冷静に消化できるのであれば今後の日銀政策変更を迎えるにしても警戒し過ぎる必要は無くなります。
植田日銀総裁にしても自身の発言によって金融政策変更の観測気球を打ち上げたというよりも、日本経済の現況にあたり為替の過度に円安が進行していく流れを牽制することを意図したものであったとみられます。それで株式市場が売られるとしても為替円安を容認して輸入物価が野放図に上昇していく事態は回避しなければなりませんし、金融当局としてその方が国策に適うとの判断は正しいと言えるかと思います。
日本企業にとって為替円安が業績にプラスになるとの見方は以前のような世界のサプライチェーン構造とは変わってきており一概にそう言えなくなってきているのが現状です。むしろ為替円高の環境でも収益力を備えた企業が評価されるようになるとみられ、とくに日本経済の外需依存から内需振興を構造的に変化させていく流れが本格化しつつあると捉えるべきでしょう。
現在の市場が内需企業を中心に業績評価されて株価も堅調であることはもちろん、外需企業においても米国依存や中国リスクを軽減させつつ収益基盤を他の地域にも目を向けていくことが求められている時代と言えます。とくにインドやアフリカなど課題の多く残る地域やウクライナの戦後復興などはまさに特需に結びつくラストリゾートとなる可能性がありますので、日本政府の外交とともに産業界も新たなグローバリゼーションへの対応を模索している企業などが注目されるところです。
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