【9/8日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,606.84(▲1.16%)[32,512~32,920]
TOPIX   2,359.02(▲1.02%)[2,355~2,382]
マザーズ 750.25(▲0.64%)[747~753]

値上がりセクターTOP5
1.証券・商品先物(+0.16%)
2.電気・ガス(+0.10%)
3.石油・石炭(+0.09%)
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲2.48%)
2.非鉄金属(▲2.20%)
3.精密機器(▲1.54%)
4.電気機器(▲1.48%)
5.機械(▲1.36%)

 日本市場は先週後半にかけて上値を試す動きがみられるも、日経平均33,000円台を回復した後に戻り売りによって上値を押さえられました。バリュー株優位の展開とともにTOPIXも9/7高値形成で2,400pt近くまで上昇し、平成バブル後高値更新となりましたが週末は同様に利益確定売りが出て反落の動きを見せています。

 8日の東証プライムの騰落銘柄数は値上がり277/値下がり1508と値下がり銘柄が圧倒し、東京エレクトロン(8035)やファーストリテイリング(9983)の下落が指数の重しとなりました。また、TOPIXを押し上げてきた自動車株はじめバリュー株も上値トライに一巡感が出て、サービス業、製造業ともに幅広く売りが広がりました。

 足元の上昇相場においては半導体株などハイテクグロース株の上昇が一部にとどまり、どちらかと言うとバリュー株中心であったために売買代金などボリューム不足感が否めませんでした。新興グロース株も戻り一服の動きから様子見感も強まる中で、週後半にかけては戻り売りに上値を遮られる動きとなりました。

【米国株概況】
アップル下げ止まりからの反転期待高まる、9月FOMC利上げ見送り観測も米金利には上昇圧力

NYダウ 34,576.59(+0.22%)[34,473~34,627]
S&P500 4,457.49(+0.14%)[4,448~4,473]
NASDAQ 13,761.53(+0.09%)[13,733~13,843]
ダウ輸送株 15,208.4(▲0.59%)[15,173~15,310]
半導体SOX 3,566.0(▲0.45%)[3,552~3,601]
日経平均先物(CME) 32,520(+0.31%)[32,255~32,755]
ドル/円 146.60~147.86(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.641%(高値0.683%:8/23、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.260%(高値4.358%:8/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 87.23(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1942.60(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.714(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.84(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 138.18(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 51(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.62(安値70.30:10/13)

 米国市場は利上げサイクル終了期待の後退で金利上昇観測が燻る中、先週の中国政府によるiPhoneの使用制限を拡大するとのニュースが嫌気されアップルが大幅に続落するなどハイテク株主体のナスダックにとって厳しい展開を強いられましたが、アップル株には下値で買いが入ったことから指数下落もひとまず一服。

 ただ、今週はアップルによる新製品発表会をはじめ8月米CPI、小売売上高、さらに英半導体アームのIPOなど重要イベントが相次ぐほか、市場が注目する米金利動向に関して無視できない米国債入札スケジュールも控えます。8月の米国株波乱を演出した米金利と米ハイテク株動向においてはアップルやエヌビディアなどの代表株に引っ張られた面が色濃く、これらの下げ止まりが一つの反発手がかり
材料とみられています。あく抜けにはしばらく時間がかかっており、米国株の調整含みの地合いを反映したものとなっています。

 しかし米国経済のソフトランディング観測に加えて米FRBによるリバースレポファシリティにおける資金供給が奏功する形となって米国債および米国株の相場は下支えされており、金利上昇に伴う金融環境の悪化とは裏腹に市場は実態以上に底堅く推移する方向へと誘導されています。米FRBも米財務長官も米国ソフトランディングシナリオを喧伝する一方で、資金供給の蛇口を閉めることはないため再び景気の過熱感も意識せざるをえなくなり、利上げサイクルの終了を自ら遠ざけるような戦略で動いています。

 そうした背景から米国経済にとって景気抑制のための金利再上昇は必然とも言える不可欠なものですが、株価はそれと引き換えに代償を払わされる瞬間がいずれやって来ることになります。しかし、それは今すぐではなく米当局の資金供給策に用いられる準備金が払底した時であり、このままのペースでいけばおそらく年内、数ヶ月先くらいまでは延命されるはずです。その上でも市場が冷静に米国債入札をこなしながら株高基調を続けることが重要になります。9月後半はFOMCでの利上げ見送り観測が広がる中でもそれなりの試練が訪れることになるかもしれません。

【日本株投資戦略】
相場の戻り一服で今秋こそ試される日本企業の成長力、株価再上昇のカギを握るのは半導体株の出戻り

 日本市場は先週の先物・オプションメジャーSQ前に戻り高値形成し、その反動もあって調整ムードが広がりやすいとみられます。今週は外部環境におけるイベント待ちとなりやすいタイミング。場合によってはこれまでの戻り基調が一服となり、上昇を引っ張ってきたバリュー株などにも利益確定売りが出やすくなるかもしれません。

 ただ、日米金利高止まりの中でグロース株の復調が棚上げとなる中、バリュー株優位の展開は今後も続くと見られます。よって、願うことならバリュー株が調整入りする前に半導体株や電子部品株などハイテク株に物色がスムーズに移行していくことが望ましいと言えるでしょう。足元ではマクロ経済指標の悪化、とくに中国リスクへの懸念が市場の関心事になっておりますので、これを市場が織り込んでいる最中と言えます。その一方、中国では米中対立を背景にハイテク製品に対する在庫を積み増す動きが見られ始めたことから半導体製品の需給は徐々に引き締まっていくとみられ、半導体市況には反転の兆しが出始めています。

 市場の半導体株を見ますと一部で自律反発の動きが示現したものの、まだ調整地合いからの中間反騰でしかなく上昇が棚上げされてしまっている状況です。まもなく前回7月以来となる金融政策スケジュールが控えている中、上値を買う動きは限定的となるのはやむを得ないところで、先週のうちに反騰の動きにつなげられなかったのは失態と言えるかもしれません。

 しかし、日本株全体を押し上げる上ではグロース株主体での上昇が鍵を握っていると言え、いかにバリュー株の存在感が高まってきていてもその構図は日銀金融緩和が続く間は変わらないと言えるでしょう。とはいえ、日銀が金融緩和を続けていられるのも日本のインフレ環境が定着するまでの間で、徐々にそのタイムリミットは近づいてきていることは明白です。したがって、日本株は今度は自国の金利上昇を跳ね除けながら上昇していくために成長力が問われることになりますので、政府は一層の内需促進および企業は収益力向上と官民フル稼働で成長を実現させる必要が出てきます。遅くとも年末までと時間が区切られている流れもありますので、目先は株価においても経済主体においても試練を乗り越えなくては次の景色を見ることはかないません。

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