【8/29本市場の確認ポイント】
日経平均 32,226.97(+0.18%)[32,186~32,389]
TOPIX   2,303.41(+0.16%)[2,299~2,312]
マザーズ 764.79(+2.24%)[750~765]

値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+1.78%)
2.不動産(+1.32%)
3.小売(+0.88%)
4.陸運(+0.86%)
5.サービス(+0.78%)

値下がりセクターTOP5
1.電気機器(▲0.38%)
2.卸売(▲0.33%)
3.鉱業(▲0.30%)
4.輸送用機器(▲0.20%)
5.銀行(▲0.13%)

 日本市場は米ジャクソンホール会合通過後の米国株反発を好感しながら続伸、25日に大きく売り込まれた半導体株が買い戻されつつも主力どころのもたつきが見られる中、自動車関連はじめ鉄鋼株などバリュー系業種が反発。足元では東電処理水放出に対する中国勢の非難でインバウンドや外食関連が弱含んだ一方、電力株や不動産株など内需系が強い動きをみせています。

 外需株では中国リスク懸念から立ち直りつつ景気敏感株の鉄鋼や機械、自動車などが中心となって見直し買いが入っています。昨日はトヨタ(7203)の国内工場稼働停止をうけてやや売られるも、すかさず押し目買いも入っている模様。前日に売り込まれたインバウンド関連も早々に見直し買いが入り、内需・外需問わず全体底上げの循環物色の様相です。

 ただし、東証の商いが依然物足りない水準で売買代金は連日の3兆円割れと寂しい状況が続きます。薄商いの状況ですと半導体株などの株価乱高下にみられるとおり短期筋の動向に振り回されやすく、日経平均は戻りを試すも25日線付近で上値を押さえられています。指数牽引役の半導体株が本調子になると同時に商いを伴ってこの25日線を突破できるかがカギとなります。他方、元々底堅いTOPIX、大きく売られてきたマザーズ指数などはいち早く25日線を突破してきており、需給改善とともに個人投資家のセンチメントも先週までとは打って変わって回復してきているはずです。

【米国株概況】
ジャクソンホール会合通過で買い安心感、米金利低下を追い風にハイテク株の見直し買い強まる

NYダウ 34,852.67(+0.85%)[34,531~34,864]
S&P500 4,497.63(+1.45%)[4,431~4,500]
NASDAQ 13,943.76(+1.74%)[13,677~13,959]
ダウ輸送株 15,853.1(+0.86%)[15,686~15,901]
半導体SOX 3,629.6(+2.59%)[3,515~3,640]
日経平均先物(CME) 32,420(+0.65%)[32,145~32,445]
ドル/円 145.66~147.35(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.640%(高値0.683%:8/23、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.125%(高値4.358%:8/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 81.33(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1965.30(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.839(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.45(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 135.23(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 50(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)75.36(安値70.30:10/13)

 米国市場はジャクソンホール会合で特段のサプライズ波乱はみられなかったことで買戻しが優勢、パウエル米FRB議長発言をうけて利上げ継続方針を確認するもそれ自体はある程度織り込み済みの内容であることから買い安心感も広がり、主要株式3指数はそろって続伸しています。

 米金融政策見通しは年内の追加利上げが必要との見方でほぼ変わらず、事前に注目された自然利子率の具体的な議論も本会合での明言は避けられたために不透明感の解消につながりました。金融政策に関しては引き続き経済データ次第といったところで早速ながらに昨日の米求人データが下振れ、米景気の再過熱に対する追加利上げを否定する材料になりうるとして、米金利が低下するとともに米国株は反発しました。

 足元で激しい値動きとともに売り圧力が強まっていた半導体大手のエヌビディアやEV大手のテスラなどが切り返す動きを見せ、ハイテク株に見直し買いが強まりました。米金利上昇警戒でリスク資産売りの流れが反転し、原油価格の80ドル台回復や仮想通貨のビットコインなども材料好感で大幅反発するなど積極的にリスク選好する動きが顕著にみられるようになってきました。

 米金利低下の背景にあるのは直近の米経済指標だけでなく、米国債入札を順調にこなせるかどうかも重要なポイントとなっており、今週に入り米2年債・米5年債、そして昨晩の米7年債入札も無難にこなすことができました。月初の米国債増発に対する懸念は緩和して足元の経済データを見る余裕が生まれたということかと思いますが、今週は週末の米雇用統計や明日のPCEなどが注目されます。しかし、前回同様に市場はイベント通過のアク抜けから戻り基調を強めていくと同時に、来月は英半導体アームのIPOやAIフォーラムが開催される予定を控え、ハイテク株は期待買いが広がりやすいことと思われます。
マスク、ザッカーバーグ氏出席か-上院院内総務がAIフォーラム開催(2023/8/29)

【日本株投資戦略】
米中の外部環境に振り回された8月相場も終盤、リスク選好資金復活で日経平均V字回復に期待

 日本市場も米ジャクソンホール会合通過に加えて中国リスクの織り込みが一巡してきたことをうけて反発地合い、まずはイベント警戒売りの買戻しが先行した形かと思われます。しかし、個別株の物色内容を見渡せば、中国懸念で売られてきた中国関連および景気敏感株の買戻しも始まっており、元々リスク回避でも底堅かった内需・ディフェンシブ株などは一段高をみせています。

 上述したとおり市場の商い全体ではまだ夏休みモードで売買代金が膨らんでこない状況ですが、ひとまず波乱警戒モードは大きく後退してリスク選好の資金流入があちこちでみられるようになっています。象徴的なのは昨日のマザーズ指数の反発にみられるとおり、25日移動平均線を突破すると同時に上値を試す動きが強まりました。

 マザーズ指数は8月中旬のリスク回避時期に底値圏で大きな出来高を積み上げており、株価下落に耐えきれない弱気派の投げ売りを強気派が買い受ける形で手替わりがだいぶ進んだものとみられます。これによって需給逆転となり、市場のセンチメント改善とともに戻りを強めるリバーサルの動きが強まっているとみてよいでしょう。

 投資家のリスク選好資金が戻ってきている一方で市場商いは低調なままですが、その分株価の戻りは早くなるとみられます。日経平均などは先物・オプションの出来高が低水準のままですが、これも投資家が夏休みから戻ってくれば先物主導での買いが復活してくるものとみられます。

 TOPIXをみれば分かるとおり、市場全体ではすでに需給状況は好転して25日移動平均線(需給線)を上回っていますので、あとはどのセクター、個別株がパフォーマンス優位なのかになってくるかと思います。手がける銘柄の好みや相性などもあるかと思いますが、中国リスクが解消すれば景気敏感株の買戻しがより強まりやすいでしょう。日経平均も来週にかけてのところでは出遅れ修正の動きにつながってくるものと思われます。

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