【8/18日本市場の確認ポイント】
日経平均 31,450.76(▲0.55%)[31,275~31,644]
TOPIX   2,237.29(▲0.70%)[2,228~2,248]
マザーズ 714.39(▲0.93%)[708~721]

値上がりセクターTOP5
1.卸売(+0.11%)
2.紙・パルプ(+0.06%)
3.石油・石炭(+0.01%)
4.なし
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.電気・ガス(▲2.07%)
2.小売(▲1.66%)
3.建設(▲1.52%)
4.陸運(▲1.29%)
5.空運(▲1.26%)

 日本市場は米半導体大手の決算材料を好感した半導体株の主力どころに反発の動きがみられたものの、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり334/値下がり1448と値下がり銘柄が圧倒して続落。朝方に安値をつけた後、中国不動産危機に対する中国当局の政策期待から買戻す動きがみられたものの、当の中国市場がズルズルと下げ幅を拡大させるとともに日本株も連れ安となり、安値圏まで押し戻されて引けました。

 上記の半導体のほか、直近売られた商社や非鉄金属、海運など市況関連の一角に買戻しの動きもみられましたが、反対にここまで値を保ってきた内需株、とくにインバウンド関連や電力・ガスなどディフェンシブ株の売り圧力が強まりました。日経平均はすでに底割れして下値模索の展開ですが、TOPIXは7/12安値2,215ptの下値を意識しつつ75日移動平均線付近で持ち堪えています。いずれも重要なサポート割れでは売りに勢いがついてしまいかねず、土俵際に追い込まれた状況と言えます。

 決算シーズン後の需給整理に加えて、日米金利上昇という追い打ちをかけられている新興グロース株は売り圧力が継続、強い逆風にさらされた8月第3週は水準を大きく下げた一方で出来高は高水準。7月中旬以降、夏枯れ相場の如く商いが低調だった新興市場では決算期待の剥落とともに投げ売りする投資家と、それを買い受けるバーゲンハンターの売買が交錯し合い、徐々に手替わりが進んでいるとみられます。

【米国株概況】
米金利上昇の一服が安心材料も燻る中国リスク、堅調な米経済を下支えする米消費者の懐事情

NYダウ 34,500.66(+0.07%)[34,263~34,587]
S&P500 4,369.1(▲0.01%)[4,335~4,381]
NASDAQ 13,290.78(▲0.20%)[13,161~13,335]
ダウ輸送株 15,700.6(+0.37%)[15,516~15,744]
半導体SOX 3,462.7(+0.48%)[3,405~3,475]
日経平均先物(CME) 31,460(▲0.03%)[31,225~31,625]
ドル/円 144.93~145.87(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.618%(高値0.661%:8/3、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.251%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 81.40(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1918.40(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.720(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.30(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 134.77(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 45(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)74.09(安値70.30:10/13)

 米国市場はようやく米金利上昇の一服に加えて、株式オプションSQ通過による需給整理も一巡し、米国株は下げ止まり感が感じられるようになってきました。まだ決めつけることはできませんが、強い米経済指標が続いた一方で米2年債利回りは5%で頭打ち感がみられ、一方で不気味に上昇してきた米30年債利回りも4.4%台をつけたところで買いが入り始め、長期ゾーンの金利上昇に歯止めがかかりました。

 米国市場では堅調な経済指標を背景に米FRBが利上げサイクルを長期化するとの見方を織り込みつつ、関心は金利の高さよりも長さに移っているとみられ、今週24日~26日にかけて開催されるジャクソンホール会議では次回のFOMCで利上げするかどうかよりも自然利子率や中立金利の見直しなどが新たな議題に浮上するとの見方が出てきています。昨年来続けられた各国利上げ競争にみられるインフレ退治からグローバル経済の大きな枠組み変更に目が向けられるとみられます。

 インフレ長期化の背景には世界的なサプライチェーン再構築の動向が大きく関係しており、とくに米国は悪材料が次々と出てくる中国関連リスクを横目に対中デカップリング政策を強める動きを見せています。米中間の緊張が強まる過程で中国側は米国債保有を減らしている一方、中国リスク回避の安全資産逃避需要から日本や英国などフレンド国は米国債の買い手に回っている構図で、日本勢では金利が上昇し始めた日本国債から米国債に資金を振り向ける国内生保の動きなども注目されています。しかし、今や債券プレーヤーは各国中銀や金融機関などだけでなく、債券ファンドを通じた個人マネーも大量に入っている状態で、債券投資への期待が高まっている間は良いものの、一度リスクが顕在化した時にはじっくり満期保有とも言ってられなくなり解約売りが殺到する事態も想定しておかなくてはならないでしょう。

 足元では中国リスクが悪材料となって世界株安に影響が及んでいる一方、これまでの間に中国経済との切り離しが進んだこともあって影響度合いとしてはだいぶ限定的になっている感があります。米国リーマン・ショックとはそもそもの性質が異なりますが、この余波はまだ数カ月に渡り重しとなる可能性があります。しかし、それゆえに質への逃避から米国債ニーズが高まりやすく、強い米国経済への信頼が試されることとなります。

 米国株などは米金利低下をうけて自律反発の動きは見せると予想され、しかしその一方で、持続可能性としてはまだまだ疑問が残るところです。まだ先の話ですが、時間の経過とともにコロナ禍での強制貯蓄が枯渇し、米国民が資産を取り崩す必要に迫られて米国株も米国債も換金売りが集中する局面がありそうなことには留意しておいた方がよいでしょう。 
米消費者、パンデミック期の貯蓄縮小-リセッション回避か否か鍵握る(2023/8/20)

【日本株投資戦略】
◎米ジャクソンホール会議待ちで調整地合いが継続、全体に先がけて半導体株の自律反発が試される

 日本市場は米国市場の金利上昇一服が好材料、中国市場の株安、人民元安がまだ下げ止まりの水準を見通せないことが悪材料で、全体としてはまだ先週の警戒感が燻る日がしばらく続きそうです。しかし、前回お伝えしましたように下げ止まり感から自律反発が期待される半導体株などの動向次第では日経平均が案外下げ渋るようになってくるものと思われます。

 米国に関しては週後半にジャクソンホール会議を控えており、これはリスク要因としてというよりもイベント通過とともにアク抜け期待が高まるものでもあるとみてよいでしょう。その前に半導体株の動向において重要視される米エヌビディアの決算発表が予定されていますので、これが好反応となれば主力のアドバンテスト(6857)やレーザーテック(6920)などの半導体関連株にまで好影響が及ぶ可能性も期待できます。

 全体としては今週も調整地合いが続くと見込まれるものの、半導体株が早々に底入れ反転してくるようであれば他のセクターも一、二週間遅れて調整完了となってきます。ここからは順次、押し目買いを狙っていきたいところであり、むしろジャクソンホール会議をめがけて積極的にリスクテイクしていく強気の姿勢が求められるところかと思われます。

 チャート的には底抜けして明らかに7月時よりも形状が崩れており、それまでの日本株に強気な声が鳴りを潜めて下落警戒する投資家も増えていそうな局面ですが、諸所のリスクを織り込みながら株価は調整してきました。メディアではいかにもこれから多きなリスクが炸裂するかのような悲観記事も目につきますが、むしろエブリシングバブルの崩壊だと騒ぎ始めようものなら迷わず買い向かうチャンスになるでしょう。そうは言っても、おそらく今週はイベント待ちで一進一退、あわよくば半導体株を先駆けに自律反発を期待しておきたいところかと思います。

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