【8/17日本市場の確認ポイント】
日経平均 31,626.00(▲0.44%)[31,309~31,704]
TOPIX   2,253.06(▲0.34%)[2,227~2,254]
マザーズ 721.12(▲0.74%)[708~723]

値上がりセクターTOP5
1.銀行(+1.17%)
2.保険(+0.92%)
3.ゴム(+0.69%)
4.金属製品(+0.59%)
5.証券・商品先物(+0.53%)

値下がりセクターTOP5
1.精密機器(▲2.56%)
2.卸売(▲1.37%)
3.鉄鋼(▲1.19%)
4.鉱業(▲1.18%)
5.紙・パルプ(▲1.15%)

 日本市場は海外市況悪化をうけた調整が深まり、日経平均は6/2以来の水準に到達、一方TOPIXは7月中旬の水準を堅持しました。米金利上昇に加えて日本含む世界的な金利上昇警戒からグロース株に逆風が吹いています。半導体株の軟調やファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクG(9984)など日経寄与度の大きい銘柄が続落の一方、TOPIXへの影響度が大きいトヨタ(7203)やメガバンクをはじめとする銀行・保険といった金融株など主力銘柄には買い戻される動きもみられました。

 中国リスクへの警戒に対して中国当局による景気刺激策への期待もあり、中国市場の復調にあわせて日本株にも買戻しの動きがみられるなど、改めて中国株ヘッジで日本株が下落してきた側面を確認した形。主力の東京エレクトロン(8035)やソフトバンクG(9984)などの戻りとともに日経平均も下げ幅を縮小するなど外部環境にらみの展開が続いています。為替のドル高円安が進む中、ドル建て資産の下落によって商品市況が軟化し、資源株の商社や鉄鋼、非鉄金属などが引っ張られて下落する場面もみられました。

 引き続き新興グロース市場は下値模索を継続、マザーズ指数は前回節目として注目した700ptまでの下押しは見られなかったものの今年1月の年初来安値が視野に入る708ptまで下落しました。米金利上昇に合わせて日本の金利先高観も強まる中、改めてバリュエーションを正当化できるだけの成長性が問い直されることとなり、足元の業績動向をふまえた選別色が一層強まり明暗が分かれています。

【米国株概況】
米金利のさらなる上昇に米国株売りに警戒広がる、来週に迫る重要なエヌビディア決算とジャクソンホール会合

NYダウ 34,474.83(▲0.84%)[34,440~34,888]
S&P500 4,370.36(▲0.77%)[4,364~4,421]
NASDAQ 13,316.93(▲1.17%)[13,303~13,535]
ダウ輸送株 15,643.1(▲1.04%)[15,618~15,884]
半導体SOX 3,446.4(▲0.97%)[3,437~3,492]
日経平均先物(CME) 31,380(▲0.92%)[31,290~31,775]
ドル/円 145.61~146.56(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.635%(高値0.661%:8/3、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.283%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 80.17(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1919.15(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.686(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)17.89(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 132.51(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 46(NEUTRAL:中立)
High Yield Bond (HYG)74.04(安値70.30:10/13)

 米国市場は前回同様、直近の米経済指標が堅調なことや企業業績の上振れ、そして7月FOMC議事録公表によって改めて金利高止まり観測が強まる形となっており、米金利上昇に拍車がかかっています。米国株は米金利上昇を嫌気して売られる銘柄も目立ち、グロース株や金融株への逆風が鮮明です。

 昨晩にいたっては小売企業の決算で改めて米個人消費の底堅さを確認し、小売大手のウォルマートやホームデポなどが力強く上昇してNYダウも反発していましたが、その後の急失速で反対に大きく売られる結果となり、主要3指数もそろって続落しました。NYダウ、S&P、ナスダックそれぞれ50日移動平均線割れとなり需給悪化が鮮明、リスク指標もF&G指数が46ptまで低下して評価は中立ですが、もう一歩で恐怖に足を踏み入れるレベルまで投資家心理が悪化しています。

 かねてより注目してきたのは米金利の動向ですが、昨晩はまず米10年債利回りが4.3%をつける場面があるなど昨秋以来の水準にまで達したほか、米30年債利回りは4.43%をつけて長期金利の先高観を強めるものとなっています。とくにこれを受けて米住宅ローン金利が再び7%台をつけるなど足元では底堅い米経済ですが、将来的にはこの高金利が実体経済を蝕んでいくこととなります。

◆米30年物住宅ローン金利、7.16%に上昇-2001年以来の高水準に並ぶ(2023/8/16)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-16/RZHGNADWLU6801
◆米住宅ローン金利、7.09%に上昇-2002年4月以来の高水準(2023/8/18)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-08-17/RZJMNFDWRGG001?srnd=cojp-v2

 一方、ここまでの展開において米金利上昇を背景にリスク回避の動きにつながることに警戒してもきましたから、概ね想定どおりと言えるかと思いますが、ここから改めて注目されるのは半導体株の動向です。直近でエヌビディア株の反発もあり半導体SOX指数もともに自律反発の動きを見せましたが、このエヌビディアの決算発表が来週23日に予定されています。この決算が好感されて米国ハイテク株が最新AIブームの熱狂を取り戻すのか、決算ミスでリスクオフが全面に広がってしまうのか明暗が分かれるところとなりそうです。

◆米著名投資家、巨大IT・中国株離れ 半導体関連にシフト(2023/8/18)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC157B30V10C23A8000000/

 これは一企業の決算に対して少々大げさかもしれませんが、米国株はハイテク株の動向次第とも言えますのでそれだけ注目度が高いと言えます。全体としてみますと、それ以上に注目なのはその翌24日~26日にかけて開催されるジャクソンホール会合であり、米FRBの今後の金融政策に関する言及が最重要であることは議論の余地はありません。今回は金融政策のルールを見直すきっかけとなるかもしれない重要な議論が繰り広げられる可能性もあり、米国株および米金利の動向はこれを境にして大きく風向きが変わることになるでしょう。

【日本株投資戦略】
日経平均の底割れに警戒売り広がる、来週イベントに向けて高まるバーゲンハンティングの妙味

 日本市場は米国株、中国株それぞれのリスク警戒から日経平均も7/12安値を割り込んで一気に下げ加速、6月初旬以来の水準にまで押し戻されてきました。とくに米国はじめ世界的な金利上昇警戒からグロース株売りが強まっており、外部環境の影響を受けやすい日経平均はTOPIXをアンダーパフォームしてNT倍率も低下が鮮明です。

 これまで見てきましたように日本株は、世界景気敏感株としての側面から8月に入ってからの下げは米国債格下げや米銀行不安の燻っている米国株よりも劣後しており、直近でのドル建て日経平均のパフォーマンスは為替円安によって余計に悪化が鮮明です。しかし、今回の下落は米国発の金利上昇要因が注目されるとともに、中国の不動産バブル後遺症の影響もかなり大きく作用しています。これには以前すでに解説しましたように、中国株の下落ヘッジとしての日本株売りという海外勢の都合を汲み取る必要があると考えます。

 日本株は実際に金利上昇あるいは先高懸念を嫌気したバリュエーション調整という側面は持ちつつも、中国株ひいてはアジア株下落のヘッジ対象として利用される面は無視できず、それがかえって必要以上に下げ過ぎる場面を生み出します。つまり、以前解説しましたように日本株の投資妙味は先日の短期筋が仕掛ける決算プレイではなく、足元での調整が深まっている半導体株や景気敏感株などのバーゲンハンティングにこそ旨味があるところです。

 米国株と同様、とりあえず全体相場の行方を左右するのは来週のジャクソンホール会合であり、その辺りまでを値幅あるいは日柄としての調整期間としてみておく必要があるでしょう。しかし、半導体株などにおいては意外にも金利上昇環境の中で考えれば押しが浅いとみられ、次の相場の立ち上がりも案外早くなるのではないかとみています。

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