【8/15日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,059.91(▲1.27%)[32,031~32,613]
TOPIX   2,280.89(▲0.98%)[2,276~2,314]
マザーズ 748.61(▲1.44%)[748~763]

値上がりセクターTOP5
1.ガラス・土石(+0.94%)
2.紙・パルプ(+0.85%)
3.小売(+0.75%)
4.サービス(+0.10%)
5.なし

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲4.47%)
2.不動産(▲1.86%)
3.機械(▲1.83%)
4.電気機器(▲1.68%)
5.繊維(▲1.57%)

 日本市場は様子見ムードの中で一進一退、市場のエネルギー不足により上値を戻しきれない中、米国の半導体株が自律反発をみせたことで半導体株のアドバンテスト(6857)や東京エレクトロン(8035)に買戻しの動きが出始めました。シクリカルバリュー株や内需系は引き続き堅調な動きを見せるも、指数インパクトが弱いため日経平均は25日移動平均線回復にも苦戦しています。

 一部の半導体株に見直し買いの動きがみられたことは注目に値しますが、その一方で好調だった内需株などに利益確定とみられる動きも出ています。銀行株や不動産株などの調整はTOPIXの重しとなってきますので、指数上昇のためには為替円安を追い風に外需株が復活してくる必要があります。自動車やエレクトロニクス、商社などが冴えない動きの間は高望みできませんが、市場の商いが増加するにしたがって出遅れ修正の期待は持っておいてよいでしょう。

 他方、グロース株の中でも大型株と小型株ではまた状況が大きく異なっており、マザーズ指数は未だ下値模索の展開が続いています。一部には局所的に強く買われる中小型株なども目につき、地合いは悪くないと捉えられがちですが、反対にストップ安銘柄も続出してしまうなど両極端な動きがみられています。リスクマネーの動向として注目すると、このマザーズ指数の下落基調が直近安値付近で収まるのか、あるいは年初来安値更新や節目の700pt割れまでをみるのか非常に重要な局面を迎えています。

【米国株概況】
米金利の一段と上昇に警戒感強まる、米銀格下げネタは分かりやすい買いシグナルに

NYダウ 34,946.39(▲1.02%)[34,908~35,219]
S&P500 4,437.86(▲1.16%)[4,432~4,478]
NASDAQ 13,631.05(▲1.14%)[13,611~13,774]
ダウ輸送株 15,965.0(▲1.76%)[15,957~16,203]
半導体SOX 3,554.0(▲1.70%)[3,552~3,608]
日経平均先物(CME) 31,940(▲0.96%)[31,880~32,385]
ドル/円 145.10~145.87(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.622%(高値0.661%:8/3、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.226%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 81.00(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1932.75(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.660(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)16.46(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 136.69(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 57(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.58(安値70.30:10/13)

 米国市場は米経済指標や小売決算で製造業の落ち込みと個人消費の堅調さを改めて確認、いずれも市場予想対比での下振れ・上振れはありましたが概ね基調どおりの結果と言え、最近になって見方が変わってきた米国経済ソフトランディング見通しへの期待を高めるものとなりました。

 米国経済が底堅いとの見方は米FRBが追加利上げを講じる理由となり得ることから、米金利の上昇基調もまた正当化されることとなります。そんな中で再び持ち上がってきたのが米銀の経営不安で、先日、米国債格下げを発表して話題となった格付会社のフィッチが米大手銀行の格下げを警告する見通しを示しました。これをうけて米国株は金融株が下落したほか、直近強かったエネルギー株や景気敏感株なども一緒になって売られました。

 実際、米銀の格下げ騒動はさほどサプライズでも無い話ですが、先日の米国債格下げ騒動と相まって米金利市場は神経質になっているのが現状です。米2年債利回りは5.0%、そして米10年債利回りも4.2%、米30年債利回りも4.3%とそれぞれ心理的節目となるところを超えてきたほか、さらに米FRBが金利高止まりを支持する以上、米ドルが強含むのはもっともな話です。

 この足元の米ドル高でドル建て資産の価格は抑制され、商品市況の実勢が覆い隠されやすくなります。しかし、米国経済も強くて商品市況も高騰してきている現状は、水面下でのインフレ再燃という情勢変化を読み取る必要があります。一方で、中国経済の低迷が不動産市況悪化とともに再び注目を集めており、これもまた金融市場での重しになっています。

 これには米中の外交・通商問題も深く関わってきて、欧米の対中デカップリング(デリスキング)政策により中国の景気減速が欧米経済のインフレ抑制には作用しづらくなっていることも非常に重要ですが、複雑なことは抜きにして考えるならインフレ再燃が結果的に米国の実質金利を押さえて米国株の再上昇期待を刺激します。目先は米金利上昇の水準見極めが第一ですが、現水準のところで上昇一服、そしてハイテク株の反発といった前回も注目した投資判断材料が確認できれば十分です。上記のフィッチ米銀格下げネタなどは分かりやすく買いサインとなりそうな話で、金融株の押し目好機も一緒に探っていきたい場面です。

【日本株投資戦略】
金融環境の逆風により次の上昇相場がセットされる展開、グロース株への資金シフトも念頭にハイテク株の押し目買い

 日本市場の現状としまして、日米の金利上昇を横目にグロース株の上値は抑えられ、相場がもたついているうちにバリュー株が躍進をどこまで続けられるかがカギとなります。グロース株の復調に合わせてこのままスムーズにバリュー株⇒グロース株への資金シフトが進むのが理想的で、その歯車が噛み合わないとバリュー株の上昇一服後は全体で調整を強いられる可能性が強まってしまいます。

 今週は全体として売買手控えモードであるはずで、今だけの一時的な動きと割り引いて考えてしまってもよいかとは思います。外需株の見直しとともに相対的に内需株売りとなる面も留意しておく必要があるものの、企業業績や国際マクロの情勢からすれば内需株の優位性は引き続き継続する見込みで、実際に好業績、高配当利回りといった投資家の買いを呼び込みやすいといったポイントは押さえておきましょう。

 ただし、目先の投資戦略といったところでは、これまでの夏休みモードから目を覚まさなければいけない時です。【米国株概況】でも上述のように米国経済のソフトランディング期待が高まっている現状の中、米FRBは先日解説しましたように金融機関への緊急時資金供給対応という形で金融リスクに対するセーフティネットをあらかじめ用意してきました。

 そこで出てきたのが中国の不動産バブル不況の蒸し返しと欧米の金利上昇環境、そして上記フィッチによる米銀行の格下げ警告であり、こうした諸々の金融環境悪化要因を理由に市場へ資金を供給するということですから、実質的に臨時の金融緩和策を講じていることと変わりありません。つまり、米国経済は金融緩和を必要としていないほどに堅調なデータが示されているにもかかわらず、足元のインフレは抑制的、そして金融不安といったことを言い訳に金融緩和するという中央銀行の政策により、米国株は持ち直す動きへ、そして日本株においても上記グロース株の復活とともに上昇再開の機運が高まっていくものと思われます。

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