【8/1日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,476.58(+0.92%)[33,203~33,488]
TOPIX 2,337.36(+0.64%)[2,321~2,337]
マザーズ 780.62(+0.42%)[776~786]
値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+3.29%)
2.海運(+2.60%)
3.輸送用機器(+2.20%)
4.医薬品(+2.09%)
5.鉄鋼(+1.40%)
値下がりセクターTOP5
1.銀行(▲1.23%)
2.保険(▲0.34%)
3.サービス(▲0.17%)
4.化学(▲0.08%)
5.なし
日本市場は日銀警戒の一服感から買い戻しが加速、TOPIXは年初来高値更新で騰勢を強める一方、日経平均は33500円付近で上値抵抗との攻防戦。為替ドル円が138円付近から142円台後半まで円安に振れており、外需株の見直し買いも加わっています。昨日はトヨタ(7203)が決算で買われたほか、半導体株にも強い動きがみられ、電子部品や精密機器などの関連銘柄にも物色が波及しました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1064/値下がり710と値上がり優勢、さらに売買代金も4兆円超えと活況が続いています。日銀イベントや月末月初の特殊受給に絡んだ売買が増加しやすいとはいえ直近3日間は5.7兆円、5.1兆円、4.3兆円と連日の大商いで、為替円安の影響からドル建て日経平均の上値は重いながらも海外勢の日本株買いは継続とみられます。
連日でほぼ全面高商状となる日が続いていますので、セクター問わず個別株も強いかのように思われがちですが、実態としては決算プレイでまちまちの展開。とくに指数上昇が派手とあってリスクオンの期待感は強いものの、大型の景気敏感株や内需好業績株などに物色が集中する構図です。中小型株や新興株はまだ決算まで時間があるということもあり、物色の蚊帳の外に置かれ気味になっていると言えます。
【米国株概況】
決算ラリーの再開でNYダウは年初来高値に接近、米金利上昇でハイテク株の上昇には陰りも
NYダウ 35,630.68(+0.20%)[35,526~35,679]
S&P500 4,576.73(▲0.27%)[4,567~4,584]
NASDAQ 14,283.91(▲0.43%)[14,215~14,309]
ダウ輸送株 16,530.4(▲0.52%)[16,319~16,574]
半導体SOX 3,858.2(▲0.09%)[3,818~3,866]
日経平均先物(CME) 33,200(▲0.63%)[33,150~33,470]
ドル/円 142.21~143.53(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.592%(高値0.612%:7/31、安値0.131%:2022/3/6)【高値更新】
米10年債利回り 4.023%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 82.10(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1987.80(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.910(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.93(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 142.57(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 77(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.77(安値70.30:10/13)
米国市場は米経済指標で雇用と製造業の景況感に関するデータが発表され、いずれも弱含みの結果となりましたが週末の米雇用統計待ちの側面が強く様子見ムードです。引き続き米企業決算を手がかりとした物色は続き、この日は建機大手のキャタピラーが決算で好感され大幅高となるなど、米景気悪化に対する懸念は大きく後退しています。
シクリカル(景気敏感)バリュー株が買われるのと同時に米金利も上昇と歩調を合わせている様子から、米国経済に対するソフトランディング期待が高まっています。ただし、米長期金利が4.0%を再び上回り始めたことに対する警戒感もあり、ハイテク株などの上値は抑えられやすくなっているとも言えます。
ビッグテックに代表されるハイテク株決算も明日のアップルやアマゾンなどを乗り切れば一区切りとなり、これまでで大半の米企業決算を消化してきましたが、その多くで市場予想を上回る実績や見通しを発表する米企業が続出しました。これで米企業のミクロデータから米景気に対する自信回復につながり、マクロデータの下振れても市場はある程度底堅く推移するとの見方に変わってきています。
しかしそれ以上に、来週以降の米国債入札などが重要となってきますが、ただ、足元では米FRBも流動性供給策のBTFP(バンク・ターム・ファンディング・プログラム)の残高を増やしており、事前にある程度のセーフティネットを構築しているとみられます。目先のヤマ場は前回お伝えしたように決算ラリー後の買い材料が出尽くした後の展開になるのですが、それなりの市場波乱は覚悟しておきつつもリスク指標が反応して株価調整が起こるような場面ではむしろ果敢に押し目買い好機として活かしていきたいところでしょう。
【日本株投資戦略】
為替円安とTOPIXの新値追いに勢いづく日本株、金利上昇環境への対応で改めてバリュー株、高配当株への比重が高まっていく可能性
日本市場は日銀会合後の強烈な買い戻しで一気に高値圏まで到達、TOPIXは最高値を更新して上値追いの展開を見せています。日銀会合前は為替の円高基調により内需株中心の物色でしたが、通過後は為替円安とともに外需株も強烈に買い戻されています。この会合と前後して銀行株などは材料出尽くしでやや上昇一服感がみられていますが、自動車株が休回復してTOPIXの押し上げ役が交代する形となりました。
一方で、米国株や中国株などが景気悪化懸念を乗り越えて上昇していることを背景に景気敏感株の見直し買いが強まっており、とくに高配当利回りや好業績のバリュー株への物色が強まっています。マクロ環境の改善期待から売り方の買い戻しがあるのと同時に、世界的に景気悪化懸念の安全資産需要から資金が滞留していた債券から株式や商品市場へと資金がシフトしていることも背景にあるものと思われます。この特徴がより強まっていく流れとなれば株価上昇とともに日本や米国の金利も上昇していく可能性があると言えます。
日銀の歴史的な政策修正の決断により日本に金利が復活するということがどれほどの経済的インパクトをもたらすかは想像しづらいかもしれませんが、日本国民のお金に対する価値観はこれを境に大きく変化していくきっかけとなるでしょう。それと同時に、株価は金利上昇を乗り越えて上昇していくフェーズに移行していくとみられ、その過程においてはやはり金利上昇に耐性の強いバリュー株が物色の柱となる可能性が高いと言えます。
ひとまずこれまで高配当利回りなどで注目されてきた銀行株や商社株などは一旦調整をはさむ可能性はありつつも、この夏場の小休止は良い押し目となってくる可能性があるでしょう。まずは足元の決算である程度調整を強いられる株やセクターが出てくるかと思いますので、ちょうど9月末の配当狙い銘柄などは配当利回りを確認しながら下値メドを探っていきたい場面になってくるかと思います。それ以外では市場の夏休みも目前ですので、引き続きこの上昇局面を活かして利益確定しながらポジションを整理し、憂なく夏休みを迎えられるようにしておくとよいでしょう。
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