【7/28日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,759.23(▲0.40%)[32,037~32,846]
TOPIX 2,290.61(▲0.20%)[2,255~2,295]
マザーズ 764.04(▲1.03%)[753~768]
値上がりセクターTOP5
1.銀行(+4.60%)
2.保険(+2.05%)
3.ゴム(+0.78%)
4.鉱業(+0.70%)
5.陸運(+0.70%)
値上がりセクターTOP5
1.銀行(+4.60%)
2.保険(+2.05%)
3.ゴム(+0.78%)
4.鉱業(+0.70%)
5.陸運(+0.70%)
日本市場は日銀金融政策決定会合の発表を受けて株式・債券・為替共々に大荒れの展開、日経平均は一時▲800円超の下げ幅となり直近のレンジ下限32,000円付近まで急落しましたがV字回復。債券市場では日銀YCC運用柔軟化の決定により10年国債利回りは0.58%まで急上昇。為替市場ではドル円が141〜138円まで短時間に3円の値幅で大きく動くなど、ポジション次第ではかなりエキサイティングな展開だったと言えるでしょう。
日本株は日銀砲に大きく反応を見せたのがやはり金利敏感株、銀行・保険セクターであり日銀政策決定が伝わった途端に軒並み高の展開。一方で金利上昇が逆風となる不動産株を中心に内需株、資金需要の大きいグロース株などが売られる場面などみられましたが、とはいえ市場の動揺としては限定的。かなり大きな決定であったことを鑑みれば市場が落ち着きを取り戻すまでの時間も比較的スムーズで、引けにかけては全体に買い戻しの動きとなりました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり757/値下がり1018と値下がり優勢でしたが、後場の買い戻しでかなりの部分を埋め戻しており、金融株の他に半導体株などが日経回復に寄与、鉄道株・空運株などがTOPIX回復に寄与しました。決算シーズンと重なる形での日銀プレイで時価総額の大きい銘柄が動いたことで東証プライムの売買代金は概算で5兆7000億円と5月末以来の高水準も記録。グロース市場も後場は戻りを強めましたが、日銀砲を受けた直後は6月初旬以来の安値を記録しました。
【米国株概況】
先週の日銀砲波乱は一過性で上昇再開、インフレ鈍化と底堅い米景気に自信を取り戻す米国株
NYダウ 35,459.29(+0.50%)[35,355~35,565]
S&P500 4,582.23(+0.99%)[4,564~4,590]
NASDAQ 14,316.66(+1.90%)[14,188~14,344]
ダウ輸送株 16,695.3(+1.75%)[16,499~16,707]
半導体SOX 3,851.8(+2.22%)[3,803~3,862]
日経平均先物(CME) 33,095(+0.99%)[32,000~33,140]
ドル/円 138.05~141.17(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.556%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.957%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 80.67(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,958.85(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.933(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.33(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 143.48(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 78(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.32(安値70.30:10/13)
米国市場は前日の日銀警戒でNYダウ連騰記録がストップしたことへの動揺は薄れ、早速ながらに上昇を再開する展開。米FRBが注目している6月PCE価格指数は前年比、前月比ともに伸びが鈍化しインフレ懸念が緩和、さらに雇用コストもついに鈍化して米利上げ長期化への警戒感後退につながりました。
株式市場では主要3指数がそろって反発、米企業の決算好感で大幅高する銘柄が続出のほか、市場に先行するダウ輸送株指数、半導体SOX指数がそれぞれ2021年時の株価ピーク水準に迫る上昇を見せています。米経済指標を手がかりとした利上げピーク観測も高まる中、高金利環境でも驚くほど底堅い米経済への自信を取り戻して米国株の強気相場入りへの期待も高まっています。
米FOMCで追加利上げが決定したことに加えて、欧州ECB、さらには日銀までもとうとうYCC政策の実質的な上限撤廃に踏み切ったことで金利環境は上昇圧力がかかりそうな気配も漂いますが、市場は意外とこれらの中央銀行ウィークを冷静に消化できており、米長期金利も4%以下の水準で落ち着いています。
今週の米経済指標およびハイテク株決算で一つの区切りを迎えると市場は本格的に夏休みモードに入ってくるものと思われます。次は8月下旬のジャクソンホール会議まで市場観測ではさまざまな下期相場の予測が飛び交うことになるかと思いますが、むしろヤマ場は決算シーズン後の材料出尽くしとなる目先の方が大事になってくる可能性があります。リスク指標などでは市場波乱への警戒心は中央銀行ウィーク通過で薄れたようにも見えますが、引き続き金利水準含め市場動向には注意しておきたい場面と言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
波紋を呼びながらも混乱を最小限で抑え込んだ日銀砲、イベント通過のショートカバーと決算の噴き値売りチャンス
日本市場は日銀会合結果を織り込みながらイベント通過のショートカバーに期待、足元の海外勢は継続的に日本株買いの姿勢を崩しておりません。一方で国内勢も日銀YCC政策を実質的に形骸化させる動きから、徐々に米国債から日本国債への回帰も進むとともに日本株運用のニーズが高まっていくものと思われます。
市場の需給面から日本株は素直に景気が良くて買いで上昇期待は持てるわけですが、他方で為替はドル円の上値が目先は抑えられやすいかもしれません。これは国内機関投資家や円キャリー取引をやってる海外勢などが日本円に資金を回帰させる実需が発生する加わったことによるものですが、とはいえ日本と米国の金利差は拡大したままで日銀は追加の政策変更が無ければ当面その事実が変わることはありません。とすれば、ドル円は再びドル高円安方向に傾いてくるとみられ、要はそれが先日の145円レベルのレンジ上限に接近してくるのはいつかということになります。
それ次第で日本株が上値を追って日経平均のレンジ上限を突破できるかということの焦点にもつながってくるでしょうし、日本の金利環境もついにフタが外されたわけですから市場金利の上昇ペースがどのくらいで進むのか気になるところです。日銀も指値オペを駆使して急上昇は牽制してくるはずですので、メインシナリオは緩やかな上昇となる可能性が濃厚とみられます。だからこそ、日本株はこのタイミングで高値更新してほしい場面と言えるのですが、夏場は売買が細りやすいために上値は限定的となりやすいことに留意しておく必要があるでしょう。
基本の取り組みは引き続き買いポジションを段階的に利益確定させていく売り上がりスタンスで、夏場の下方リスクに備えていくとともに、企業決算で不当に売られたような個別銘柄に限っては逆張りでの買いも一考といったところかと思われます。足元では個別株の決算発表も本格化しており、急騰・急落する銘柄が続出することに目を奪われがちになってしまうかもしれませんが、リスクを取るべき場面と落とす場面は意識しながら、目先は市場が強気転換に前のめりになっていきそうなところを利益確定のチャンスとして活用するのがよいでしょう。
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