【7/25日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,682.51(▲0.06%)[32,509~32,715]
TOPIX 2,285.38(+0.18%)[2,275~2,286]
マザーズ 768.05(▲0.28%)[764~769]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+2.71%)
2.非鉄金属(+2.25%)
3.石油・石炭(+2.04%)
4.証券・商品先物(+1.79%)
5.ガラス・土石(+1.27%)
値下がりセクターTOP5
1.情報・通信(▲1.12%)
2.保険(▲0.84%)
3.その他製品(▲0.58%)
4.医薬品(▲0.53%)
5.サービス(▲0.31%)
日本市場は主力値がさ株のファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)、ソフトバンクG(9984)など象徴的なグロース株の上値の重さが目立ちましたが、業績上方修正と増配を発表したレーザーテック(6920)の内容をうけて半導体株に対する過度な警戒感が緩和。アドバンテスト(6857)やソシオネクスト(6526)は明確な反発を見せたことによりグロース株の復調にも期待が持てるようになりました。
全体ではやはりバリュー株の動きが堅調で前日の鉄鋼株見直しに続いて原油高、中国の景気刺激策期待などを背景に市況関連株が物色され、エネルギー関連や非鉄金属などが大幅高。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1075/値下がり685と値上がり優勢で日経平均は小幅安ながらTOPIXはプラス圏で推移し全体としての底堅さを印象づけました。
主力グロース株でもソニー(6758)や決算好感で急伸した二デック(6594)が早速利益確定売りに押されるなど冴えない動きとなりましたが、新興市場もまだ調整ムードが続いています。まもなく決算シーズン本格化で期待と警戒が入り交じる場面でもあるためポジション調整売りが出やすいと言えますが、中には値ごろ感から買われる銘柄も散見されるようになっています。
【米国株概況】
米FOMCが目前に迫る中でハイテク株も買い戻し、IMFの世界経済見通し上方修正でソフトランディング期待が裏付けされる
NYダウ 35,438.07(+0.08%)[35,365~35,527]
S&P500 4,567.46(+0.28%)[4,552~4,580]
NASDAQ 14,144.56(+0.61%)[14,092~14,201]
ダウ輸送株 16,179.7(▲0.11%)[16,113~16,273]
半導体SOX 3,755.3(+1.70%)[3,718~3,774]
日経平均先物(CME) 32,595(▲0.14%)[32,490~32,755]
ドル/円 140.85~141.74(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.461%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.897%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 79.25(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,967.00(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.918(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.86(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 142.18(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 81(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.19(安値70.30:10/13)
米国市場はNYダウが12連騰と記録的な続伸を見せる中、年初来高値からの調整をはさんだハイテク株主体のナスダックも買い戻され2日続伸。市場の注目度が高い米FOMCは0.25%利上げ見込みで織り込みが進んでおり、足元の米企業決算で個別株の物色が活発になっています。
市場全体ではグロース株の調整に合わせてバリュー株への資金シフトが鮮明となっていますが、決算がらみでも3Mが市場予想を上回り+5%超の大幅高となったほか、ダウ・インクもまずまずの好反応となりました。ここからはビッグテックの面々が続々と決算発表することになりますが、マイクロソフトやアルファベットは引け後の決算発表でまちまちの動きとなっています。
しかし昨晩は米FOMCと今後の利上げ見通しをめぐる憶測が飛び交う中、米金利がやや上昇する中でもグロース株を買い戻す動きがみられましたし、目先FOMC通過後の米4-6月GDPやインフレ指標のPCE、さらには労働市場の雇用統計や雇用コストなどを確認した上での9月FOMCに向けた思惑も重なってきたとみられます。これらを通じて米国の物価上昇が落ち着く、あるいはインフレ鈍化こそが一時的なものなのかを見極める判断材料になってきます。
米経済のファンダメンタルとしてソフトランディングを可能とする見方が強まってきました。これが希望的観測なのか実体経済の悪化が後ズレしているだけかはともかく、IMFは最新の世界経済成長見通しを発表して今年の成長率予想を上方修正しました。とくに米国においては債務上限問題の解決と銀行不安が落ち着いたことを取り上げており、まだ不確実性は残るものの金融危機や信用収縮といった最悪の事態を回避できさえすれば十分です。
◆IMF、世界成長見通し3%に上方修正-リスクバランスは依然下向き(2023/7/25)
コロナパンデミック以来の異次元な過剰流動性が担保されている間は、金融市場および米国株は再び前回のピークにまで舞い戻るとの期待が持てるかと思います。ただし、こうした前提には必ず市場の流動性問題が付いて回ることになり、今夏においても一時的ながらに流動性が枯渇する瞬間が生じるような場合、すなわち米国債、米財務省トレジャリービルの大量発行を無事に消化しきれるかがハードルになってくるでしょう。それを乗り越えた先には米利上げがいよいよ打ち止めとなり、市場期待を具現化して米大統領選前の米国株高というアノマリーに沿って再び前回天井へのトライといった中長期目標が現実味を帯びてくるのだと思われます。
【日本株投資戦略】
日銀警戒が燻る中でバリュー株シフトが鮮明、半導体株の持ち直しに高値トライへの期待、夏場閑散期への備えとして利益確定も
日本市場は中央銀行ウィークにおける金利上昇への警戒やその一方で為替市場も様子見姿勢が漂う中で、グロース株の持ち高調整売りが上値をおさえる構図となっており、新興市場はまだ調整ムードが続いています。
上述したレーザーテック(6920)のように、好決算をうけてなお上値の重さから失速した動きを見ますとグロース株の戻り売り圧力が強いことを象徴しているかのようですが、バリュー株が市場を下支えしています。しかし、持ち高調整売りをこなしてグロース株が復調してくれば全体として再び上値にトライする動きも期待できることでしょう。
景気や市場の動向にも先行する半導体株が早々に持ち直してきたことはとても好印象であり、日本株においても以前取り上げた安川電機(6506)や二デック(6594)の決算先行組の内容からしましても企業業績への期待と日本経済全体の景気改善は着実に機運が高まっていると感じられます。
足元では日銀の金融政策決定会合における政策修正に対する根強い警戒感が株価の重しとなっていますが、事前にこれだけ警戒されていれば仮に現状維持でサプライズなしとなった場合でも本来なら反応薄でやり過ごされるところ、警戒緩和によるヘッジの買い戻しだけでも株価は急反発する要因となるでしょう。
しかしその一方で、上述した米国内の問題や外部要因によってリスクが生じる可能性も目先は否定できず、業績相場やサマーラリーの腰を折ってしまうことにも注意を向けておかなくてはなりません。とくに厄介なのは市場ではほとんど気にしなくなっている地政学リスクでロシア、ウクライナ、ベラルーシ、ポーランドあたりのパワーバランスと国連の意に反発を見せる北朝鮮の動きが市場撹乱の理由づけに使われるようになってくるかもしれません。
こうした懸念が杞憂に終わればファンダメンタルとして米経済のソフトランディングや中国の景気回復へのテコ入れ策など年後半に向けた期待は着実に高まってくると見られる中、市場にボラティリティをもたらすのはそうした地政学リスクにからんだサプライチェーン混乱の問題や歓迎されないインフレ再燃などです。よって、前回解説を繰り返すようにはなりますが夏場で市場が閑散となる前に(すでに日銀警戒で薄商いとなっていますが)、日銀会合後の市場が盛り上がりを見せる場面である程度ポジションを利益確定しておくのがよいかと思います。
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