【7/21日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,304.25(▲0.57%)[32,080~32,462]
TOPIX 2,262.20(+0.06%)[2,248~2,269]
マザーズ 765.53(▲1.47%)[762~770]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+2.23%)
2.電気・ガス(+1.53%)
3.紙・パルプ(+1.25%)
4.医薬品(+1.19%)
5.空運(+0.82%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲0.72%)
2.金属製品(▲0.55%)
3.ゴム(▲0.44%)
4.繊維(▲0.38%)
5.サービス(▲0.38%)
日本市場は半導体関連株の総崩れで大幅続落となる一方、為替円高の重しで軟調だった自動車株の持ち直しもみられ、全体では強弱感が拮抗することとなりました。日経平均は半導体株下落の影響から強い下押し圧力がかかりましたが、TOPIXは他セクターのカバーでプラス圏に浮上して底堅く推移しました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり755/値下がり988と値下がり銘柄数が優勢となりましたが、半導体株の下落幅が突出してそれ以外は前日上昇の海運株などが自律的に調整した格好と言えます。終日、為替ドル円が140円台で推移し自動車株の買い戻しが目立ちましたが、外需株全般への波及は限定的。むしろ値上がりセクターは電力や紙・パ、医薬品、建設など内需株が引き続き堅調でした。これは米国株でもみられた物色傾向で、ハイテク株売り・ディフェンシブ株買いの対照性が際立ちました。
米国のハイテクグロース株売りと連動して日本株も半導体株が連日で売り込まれ、同時に新興のマザーズ指数も6/2以来の安値にまで押し戻されました。グロース市場では6月後半のIPOラッシュが落ち着いて、人材系のナレルG(9163)が久しぶりの上場案件でしたが初値がまさかの公開価格割れで悪印象の船出となりました。新興銘柄の軟調で個人投資家の信用評価損益率は悪化しており、引き続き信用買い残が高水準に積み上がっている状況には注意が必要です。
【米国株概況】
ナスダックの指数リバランス警戒でハイテク株からディフェンシブ・バリュー株への資金シフト、米FOMC通過後の米金利動向を要注視
NYダウ 35,227.69(+0.01%)[35,186~35,340]
S&P500 4,536.34(+0.03%)[4,535~4,555]
NASDAQ 14,032.81(▲0.22%)[14,020~14,179]
ダウ輸送株 16,232.2(▲0.20%)[16,148~16,354]
半導体SOX 3,698.8(+0.96%)[3,678~3,730]
日経平均先物(CME) 32,670(+1.24%)[32,055~32,755]
ドル/円 139.74~141.96(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.405%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.837%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 76.83(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,963.90(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.818(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.99(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 142.55(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 82(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.37(安値70.30:10/13)
米国市場はナスダック指数リバランスを控える中、ビッグテック銘柄が全般に軟調さが目立つ形でナスダックが続落。一方でハイテクグロース以外は堅調さをみせたと言えますが、物色の特徴としては公益やヘルスケアなどディフェンシブ系が強く、バリュー株優位の展開となりました。
NYダウは2017年以来の10連騰を記録、日用品大手のP&Gやヘルスケアのユナイテッドヘルスが上昇を牽引しました。足元の金融株やヘルスケア株への循環物色を強く印象づけるとともに、ハイテク株偏重の相場からそれ以外の出遅れ修正に広がりがみられているとの見方もできるかと思います。
直近のハイテク株波乱でリスクマネーが萎縮した様子は感じられず、業績次第で見直し買いの動きもみられますので業績相場へとスムーズに移行していると言ってもよいでしょう。来週の米FOMCを控えている状況で米金利は落ち着いていますので、ハイテク株決算が相次ぐ中においても市場は比較的冷静に受け止めることができるものと思われます。
米FRB以外にも中央銀行の金融政策決定会合が立て続けに開催されますので、今週はそれなりの波乱が警戒されるところですが、ナスダックの指数リバランスを通過すればハイテク株に振り回される状況も一旦収まってくることと思います。その後はやはり米FOMCをふまえて米金利が現水準に踏み留まっていられるかが焦点になり、米企業決算も佳境を迎えることになるでしょう。
【日本株投資戦略】
中央銀行ウィークの波乱警戒の中で高まる企業業績への期待、市場の強気転換は夏休み前に良い売り場を演出か
日本市場は中央銀行ウィークでとりわけ日銀金融政策決定会合への注目度が高まる中、企業決算も本格化してきます。日銀会合では今回も現状維持との見方が大半ですが、万が一にも政策修正がサプライズで出てくるようだと市場には動揺が走り大幅安を強いられる可能性も否定できません。
しかしそれを警戒して先週まで上値の重い展開が続いてきたわけで、前回解説のように植田総裁が直近で発言した内容をふまえれば金融緩和策を変更する可能性は極めて低くなったとみられ、市場もそれを織り込みつつ政策修正時期は10月ごろに後ズレするとの見方を強めています。
日銀が低金利政策を継続することで日本企業は今がまさに最後の低金利で資金調達するチャンスとばかりに起債ラッシュで、投資家サイドにしても国債の運用難から需要が旺盛で債券市場も安定しています。円キャリー取引の巻き戻しと警戒されていた為替市場もドル円で140円台を回復していますので、日米の金融政策の違いを素直に織り込めばドル高円安の軌道に回帰していくとみられます。
反対にこの中央銀行ウィークをふまえて為替が円高に再び大きく振れてくるような場合には、金融環境に何らかの異変が生じているサインとみることができます。とくにこの夏休みシーズンを迎えるところでは市場の商いが細り、閑散相場の中で株価が大きく上下に振れやすくなることにも留意しておく必要があり、株価動向に釣られて変に強気になったり、弱気になったりする感情的なトレードは控えなくてはなりません。
日本株全体としては業績相場で素直に上値を伸ばす銘柄もあれば、市場期待に届かずして中には手酷く売られるような銘柄も続出することになると思われます。こうした中で市場は強気転換してサマーラリーを演出することになると思われる反面、株価の乱高下に撹乱されてレバレッジがかかった取引に手を出すと、それはそれで自滅への道を突き進むようになってしまいます。信用ポジションなどはできるだけこの地合いが回復に向かっていく過程のうちに整理しておくのが得策と考えます。
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