【7/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,419.33(+1.49%)[31,952~32,484]
TOPIX 2,242.99(+0.97%)[2,218~2,249]
マザーズ 789.84(+2.11%)[773~790]
値上がりセクターTOP5
1.サービス(+2.66%)
2.電気機器(+2.22%)
3.精密機器(+1.65%)
4.医薬品(+1.56%)
5.卸売(+1.34%)
値下がりセクターTOP5
1.水産・農林(▲1.00%)
2.保険(▲0.97%)
3.空運(▲0.78%)
4.繊維(▲0.64%)
5.ゴム(▲0.52%)
日本市場は米CPIでインフレ鈍化を確認した米金利が低下したことで米国株高の流れをうけて反発、金利上昇が嫌気されていたグロース株を中心に買戻されて日経平均は一時500円超の上昇。為替の円高進展によりドル建て日経平均では+2%超の大幅高となりました。また、グロース株への警戒感が緩和したことでマザーズ指数も+2%超の大幅反発を見せました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1089/値下がり668で値上がりが優勢、その中で指数を大きく押し上げたのがアドバンテスト(6857)などの半導体株で、レーザーテック(6920)やソシオネクスト(6526)まで大幅高となりました。主力でそれ以外のところはソニー(6758)やソフトバンクG(9984)、リクルートHD(6098)など異業種のグロース株を代表する銘柄がこぞって大幅高しました。
一方で為替円高が重しとなっている自動車株などは戻りも弱く、やはり外需株と比べると内需株優位の展開は続いています。外食や小売で決算発表が相次ぎ、物色や思惑の波及などもみられていますが、その反面決算内容が期待外れのところは手厳しい急落に晒されるといった一面もみられます。新興市場ではすっかりお馴染みになった生成AIテーマ株が買い直される動きもみられるほか、IPOから半年が経過してロックアップ解除が近づいている銘柄ではテクノロジーズ(5248)などのように急伸するものも目立っています。.
【米国株概況】
インフレ指標鈍化を好感した買戻しで一段高、米金利も急低下でハイテク株選好しナスダックが年初来高値更新
NYダウ 34,395.14(+0.14%)[34,365~34,482]
S&P500 4,510.04(+0.85%)[4,489~4,517]
NASDAQ 14,138.57(+1.58%)[14,012~14,163]
ダウ輸送株 15,914.5(▲0.01%)[15,866~16,010]
半導体SOX 3,797.1(+2.03%)[3,746~3,803]
日経平均先物(CME) 32,730(+0.58%)[31,930~32,805]
ドル/円 137.92~138.92(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.456%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.766%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 77.21(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,965.25(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.951(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.61(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 147.08(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 80(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.65(安値70.30:10/13)
米国市場は前回要注目とお伝えしたCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)が発表され、ともに足元のインフレ鈍化を裏付ける内容が確認できたことから、米FRBの利上げ長期化観測が後退して米金利が低下。12日、13日ともにハイテクグロース株の買戻しを中心に米国株は4日続伸となりました。
インフレ鈍化を好感した米金利低下により為替の米ドル指数も下落が加速し、昨年4月以来となる100ptを割り込んできました。米FRBの金融政策見通しは利上げプロセスの終了も近づいているとの見方を強める市場に対し、米FRBメンバーはなおもインフレ抑制のために利上げは不可欠と強調し、市場VSFRBの駆け引きが続きます。
バイデン米政権としては金利低下で米株高という構図を崩さずに、米国財政を維持するためには米国債の買い手を確保し続ける必要があります。まさに足元の米金利低下は米国内の金融機関だけが米国債を買っているというわけでなく、日本や海外の金融機関に米国債を買わせやすくしているとみられ、鶏と卵の関係性ではありませんが、米金利低下を背景に為替を米ドル安に誘導されることによって海外勢による米国債買いをサポートしています。
これで本当に米FRBがインフレとの闘いは終わったとして7月FOMCでの利上げや先の9月利上げを見送りもしくは完全停止ということになれば、市場の勝利ということになるのだと思われますが、おそらくはそうならずに7月は利上げは再開されるでしょう。また、インフレが高止まりしているうちにインフレ懸念が再燃し、市場が期待しているディスインフレが実現するのは結局、インフレ再燃⇒利上げ⇒スタグフレーション⇒デフレといった軌道を描くこととなり、これが今年後半から来年までの金融政策プロセスに大きな影響をもたらすものとなるでしょう。
米国株は足元のインフレ指標による鈍化確認で月末のPCE価格指数までもディスインフレを前提としたトレードを展開する可能性がありますが、徐々に米企業決算も始まってきますので個別株材料で視点がマクロからミクロに変わりやすくなります。今晩からの金融株決算を皮切りに米企業業績が厳しかったのがこの1-3月、4-6月の前提でありましたから、多少なりとも市場のハードルとしては低く見積もってはいるはずです。しかし、それでも株価水準は期待先行し過ぎている面は否めませんので、決算ミスで市場に動揺をもたらす銘柄も意外に多くなるかもしれないことには注意しておくべきでしょう。
【日本株投資戦略】
米インフレ指標、米国債入札のイベント通過でリスクオン、為替円高が重しとなる中ドル建て日経平均はレジスタンス突破から7月高値を更新
日本市場は米経済指標の発表や米国債入札など重要イベントを通過し、米国株高の流れをうけて反転期待が高まってくるところです。足元で為替円高が株価の重しとなっていることは否めませんが、米国株の調整一服から買い戻す流れが強まってナスダックは一気に高値更新、米金利も一転低下してグロース株が見直されやすくなっています。
そんな中でオプションSQを迎えた日本市場で朝方に32,484.24円で清算されたSQ速報値はピーク時から調整したとはいえ今年最高値をつけています。足元ではまだ下値警戒を残しているところではありますが、為替円高で注目したいのは株価の下落よりもむしろドル建て日経平均などを参考に海外勢の買い基調に変化が表れているかどうかです。
ドル建て日経平均では6月中旬をピークに上値が切り下がり、直近では6月末安値も割り込みました。しかしそこで為替のドル高円安がピークアウトして円高が強まってきたあたりでは、日経平均が調整しても為替分のプラスでドル建て日経平均のトレンドは上昇転換しています。また、昨日東証発表の投資部門別売買状況などから海外勢は現先合わせて買い越していたことが確認され、日本株を売っているのは国内の年金やファンドなどであることが判明しました。
つまり、4月以降に一貫して買い上がってきた海外勢の買い姿勢は変化しておらず、国内の年金筋やファンド筋などの売りは足元のリバランス需要に応じての売買とみるべきでしょう。とくに今年前半の日本株パフォーマンスは全リスク資産の中でも優秀なパフォーマンスでしたから、その分リバランスに際して出てくる売り需要も多くなるのは当然の話になります。
また、すべて米国都合というつもりはありませんが、米国では足元の米国債入札にしても買い手が必要で今後の8月における資金需要からしても日本の金融機関などには米国債をたくさん買ってもらう必要があります。先般のイエレン米財務長官が訪中した際に中国勢も米国債を引き受けてくれる約束を取り付けられたかどうかは分かりませんが、もし中国側がこれを拒否すればいよいよ日本勢に頼らざるをえない部分が大きくなります。
日本の年金筋やファンド筋にとっても米国債の高利回りはポートフォリオ上で魅力的に映るはずです。渡りに舟とばかりに米国債をせっせと買い込んで、その資金は日本株を売って捻出しているとみてよいかと思います。そのためには為替は円高である方がありがたいわけで、足元の円高株安というのは米国都合というより日本都合の面でそうなっていると言ってもよいかもしれません。しかし、こうした流れもこれから控える中銀イベントや来月の米国債大量発行までの地ならし的な側面に過ぎません。
日本市場は3連休前の警戒で手仕舞い売りということもあるかもしれませんが、昨日の反転上昇にみられるように調整地合いはすでに抜け出しつつあります。前回も解説したとおり決算シーズン前がサマーラリー期待も高まりやすくなるところで、足元で行き過ぎた為替の揺り戻し円高が一服すれば反発も大きくなるでしょう。来週は月末の日銀金融政策決定会合前にもうひと山があった上で、日銀が政策修正に動く可能性があるのか見極めどころになってくるものと思われます。
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