【7/11日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,203.57(+0.04%)[32,084~32,468]
TOPIX 2,236.40(▲0.31%)[2,231~2,257]
マザーズ 788.03(+0.75%)[786~794]
値上がりセクターTOP5
1.水産・農林(+0.94%)
2.金属製品(+0.80%)
3.精密機器(+0.46%)
4.鉱業(+0.45%)
5.サービス(+0.27%)
値下がりセクターTOP5
1.輸送用機器(▲1.51%)
2.電気・ガス(▲1.28%)
3.医薬品(▲1.15%)
4.保険(▲1.09%)
5.空運(▲0.92%)
日経平均は32,000円のレンジ下値圏でもみ合い、米金利低下からグロース株に買戻しの動きが広がり半導体株の一角が上昇、アドバンテスト(6857)は+4.2%の大幅高で日経押し上げ。一方で大規模な海外売出の値決めが迫ったソシオネクスト(6526)は▲7.2%の大幅安になりました。半導体をめぐっては素材のシリコンウエハを手がけるSUMCO(3436)に経済産業省が工場建設に補助金を出すと報じられて一時+9%近い大幅高の場面もみられました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり718/値下がり1026と調整地合いは継続、為替がドル円で140円台に突入して円高が一段と進んだことにより自動車関連株が嫌気されたほか、金融、海運、鉄鋼などバリュー株の一角が売られる展開。直近悪材料で売られた第一三共(4568)や材料出尽くしで急落したエーザイ(4523)も再び売り直されて大幅安になるなど、足元の地合いの悪さを印象づけました。
しかし一方では業績面が好感された良品計画(7453)やパン・パシフィックHD(7532)、さらにイオン(8267)やコスモス薬品(3349)など内需株の一角が大きく買われています。指数インパクトも小さいために目立ちづらいですが、外需株の調整色が強まっている中で全体を下支えしています。また、新興市場のマザーズも下げ止まりから戻りを試す動きもみせており、個人投資家に人気のANYCOLOR(5032)とカバー(5253)のVtuber代表株がそろって大幅上昇したことも目を引きました。
【米国株概況】
主要株式3指数がそろって買い戻されて注目のCPI発表を迎える、米個人投資家の買い意欲旺盛でラッセル2000が戻り高値
NYダウ 34,261.42(+0.93%)[33,993~34,288]
S&P500 4,439.26(+0.67%)[4,408~4,443]
NASDAQ 13,760.70(+0.54%)[13,643~13,774]
ダウ輸送株 15,940.6(+1.40%)[15,732~15,967]
半導体SOX 3,653.5(+0.05%)[3,599~3,669]
日経平均先物(CME) 32,295(+0.17%)[32,040~32,460]
ドル/円 140.15~141.45(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.449%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.973%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 74.81(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,937.50(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.771(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)14.84(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 143.99(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 79(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.62(安値70.30:10/13)
米国市場は重要なインフレ指標として注目のCPI(消費者物価指数)、PPI(生産者物価指数)を控える中、インフレ鈍化を楽観視しながら買い戻しの動きが続きました。決算発表が近づくゴールドマン・サックスやJPモルガンが上昇したほか、値上げ発表が材料視されたセールスフォースや業績見通しが明るいと伝わったボーイングなども大きく買われ、NYダウは300ドル超の上昇になりました。
直近の米経済指標で米経済の底堅さが印象づけられ、シクリカル(景気敏感)バリュー株の見直しが強まりそうな気配もありますが、米金利も指標待ちで上昇が一服していることもありグロース株のナスダック、ひいてはS&P500もそれぞれ上昇しており米株全体の底堅さが窺えます。
とくに足元ではリスク指標が総じて低下している中、小型株で構成されるラッセル2000が戻り高値を更新して3月初旬の水準をつけており、米個人投資家は新たな強気相場に期待して先週から大幅買い越しに動いてきたとも伝えられています。金融大手のモルガン・スタンレーやシティグループなどは目先の米国株に対してネガティブな見方を発信しているのとは対照的な動きと言えます。
他方では米国株のビッグテックに依存する割合が過大だとしてナスダックの指数算出においてリバランスが実施されるとしてやや警戒している向きもあるようです。しかし極端な変化につながるわけではなく、投資家のハイテク株依存が多少軽減されるといったところでリスク管理面では万が一という時の打撃がやや緩和されるのではないかともみられます。
足元では上記のインフレ指標発表に注目が集まっていますが、先々のところでは米金利上昇やコモディティ価格の上昇に再燃の兆しがみられています。前回も指摘しましたように、この6月インフレ指標を市場が織り込んだ後はインフレ鈍化期待からインフレ再燃警戒へと市場テーマがじわじわと変化していくことも考えられ、とりわけ今回のコアCPIと商品市場の足元の実勢価格はしばらく注視しておいた方がよいでしょう。
【日本株投資戦略】
為替の円高進行が重しも内需株を中心に底堅さも維持、イベント通過後の反転から決算前のサマーラリーに期待
日本市場は6月末の安値を基準としたサポートライン割れからテクニカル面での警戒感が高まっていますが、日経平均は32,000円に接近しながらも節目割れは辛うじて回避しています。直近で為替がドル円で5円近く円高に振れてきていますので、日本株にとっても今晩の米CPI(消費者物価指数)や今週の米国債入札状況などは無視できないものとなるでしょう。
やはり足元での信用買い残高の増加が気がかりではあるものの、足元の米国株や中国株なども切り返してきましたので、日本株においても買戻し圧力が強まってくるとみられます。今週は7月オプションSQ週ですので週末を迎える前に自律反発のきっかけを掴めるかもしれませんが、基本的には日銀の政策修正を警戒している為替市場の動向によって反発の度合いが違ってくることと思われます。
しかしそうした市場イベント抜きにしても内需株中心に全体を底上げする動きや、米中ともに景気悪化への懸念が和らぐことで外需株なども再び買い戻されることも想定され、悲観視する必要は全くと言っていいほどありません。ただし、銘柄によってはかなり直近の下落で需給悪化しているものもあり、とくに信用買い残が多い銘柄は整理に時間がかかるとみられます。
また、市場全体でもこの7月の決算シーズンと相まってサマーラリーが展開される期待を残していますが、それが終わった後は夏枯れで8月は積極的に売買する時期ではないこともふまえ、次の上昇局面においてはある程度の信用ポジションやしっかりと長期目線で保有している銘柄以外は処分売りしておくことも大事になってくるでしょう。
日本でも米国でもリスク指標が落ち着いている今だからこそ投資機会を存分に生かすべきだと思いますし、これが7月末の日米金融当局が政策決定する段階を迎えるにあたり市場警戒が高まりやすくなることも想定されますので、この7月上旬~中旬の間がトレーダーにとってのヤマ場となってくるかと思います。
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