【7/6日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,773.02(▲1.70%)[32,637~33,079]
TOPIX 2,277.08(▲1.26%)[2,270~2,295]
マザーズ 785.87(▲3.07%)[784~802]
値上がりセクターTOP5
1.鉱業(+0.21%)
2.空運(+0.08%)
3.なし
4.なし
5.なし
値下がりセクターTOP5
1.機械(▲2.20%)
2.精密機器(▲2.09%)
3.その他製品(▲2.01%)
4.その他金融(▲1.91%)
5.非鉄金属(▲1.82%)
日本市場は大規模なETF換金売り警戒に伴い先物主導で下落、日経平均の下げ幅は一時▲700円超となり主力値がさ株中心に大幅安となりました。半導体の中心銘柄である東京エレクトロン(8035)が▲4%、月次の冴えなかったファーストリテイリング(9983)も続落で下げを主導したほか、日経採用外ではソシオネクスト(6526)が政投銀、富士通など主要株主の海外売出し発表でストップ安となるなど、グロース株への売り圧力が強まりました。
米国市場でFOMC議事録が公表され、内容的な真新しさは無かったものの米金利が上昇しグロース株には逆風となりました。半導体株では東京エレクトロン以外にもルネサスエレクトロニクス(6723)やTDK(6762)が大幅安、また中国の経済指標も冴えなかったことで景気不安もぶり返し、半導体素材の禁輸発表なども相まって非鉄金属などの市況関連にも売りが広がりました。
個人投資家の人気が高かった銘柄ほど下落率が大きくなっている傾向があり、マザーズ指数は▲3%超の大幅安。生成AI関連のテーマ株や直近IPO銘柄なども含め2ケタ以上の下落を演じた銘柄が続出し、とくにSNS上で話題となったような銘柄が軒並み▲5%を超える下落で雪崩を打ったように売りが波及。こうなると追証回避のための投げ売りも出てくるとみられ、来週前半まで必要以上に売られる銘柄なども増えていきそうです。
【米国株概況】
米雇用統計前に民間データがサプライズで米金利が急上昇、米2年債が5%台をつけてボラティリティも急反発
NYダウ 33,922.26(▲1.07%)[33,771~34,171]
S&P500 4,411.59(▲0.79%)[4,385~4,422]
NASDAQ 13,679.04(▲0.82%)[13,567~13,689]
ダウ輸送株 15,399.5(▲0.81%)[15,271~15,452]
半導体SOX 3,577.5(▲1.24%)[3,532~3,581]
日経平均先物(CME) 32,450(▲0.86%)[32,220~33,115]
ドル/円 143.57~144.66(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.405%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 4.033%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 71.91(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,917.05(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.744(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)15.44(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 148.45(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 79(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)73.78(安値70.30:10/13)
米国市場は続落、5日の6月FOMC議事録公表を受けて利上げ長期化懸念の強まりから米金利が上昇する流れが昨晩の米経済指標でより加速する結果となり、株式市場にとっての重しになりました。とはいえ、NYダウはマイクロソフトやアップルが上昇して下げ幅を縮小、短期金利が急上昇して逆イールドが深まった金融株に売りが向かいゴールドマン・サックスなどが下落しました。
この日発表された6月ADP民間部門雇用者数が市場予想の2倍以上に増加したことが確認され、というか市場予想が全く的外れだったわけですが、雇用指標があまりに強すぎる内容であったために米金利が軒並み急上昇。さらに米6月ISM非製造業総合指数(PMI)も市場予想を上回ったことで米FRBによる利上げ長期化見通しが一段と強まる結果になりました。
堅調な米経済指標をうけて追加利上げを織り込む米金利はまず利上げ感応度の高い米2年債利回りが2007年以来の5%超えをつけたほか、米10年債利回りも今年3月以来の4%台に舞い戻ってきました。7月FOMCの追加利上げは確実視され、またパウエル米FRB議長が議会証言で述べたとおり年内あと2回の利上げが必要との見方から0.5%利上げの確率も上昇しています。
今晩は政府発表の6月米雇用統計が控えており、民間データの上振れからすると労働市場は依然堅調であるとのコンセンサスが固まるものとみられ、来週の6月CPI(消費者物価指数)でも米経済好調からインフレ高止まりとなる公算が高いため、市場は金融引き締めを強く意識することになりそうです。足元で米金利とボラティリティが急上昇しているのが警戒されるところですが、この水準で一旦とどまってくれればまだ大丈夫です。ただし、米2年債利回りがどんどん高値更新したり、米10年債利回りが4.1%を上回って高値更新し始めたらかなり注意が必要になってきます。
【日本株投資戦略】
人気株の悪材料に信用買い残の多い銘柄も総崩れ、ETF換金売りが収まる来週初めを狙って好業績期待株を押し目買い
日経平均は33,000円割れから下落が一気に加速しやすくなっていますが、やはりその中心はグロース株になっているとみられます。バリュー株の影響が大きく出やすいTOPIXは相対的に下げ渋り、反面マザーズ指数は▲3%超の大幅安で新興グロースはけっこうな惨状となっています。
6月後半以降でグロース株からバリュー株への資金シフトが始まってきていたことは何度も解説しておりましたが、足元ではグロース株も調整一巡から急反発を見せましたので、リバウンド狙いで飛びついた個人投資家は多かったかもしれません。どうしても値動きの大きい銘柄が目に付きやすいため、ボラティリティに誘い込まれたと言った方がよいかもしれませんが、それにしてもソシオネクスト(6526)は天井圏で信用買い残が多く積み上がっており、個人投資家に人気のグロース株が値崩れしたことは信用損益状況の悪化により他の銘柄にも手仕舞い売りが出やすいと言えます。
いろいろな市場コメントでもみられますように、ETF換金売りについては先月末から意識されていた話で真新しいわけではありませんが、上記のように信用買い残の多い銘柄が下落すると追証に追い込まれる個人投資家が回避売りを出し、売りが売りを呼ぶ展開となってしまいがちです。個人投資家の人気が高い銘柄ほど下落率が大きくなっているのはそのためで、市場全体でみると局所的に暴落商状となっているようで全く違った景色が広がっていると言えます。
ETF換金売りについては現物・先物合わせて1兆円強の売り需要が見込まれており、本日と来週初めのところまでは警戒が必要ですが、昨日の下落幅が拡大したのは予めそれを先回りで売った投資家の動きが反映されたものとみられます。銘柄ごとの特徴によってバラつきはありますが、信用買い残が多い銘柄や業績を伴わず材料頼みの銘柄は要注意。すでに市場では来る決算シーズンに向けて業績相場への選別物色も始まっているとみられます。一過性の材料や思惑だけではむしろ空売りの餌食にされてしまうでしょう。
日経平均はチャート形状がダブルトップ形成でやや天井警戒が広がりやすい形となりましたが、TOPIXをみれば高値圏での保ち合い相場を続けていることが分かります。ある程度のレンジを意識するところで利益確定売りが続いていることも窺え、おそらくは上値の重たい銘柄は避けて、ボラティリティを求める個人投資家が上値の伸びる銘柄に誘い込まれやすくなっているものと推察されます。
市場動向が横ばいの場合、逆張りで押し目買いするにしても利益確定を見送るとポジションが膨らんでリスク量が増加しやすくなります。来週初めのところまで持ち堪えられるかによって、狼狽売りしてしまう投資家も多くなりそうですが、前回お伝えしたように足元の利益確定売りを吸収できるかがカギです。地合い悪化は明らかですがTOPIXは6月末の下値を切れることは考えにくいですので、引き続きバリュー株の値保ちの良いところや好業績内需株などに照準を当てて押し目買いの好機を活かしていくのがよいでしょう。
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