【6/30本市場の確認ポイント】
日経平均 33,189.04(▲0.14%)[32,918~33,232]
TOPIX   2,288.60(▲0.33%)[2,275~2,293]
マザーズ   815.97(+0.66%)[801~816]

値上がりセクターTOP5
1.海運(+1.36%)
2.鉄鋼(+0.83%)
3.繊維(+0.48%)
4.輸送用機器(+0.32%)
5.証券・商品先物(+0.22%)

値下がりセクターTOP5
1.医薬品(▲1.14%)
2.陸運(▲1.05%)
3.卸売(▲0.87%)
4.ゴム(▲0.73%)
5.サービス(▲0.72%)

 日本市場は月末・四半期末のリバランス売りに伴い先物主導で下落、幅広く売られて日経平均は一時▲300円超安の場面もみられましたが景気敏感のバリュー株が底堅く推移して全体を下支えし、終盤にかけては先物ベースでまとまった買いが入るなど下げ幅を縮小しました。

 決算好感の髙島屋(8233)が急伸して同業の百貨店株が買われた一方、ファーストリテイリング(9983)のほか自動車や電機など為替円安を意識した外需株にも買いが入り、医薬品株や商社株などの下押し要因を相殺。日経平均は週初の32,300円付近から反発して33,000円台を回復できただけでも市場の押し目買い意欲の強さ、相場の持続性を改めて示したと言えるかと思います。

 2023年の上半期が終了して日経平均は+27%、TOPIXは+21%とすでに年間の上昇幅としても記録的な好パフォーマンスを見せているほか、マザーズ指数も+11%と2ケタ上昇は確保。引き続き国際情勢が不安定な中にあっては大型の主力株が物色の中心となりそうですが、出遅れのバリュー株や中小型株も足元の循環物色で存在感を出してき始めましたので、今年後半はTOPIXやマザーズ指数が日経平均をアウトパフォームする動きもみられるか注目しています。

【米国株概況】
インフレ指標鈍化でリスクオン、米FRBも来週の米経済指標出そろうまで市場けん制発言は封印で株高期待が継続

NYダウ 34,407.60(+0.84%)[34,269~34,467]
S&P500 4,450.38(+1.23%)[4,422~4,458]
NASDAQ 13,787.92(+1.45%)[13,716~13,816]
ダウ輸送株 15,518.8(+0.70%)[15,410~15,521]
半導体SOX 3,614.2(+0.13%)[3,583~3,627]
日経平均先物(CME) 33,435(+0.74%)[32,900~33,495]
ドル/円 144.19~145.06(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.399%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.841%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 70.45(高値130.50:2022/3/7、安値63.64:5/4)
金先物 1,927.80(高値2,068:5/4、安値1,618:2022/11/3)
銅先物 3.764(高値5.039:2022/3/7、安値3.142:2022/7/15)
恐怖指数(VIX)13.59 (高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 149.96(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 80(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.07(安値70.30:10/13)

 米国市場は案の定というべきかインフレ指標として注目されるPCE価格指数が市場予想を下振れ、米FRBが直近の利上げスキップしたことを正当化しうる好材料が提供されて株価は上昇、米金利は低下。下振れと言ってもわずかで水準的には高止まりという状況ですので米FRBが最近のタカ派メッセージを引っ込めるまでには至らないとみられる一方、市場反応はインフレ高進がなければ追加利上げの根拠が薄まるとして好感していると言えます。

 PCE価格指数は米CPIと並んで米FRBの注目度は高く、幅広い消費支出項目を網羅するほか、地域別の都市部や調査項目別で住居、自動車などの影響が大きく出やすいCPIと比較して、地方やサービス価格などの実態も反映されやすいといった特徴があります。よって、総合的なインフレ指標として足元は落ち着いてきていると市場が判断するには十分な説得材料であったと言えるかと思います。

 直近の米経済指標を並べてみれば景気、インフレに対する懸念が緩和、雇用は相変わらず堅調という中で、株式市場の強気姿勢を裏付けるファンダメンタルズが揃っているとの見方ができます。また、先週解説したように米FRBの資金供給策として金融機関のリバースレポ活用やBTFP利用を通じて過剰流動性の需給面は担保されている状況で、米国債もしっかりと買い込んだ上でまたそれを担保としながら株式購入に充てるといった確変モードが続いています。

 米金利上昇が抑えられつつ、NYダウやナスダックが再び高値圏に迫っているという状況は、これをブレイクすれば売り方のショートスクイーズを巻き込んで相場の2番天井を探る動きになることと思われます。ただし、この辺りは有料会員向けの【先読みの近未来】(スタンダード会員以上の方対象)でも詳しく解説しているのですが、米FRBが次回7月最終週のFOMCを前にブラックアウト(メンバーが金融政策に関する発言を控える)期間に差し掛かってくる頃までが賞味期限の目安となってくるでしょう。

 今週の景気や雇用に関する米経済指標、そして来週の物価に関連する指標が出揃ってくるまでは、ある意味、米FRBメンバーも経済データ重視と強調してきた以上は市場が景気、雇用、インフレの認識において楽観視することも容認せざるを得ません。その代わり、足元のリスク指標におけるF&G指数がすでに80超えとなっている現状からも市場の楽観が行き過ぎれば、容赦なく追加利上げが必要だと主張してくるでしょうし、市場楽観の事実上支えとなっているBTFP利用に関しても条件を厳しくしてくるかもしれません。つまりは市場の流動性次第という観点で米金融当局が実質コントロールする官製相場は続けられているわけですから、資金バラマキをストップさせない限り米国株は底堅い推移となりそうです。

【日本株投資戦略】
日経33,000円定着からのレンジ上放れ期待、景気認識の修正から強含む景気敏感株に照準

 日本市場は6月末の調整局面も無難に通過して、この7月はサマーラリーへの期待も高まってくるところです。前回解説のように、今回の月末波乱を難なく乗り切ることができたことによって下押ししたと言っても日経32,300円付近と浅く、需給面で大きく悪化したわけではありません。

 これまで12週連続という猛烈な勢いで買い越してきた海外勢もこの四半期末は利益確定売りを出してきたとみられますが、それでもなお需給は良好な状態と言え、前回のシクリカル(景気敏感)バリュー株が下支えしたところにリバランス調整を終えたグロース株の半導体関連などが再び買い直されてくる期待も持てる状況です。

 今週以降も米経済指標にらみとなりやすい場面ですが、米国株が底堅く為替も円安基調を継続している以上、日本株の下値は限られるとみて問題ないでしょう。新規材料を掴めないとやはり日経平均の33,500円より上の価格帯では利益確定売りや戻り売りも出やすいとみられますが、5日移動平均線をはさんで攻防しながら33,000円の定着ができればレンジ上放れも時間の問題となってくるかと思います。

 できれば来週中の日本3連休に入る前、また米FRBがブラックアウト期間入りする前に日経平均の34,000円突破は期待したいところですが、まずは金利環境が落ち着いている間にグロース株の持ち直しでレンジ内の戻り売りをどれだけ吸収できるかが焦点になってきます。さらに今週末の米雇用統計なども無難に通過できれば、米景気に対する自信も取り戻して景気敏感株の一段高なども期待できるようになっていくかと思われます。

 後者の景気敏感株における注目ポイントでは、先週の中国経済指標で6月製造業景況感が50pt割れで上値を遮りましたので、本日の財新製造業PMIや中国政府の景気刺激策などの有無についても大変重要となってきます。実際この4-6月の景気懸念が市場的な重しとして意識されただけでなく、実態として製造業の受注や生産、在庫に影を落としたとなれば問題ですが、あくまでも景況感という気分の問題にとどまり、事実は改善の兆しが窺えるとなれば株価は大きく反発します。そうしたリセッション懸念からの反動高という観点から7月前半の相場は期待が持てそうな局面と言えるでしょう。

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