【6/27本市場の確認ポイント】
日経平均 32,538.33(▲0.49%)[32,306~32,689]
TOPIX 2,253.81(▲0.28%)[2,238~2,263]
マザーズ 798.66(▲1.56%)[789~806]
値上がりセクターTOP5
1.海運(+4.54%)
2.石油・石炭(+1.57%)
3.空運(+1.53%)
4.その他製品(+0.83%)
5.銀行(+0.77%)
値下がりセクターTOP5
1.医薬品(▲1.59%)
2.精密機器(▲1.19%)
3.不動産(▲1.19%)
4.卸売(▲0.86%)
5.食料品(▲0.77%)
日本市場は6月最終取引が迫る中で引き続きリバランス需要の売りに押されて4日続落、しかし後場は切り返して下げ幅を縮小しています。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり701/値下がり1049で依然売り圧力は強いものの、売買代金も3兆円超えを維持しており押し目買い意欲の高さも窺えます。日経平均は幾分下値を切り下げて32,300円付近まで押し込まれましたが、5日移動平均線に近接してテクニカルサポートも意識されました。
セクター別にはシクリカル(景気敏感)バリューの代表的な海運株が大幅反発、川崎汽船(9107)が大商いで+11.5%と急騰、この他に石油株の出光興産(5019)や鉄鋼株のJFEHD(5411)、銀行株の三菱UFJ(8306)、自動車株の日産(7201)、鉄道株のJR東海(9022)などバリュー株の代表どころが逆行高を見せました。また、値上げ材料のあったオリエンタルランド(4661)も+3.8%と大幅高、反対に悪材料があった不動産株はタワマン節税の防止が嫌気されて下落。しかしグロース株調整売りを全体でカバーして、市場の底堅さは印象づけられたかと思います。
一方、グロース株ではアドバンテスト(6857)やソシオネクスト(6526)など派手に上昇した半導体株は一段の売りに押される展開、また、ソフトバンクG(9984)やソニー(6758)やリクルート(6098)など主力どころも利益確定売りが続きました。ただ新興市場は地合い悪化以上に売られる銘柄も続出している状況、新規IPOラッシュも重なって見切り売りも相次いでいる模様でマザーズ指数は5日移動平均線を割り込みました。しかしこれもその前が大きく上昇していましたので、相場としては往って来いの調整を余儀なくされた形とみることもできるかと思います。
【米国株概況】
欧米の景況感悪化で市場の過熱感落ち着く、AIラリーの余韻に浸りながら調整地合いが続く見込み
NYダウ 33,926.74(+0.63%)[33,730~33,975]
S&P500 4,378.41(+1.15%)[4,335~4,384]
NASDAQ 13,555.67(+1.65%)[13,366~13,578]
ダウ輸送株 15,293.1(+2.70%)[14,924~15,337]
半導体SOX 3,642.4(+3.60%)[3,517~3,647]
日経平均先物(CME) 32,800(+0.71%)[32,250~32,835]
ドル/円 143.25~144.20(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.370%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.769%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 68.00(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1,923.95(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.789(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)ざ
恐怖指数(VIX)13.74 (高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 140.56(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 76(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.48(安値70.30:10/13)
米国市場は米経済指標の発表が相次ぎ、軒並み市場予想を上回る強い結果を確認して反発。NYダウは7日ぶりの反発となったほか、ダウ輸送株は+2.7%、半導体SOXは+3.6%と大幅反発でリセッショントレードが大きく巻き戻される動きとなりました。主要株式指数もS&P500、ナスダックもそろって反発し、11セクターのうちヘルスケア以外の10セクターが上昇するほぼ全面高商状だったと言えます。
発表された米経済指標は5月耐久財受注が市場予想マイナスに反して+1.7%と大きく予想を覆し、カンファレンスボードの消費者信頼感指数も約1年半ぶりの高水準、さらに住宅指標もケース・シラーや新築住宅販売なども総じて回復を示しました。これらを受けて市場では米FRBの追加利上げを意識する一方、米経済の堅調さを確認して景気後退懸念が緩和して買戻しが強まりました。
債券市場ではテーマが景気後退懸念から転じて米FRBは次の7月FOMCでインフレ抑制のための追加利上げに踏み切るとの見方が強まり、年内の利下げを期待するポジションの解消も促して米金利がそれぞれ上昇。ただ、前日に▲103bpまで拡大した米2年債と米10年債の逆イールドは格差が若干縮小して、市場警戒の緩和につながりました。
今週はさらに米国の1-3月期GDP確報値やPCE価格指数など米景気、インフレをめぐる米経済指標発表が予定されており、これらも米経済が欧州や中国と一線を画して堅調と確認できれば昨晩のリセッショントレードの巻き戻しをさらに加速させることになるかと思います。ただし、ゴールドマン・サックスも指摘するように米景気が堅調となると金利見通しが現行水準よりも引き上げられる可能性が高まりますので、一定の戻り相場の後には再び上値が重くなりやすいこともリバウンドの前提に置いておいた方がよいでしょう。
◆株式相場は上値重い、金利とバリュエーションで-ゴールドマン(2023/6/27)
【日本株投資戦略】
米国株の反発を好感してリバランス売りを吸収、景気後退懸念の緩和で波状的に買われてくる日本株に注目
日本市場は月末・期末のリバランス取引も概ね終盤、6月取引では本日が権利付最終売買日となりますので売り物も嵩みやすいと思われますが、一方で米国株反発を好感して買い向かう投資主体も増加してくると見込まれます。とくに昨晩の米国市場ではダウ輸送株平均が大幅反発し、半導体SOXも同様でこれら景気に先行する株式指数が大きく上昇したことはこれからの相場が強含むことを示唆するものです。
日本株も昨日はシクリカル・バリューの海運株が大幅高したことと相まって、景気敏感株を中心に目先の相場を引っ張る上昇が期待できるものとみられます。景気に対する見方が改善することは世界景気に敏感とされる日本株を選好する理由となりますし、米景気のほかにもう一つ注目されているのが中国景気の動向です。
中国では只今4年ぶりとなる夏季ダボス会議が開催されており、中国の李首相は中国経済の成長率が前期を上回って年間目標を達成する自信を示しました。これがきっかけとなり、昨日は調整色が強まっていた中国株が買い戻されました。市場はまだ懐疑的とみられますが、一部では長期投資家がリスク選好を強めているのが実態と言えるでしょう。
日本株はグロース株の利益確定売りからバリュー株への資金シフトが徐々に進むとみられますが、それでも依然としてグロース株への期待が大きいことは変わりません。前回お伝えしましたように、グロース株の調整売りが一巡すれば出直りもまた早いとみられ、それに加えてバリュー株もじわじわと見直される動きが継続します。この6月末の底入れから7月にかけての相場では、やはりこの足元の局面が押し目買い好機であるとの見方に変わりありません。資金の出入りが激しい外需株が日経平均を再び押し上げることになると同時に、そこから物色の裾野拡大から遅れて内需株もじわじわと上昇していくことが期待できるでしょう。
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