【6/22本市場の確認ポイント】
日経平均 33,264.88(▲0.92%)[33,232~33,641]
TOPIX 2,296.50(+0.06%)[2,293~2,311]
マザーズ 845.27(▲2.25%)[843~863]
値上がりセクターTOP5
1.その他金融(+2.45%)
2.銀行(+2.43%)
3.保険(+1.65%)
4.卸売(+1.65%)
5.電気・ガス(+1.40%)
値下がりセクターTOP5
1.電気機器(▲1.34%)
2.精密機器(▲0.81%)
3.機械(▲0.80%)
4.金属製品(▲0.76%)
5.化学(▲0.70%)
日本市場はパウエル米FRB議長の議会証言に真新しい材料はみられず、為替円安を背景に戻りを試す動きでしたが、後場からの半導体株売りを中心にグロース株の下落が加速。東京エレクトロン(8035)が▲4.5%、アドバンテスト(6857)が▲6.8%と急失速したほか、象徴的に買われてきたソシオネクスト(6526)が証券会社の格下げをきっかけにストップ安まで売り込まれる暴落を見せました。
一方では、銀行株を中心に金融セクターが買われ、原油高を手がかりに商社株やエネルギー株、鉄鋼や海運など市況関連もしっかり、相対的にバリュー株が強含みとなり、日経平均の▲0.92%に対してTOPIXが+0.06%と底堅い面もみられました。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり800/値下がり970とやや値下がり銘柄が多くなり、上記半導体関連のほか資生堂(4911)やコーセー(4922)など化粧品株も大きく売られています。
上昇相場の主導的役割を果たしてきた半導体株が軒並み急落したことをうけてグロース株売りが新興市場にも波及、マザーズ指数も▲2.25%と大幅安。直近IPO株の物色人気が高かったところに水を差す形となり、前日上場のシーユーシー(9158)がストップ安、Globee(5575)も2ケタ下落、さらにはこの日上場したリアルゲイト(5532)に至っては公開価格の2倍以上の株価で初値がついたところからストップ安まで売り込まれる惨事となりました。その他、最近の個人投資家人気が高かった銘柄にも値崩れする銘柄が続出して市場センチメントを悪化させました。
【米国株概況】
パウエル米FRB議長の議会証言を巡り一進一退、金利高・ドル高で商品市場が下落
NYダウ 33,946.71(▲0.01%)[33,835~34,003]
S&P500 4,381.89(+0.37%)[4,351~4,382]
NASDAQ 13,630.61(+0.95%)[13,441~13,631]
ダウ輸送株 14,797.8(+0.40%)[14,671~14,863]
半導体SOX 3,569.9(+0.57%)[3,523~3,580]
日経平均先物(CME) 33,445(+0.83%)[33,110~33,595]
ドル/円 141.59~143.23(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.373%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.797%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 69.50(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1,923.55(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.889(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)12.91 (高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 136.15(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 80(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.32(安値70.30:10/13)
米国市場はパウエル米FRB議長が21日に下院、22日に上院で議会証言を行い、直近のFOMCを総括しつつ利上げ継続の姿勢を強調したことで21日は警戒売りに押されました。ただ、翌22日ではハイテク株を中心に買い戻されてひと安心といったところです。
水準的にみれば株式市場は一進一退であまり状況は変わっていないように見受けられますが、債券市場では逆イールドが深化して2年債ー10年債の利回り差は一時100bp(=1%)超えとなる場面もあり、金利環境がピクピク反応しています。米金利上昇の中でもハイテク株が買い戻されたのは朗報と言えますが、元々の売りポジションに傾倒していた一部が買い戻されて水準を保ったというだけの可能性もあり、調整は今後も続くかもしれません。
為替市場では米金利の先高観を反映して米ドルが強含み、ドル円は143円台に突入。ドル高を背景に金や原油が売られ、金利上昇による景気減速懸念も相まって下げも加速しやすくなっています。これには米国だけでなく英中銀が予想外の0.5%利上げに踏み切ったことや欧州ECBも利上げ後に更なる追加措置を匂わせ、スイス中銀も追加利上げと各国中銀の金融引き締め強化が懸念されていることも重しになったとみられます。
ただ、昨晩の動向をみましても市場はある程度リセッショントレードで売りポジションも積み上げてきたため、所々で買戻しが入りながら調整は段階的に進んでいく可能性が高いと予想します。リスク指標にしても状況は落ち着いており、仮想通貨のビットコインに至っては規制強化懸念で売られていたところから大きく切り返して高値更新とリスクマネーが委縮している様子もみられません。
実際に次の7月FOMCまでは利上げホールドで金融環境は大きく変化せずですから、米FRBメンバー発言や経済指標などをきっかけに懸念緩和と再燃を繰り返すとみられ、調整は緩やかに進んでいくことでしょう。他方でドル高圧力から新興国債務問題などに市場懸念が飛び火していく可能性には注意が必要と言えます。
【日本株投資戦略】
半導体株の急変でグロース株に激震が走るも冷静な対応が必要、月末リバランス後を見据えながら循環物色が進む
日本市場は昨日の半導体株急落によって市場センチメント悪化が気になるところですが、大きく値崩れしたのは直近で人気が集中してきた銘柄という点が特徴的です。とはいえ、個人投資家でリスク管理が甘い場合、人気に釣られて信用取引を過大に膨らませてしまっているケースも多いため、短期急騰の銘柄を高値掴みした直後の急落に巻き込まれるような状況だと追証まで追い込まれることも珍しくありません。
異彩を放つ上昇を見せてきたソシオネクスト(6526)のような値がさ株でストップ安に巻き込まれた可能性は少ないかもしれませんが、新興市場にはプログリット(9560)の2日連続ストップ安となるような銘柄もあります。SNS上での話題銘柄の多くは信用買い残が積み上がって、何かの拍子に雪崩を打って売りが加速しやすい銘柄も多く、エントリーする前に十分注意する必要があるでしょう。
トレードに慣れている方であれば上昇の起点や出来高の推移、信用状況、材料の賞味期限などをひと通りチェックしてからエントリーを検討するかと思いますが、SNSなどで広く拡散されている銘柄などは買い煽りでお祭り状態になりやすいため、どうしても陽気な雰囲気に誘われてついついチェックが緩くなってしまう場合もあるかもしれません。
ただ、先日から指摘してきましたように、この6月末にかけてはファンドな年金などのリバランス需要が高く、2023年における前期末ということもあってファンドマネージャーなどは利益確定売りを出すタイミングを虎視眈々と狙っています。例えば半導体株などをみれば年始の1月を底値に多少の浮き沈みを交えながらもトントン拍子に上昇して、まもなく6か月です。この6か月という期間は信用取引における期日とも関係性が高く、相場の一区切りともなりやすいため注意しておく必要があります。
また、配当落ちのある3月の年度末に続いて6月末というのは、株主総会が集中して配当再投資の買いが一巡するところにETFの分配金原資を捻出するための換金売りが発生するため、特殊な需給要因が発生しやすい時期と言えます。今年はこれに株式市場が上昇していることに伴うリバランス需要が例年以上に大きくなるとみられるため注意を要する局面なのです。
◆日本株に恒例の需給悪化、1兆円超のETF換金売り-年金再配分も(2023/6/22)
しかし裏を返せば、こうした期末特有の極めて特殊な需給要因が発生していることをふまえ、機械的に売られる現象は一過性のものであるとの認識であれば狼狽売りすることは無くなります。前回も解説したようにこの月末にかけての調整局面は押し目買い好機を演出し、また、昨日の大きく売られた銘柄はあらかじめ人気が集中してボラティリティが高まっていたものに限られている点を考慮すれば、この押し目でも底堅く推移している銘柄は資金シフトで主役交代で注目度が高まってくるきっかけを掴む可能性があります。昨日のグロース売りのバリュー買いは一つのヒントを提供してくれたと思いますし、売られたグロース株にしても調整が完了すれば予想するよりも早く出直ってくる可能性も期待できるでしょう。
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