【6/16日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,706.08(+0.66%)[33,186~33,772]
TOPIX 2,300.36(+0.28%)[2,279~2,304]
マザーズ 830.37(+4.46%)[801~830]
値上がりセクターTOP5
1.空運(+2.86%)
2.鉱業(+2.33%)
3.医薬品(+1.23%)
4.卸売(+1.19%)
5.化学(+1.01%)
値下がりセクターTOP5
1.海運(▲1.16%)
2.陸運(▲0.58%)
3.輸送用機器(▲0.45%)
4.ゴム(▲0.45%)
5.建設(▲0.38%)
日本市場は市場が注目する日銀金融政策決定会合を前に一部で政策修正への警戒感も燻り、為替も円高寄りの推移から軟調に始まりましたが、後場には日銀が現状維持するとの観測が強まり巻き戻しの動きへと変化。日経平均は33,200円を一時割り込みながらも底堅く推移した後、後場からは売り方のショートカバーでプラス圏に浮上するや否や引けにかけては一段高で平成バブル後の戻り高値を更新して取引を終えました。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1118/値下がり668と値上がり株が優勢となり、ファーストリテイリング(9983)やソフトバンクG(9984)のほか、物色人気の高い半導体が切り返し、インバウンド関連内需株が強く買われるなど自動車株などの下落銘柄をカバーしました。
全体が朝方の軟調ムードで下押しされる中で強含んだのが新興市場で、マザーズは終日プラス圏で推移しながら後場にかけては一段と買われ、+4.46%の大幅上昇。引き続き生成AI関連の物色人気が高いほか、政府の量子コンピュータ、スパコン産業活用推進に向けた取り組み期待でフィックスターズ(3687)なども大幅高。直近IPOのABEJA(5574)はストップ高まで買いが膨らんだことなども刺激材料となり、テーマ株としての物色人気が他のグロース市場株にも波及しました。
【米国株概況】
FOMC材料を消化しつつ米長期金利は安定推移、目先は米FRBの市場牽制発言と米国債の買い意欲継続に注目
NYダウ 34,299.12(▲0.32%)[34,285~34,588]
S&P500 4,409.59(▲0.37%)[4,407~4,448]
NASDAQ 13,689.57(▲0.68%)[13,680~13,864]
ダウ輸送株 14,792.9(▲0.51%)[14,764~14,983]
半導体SOX 3,673.1(▲0.94%)[3,671~3,743]
日経平均先物(CME) 33,675(+0.07%)[33,135~33,955]
ドル/円 139.83~141.91(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.400%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.767%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 71.44(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1,970.45(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.879(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)13.54 (高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 143.07(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 82(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.93(安値70.30:10/13)
米国市場は6月クアドラプルウィッチングにおけるSQ清算に伴う売買で売り方の買戻し一巡が株価の重しとなったほか、3連休前のポジション調整も重なってやや軟化。ただ、6月FOMC材料を消化しながら債券市場では米金利が低下したこともあり、ハイテク株がそれほど売りに押されることもなく底堅い推移を見せました。
前日までのところで米FRBの今後の金利見通しをめぐり金融当局と市場の見方が対立しつつ、足元の米経済指標では6月ミシガン大消費者信頼感指数速報値が63.9と高い数値を示し、目先の景気後退に対する懸念が和らいだことや併せて発表された1年先期待インフレ率速報値が前月から大きく低下したことでインフレ指標の低下を確認でき、米FRBのタカ派メッセージを警戒する向きが減衰したとみられます。
引き続き米FRBと市場の駆け引きは、米FRBメンバーがブラックアウト期間を抜けて市場の楽観を牽制する発言が放り込まれることで上値を押さえることになりそうですが、今週の米国債入札やFOMCのターミナルレート引き上げがあっても米長期金利はほとんど横ばいで反応薄だったことが重要なポイントになります。
先月からの米国デフォルト騒動を通過したことで米国債需要は再び強気に転じているとみられ、米長期金利が上昇しづらい需給環境が米国株の底堅さにつながっていると言えるでしょう。債券トレーダーは米FRBの金利見通しで年内あと2回の利上げがあり得るとのドットチャート上振れがみられてもさほど気にしていない様子で、いずれにしても金利ピークは目前であることに変わりなくあとは誤差の範囲と捉えながら高利回りの米国債を確保しておくことに専念しているとみられます。
したがって米国株にとっても金利環境がこのまま落ち着いていくのであれば、特段売り急ぐ必要も無くなるわけですが、その一方で金利水準は概ね横ばいで推移することを前提としても、QT(量的引き締め)継続やリバースレポ残高の減少で市場の流動性は徐々に吸収されていくことが株価の上値を抑える要因となり、また株価動向の不安定化にもつながってきます。したがって、目先は米経済指標のデータチェックで米FRBが市場の楽観を牽制する形で、米株一段高への期待が徐々に減衰する流れで一進一退の攻防が繰り広げられそうです。
【日本株投資戦略】
金融政策日程を通過して為替円安基調が強まる、円安進展でも外需株売りは市場の内需株物色への転換を示唆するものか
日本市場は主要国の金融政策スケジュールを鮮やかに通過して平成バブル後高値を更新しながら上値追い継続、とくに日銀会合後で再び為替が円安基調を強めたことも相まって海外投資家の資金流入も続きやすいとみられます。前週末は為替が持ち直す中でも自動車株が軟調な動きとなりましたが、その分内需株の物色が全体を下支えしており物色傾向の変化にも注目されます。
日銀が現状維持方針を貫いたことで為替は円安深耕が進みやすい場面ですが、米FRBも6月利上げは見送ったことで日米金利差を意識したドル高円安はフラットと言えます。しかし片や欧州ECBが積極的な利上げ政策を継続したことにより、ユーロ高円安を前提としたトレードを後押ししやすいとみられます。
目先のところで注目しておきたいのは、この為替をめぐる一段の円安深耕に伴って外需株を物色する流れが継続するか否かというのが最大の焦点である一方、この円安環境においては日本国内の輸入物価上昇が促されることによって悪性インフレ(コストブッシュ・インフレ)が一段と進むことで企業業績にとっての重しとして意識されるかどうかが重要と言えます。
日本経済にとってはこのインフレがこれまでの長年デフレ環境脱却に向けた経済正常化プロセスの一環であると言える一方、企業業績に関してみれば足元でエネルギー価格低下が業績圧迫を緩和するものとなっているものの、これが再びエネルギー輸入価格を押し上げられてしまうということになれば製造業や家計にとってはネガティブ視されるものとなります。
ただし株価というものにだけ焦点を当てれば、インフレ環境は日本経済がそれほど改善せずとも実体経済を無視する形で株高というのが正当化されます。つまり、日銀も国内のインフレ定着に重きを置いていますように、日本国内のインフレが加速することで内需株の値上げが浸透していき、業績改善要因となります。
海外では米インフレ指標の低下にみられますように、インフレ率鈍化は利上げサイクルの終わりが近づきつつあることを示唆する一方で今度は実質金利の上昇が強く意識されるようになり株価上昇を妨げることとなります。それに対して日本株はこれからさらにインフレが加速する状況となるにしたがい、株価の上値余地拡大が期待されることとなり日本株の優位性がさらに強まることにつながっていきます。
したがいまして、目先は市場の物色傾向が外需株から内需株にシフトする転換点を迎えているかどうかを見極めるポイントとし、とくに直近で強含んだ半導体株や自動車株、商社株などの動向に対して、国内のサービスや情報・通信、物流、インバウンドなど内需株の動向でどちらが優位に立つのかを確認したい場面でしょう。そのように考えますと、先週末の新興グロース株が出遅れ物色人気と相まって急騰したことにも合点がいくと言えるかと思います。
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