【6/15日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,485.49(▲0.05%)[33,386~33,767]
TOPIX 2,293.97(▲0.02%)[2,286~2,309]
マザーズ 794.93(▲0.35%)[793~800]
値上がりセクターTOP5
1.証券・商品先物(+3.86%)
2.海運(+1.91%)
3.その他金融(+1.23%)
4.機械(+0.70%)
5.ガラス・土石(+0.69%)
値下がりセクターTOP5
1.医薬品(▲1.80%)
2.小売(▲0.73%)
3.紙・パルプ(▲0.67%)
4.陸運(▲0.61%)
5.電気・ガス(▲0.57%)
日本市場は5日ぶり反落となり上昇一服、米FOMC通過で米金利低下、ハイテク株上昇の流れをうけて半導体株が再び買われました。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり761/値下がり1006と最近の連騰続きで利益確定売りも出やすく、指数を押し上げてきたファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクG(9984)などが売りに押されたほか、医薬品のエーザイ(4523)、第一三共(4568)も直近材料の物色が一巡。
半導体関連以外に資金が回ってきたのは証券株や海運株で、足元のバリュー株物色に出遅れていたところから反発。また、中国景気刺激策期待で中国株が反発したのに合わせてニデック(6594)なども上昇、景気敏感株の動きが良くなってきています。ただし、米FOMC通過で為替の円安が一段進んだ割には外需株の反応は鈍く、自動車やエレクトロニクス、商社など本来買われるところが既に足元上昇していたせいか上値を伸ばしきれていません。
一方、新興市場ではいよいよIPOラッシュが始まり、ABEJA(5574)、Globee(5575)はともに初値急騰、ABEJA(5574)はセカンダリー人気も高く、昨日はストップ高まで買われました。来週から月末にかけて16社が新規上場予定で、グロース市場では関連物色が賑わいそうです。今回は大型案件がそれほど見当たらないため市場の流動性吸収といった点で不安は少なく、主力株の上昇一服に伴い、この6月後半は小型株に資金が下りてくるかも見どころとなるでしょう。
【米国株概況】
市場期待どおりのFOMC通過で株も債券も貪欲買い、売り方のペイントレード続く中でSQ清算後の動きにも注目
NYダウ 34,408.06(+1.26%)[33,945~34,488]
S&P500 4,425.84(+1.21%)[4,362~4,439]
NASDAQ 13,782.82(+1.14%)[13,455~13,661]
ダウ輸送株 14,868.8(+1.55%)[14,587~14,904]
半導体SOX 3,710.1(▲0.79%)[3,684~3,721]
日経平均先物(CME) 33,465(+0.17%)[33,110~33,745]
ドル/円 139.93~141.51(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.419%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.720%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 70.57(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1,970.15(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.890(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)14.50 (高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 147.86(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 81(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.12(安値70.30:10/13)
米国市場は14日FOMC後のパウエル米FRB議長発言に注目が集まり、概ね市場予想通りの利上げ見送り、7月以降の利上げ再開を示唆する内容でした。ただ、年内の利上げ見通しに関しては5.50-5.70%を想定し、あと2回の利上げに相当するピーク金利引き上げに直面した米国株はNYダウが▲400ドル近く急落する場面がみられました。
しかし、パウエル米FRB議長の会見が進むにつれて直近のインフレ抑制効果や米経済の底堅さを評価している点などを手がかりに買い直す動きも強まりました。とくに債券市場ではFOMC直後こそ米金利が短期・長期ともに急伸しましたが、直ちに押し目買いが入り金利は低下、これを背景に再びハイテク株買いが強まりナスダックはプラス圏に押し上げられました。こうした動きに象徴されるように市場は米FRBの利上げ脅迫を受け流しており、利上げ見通しに関しても米景気のハードランディング回避を優先させるのであれば年内あと2回はどうせ無理だろうとみています。
また、米債市場ではショートポジションが大きく積み上がっていることに加えて、米国デフォルト回避後の米国債買いの機会を待ち構えているトレーダーも多く、需給面から米金利は低く抑え込まれやすい環境が醸成されています。これによって米株市場ではハイテク株買いを支援しやすく、今回利上げが見送られたことによってそれはすなわち次回FOMCまで猶予期間が与えられたことを意味するため、サマーラリーで市場物色も広がりやすくなるとの期待が持てるかもしれません。
今晩は米国版メジャーSQであるクアドラプルウィッチングがあり、オプションSQ絡みのフローとしてナスダックでは清算に伴う買い需要が発生しやすい場面と言えます。とにかく米株市場でも米債市場でも空売りのショートポジションを必要以上に積み上げてしまっているため、市場の実勢が測りづらい状況となっています。個別株でもテスラやエヌビディアなど高値に吊り上げられた銘柄の売り意欲が結局は指数の動きにも大きく関わってくるため、イベント通過後も高値圏を維持できるかが見ものです。
昨晩の米国株もFOMC材料を消化しつつ、新たに米経済指標で5月小売売上高や鉱工業生産、足元6月のニューヨーク、フィラデルフィアにおける連銀景気指数が発表され、市場予想に反して改善などもみられました。米金利低下を追い風にナスダックが6日続伸したことに加えて、NYダウもシクリカル・バリュー株の見直し買いが入ったことで幅広く買われました。パウエル米FRB議長は来週21日に改めて議会証言を控え、また他の米FRBメンバーもブラックアウト期間を明けて要人発言が多くなるため、ひとまず目先は市場都合の解釈にしたがい強気トレードで良いものとして、これを当局が牽制する発言をし始めたら注意する必要が出てくるでしょう。
【日本株投資戦略】
日銀会合控えて為替円安が進展も株価は上昇一服感、選挙思惑剥落で調整待ちがゆえに中小型株ラリーも
日本市場は米FOMCを無難に通過したことで上値追い継続、連日のように東証プライムの売買代金が4兆円超えを記録しつながら平成バブル後高値を更新してきました。米FOMC後の波乱も結局、米国株自体が底堅い動きを見せたほか、14日引け後の先物市場で日経先物も+300円程の貯金を作ってFOMCを迎えましたので、それを吐き出すだけで済ませることができました。
米FOMC通過で次は日銀金融政策決定会合に目線が移るわけですが、米国の金利見通しが引き上げられたことによって為替市場ではドル高円安が一段と進んで141円台をつける場面がみられています。おそらく日銀はノーサプライズで政策は現状維持だとの市場観測どおりとなれば為替円安の深耕が再開されることになるでしょう。
ただ昨日は為替円安でも外需株の反応が鈍かったことがやや気がかりな点として挙げられるところですが、日銀イベント前というほかに足元では衆議院解散総選挙の思惑も交じって選挙相場への期待が先行し過ぎていた側面もあります。昨晩のニュースでは岸田首相が野党の内閣不信任案を否決して、事前観測のあった即時解散は否定したとのことです。これでやや市場の前のめり感が剥落してしまうと調整もやむなしということになってくるかと思います。
ひとまず米国市場も足元のペイントレードが一巡してくるまでは堅調とみられますが、上述したように来週のパウエル米FRB議長の議会証言が近づくと市場の楽観も打ち砕かれるまではないと思いますが、ある程度牽制してくるくらいのことは十分あり得るかと思います。したがって、来週も21日、22日あたりに押し目を作る機会があれば押し目買い好機とみる一方、日本の選挙相場がまだ先ということをふまえますと無理するような場面でもありません。目先は調整待ちという展開で、新興市場のIPOラッシュに伴い中小型株ラリーが活発化しやすいと言えるかもしれません。主力株はバリュー株の仕込みが終わっていれば、6月最終週あたりまでは次のサマーラリーに備える意味で少しひと息つくくらいのスタンスでよいかと思われます。
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