【6/13日本市場の確認ポイント】
日経平均 33,018.65(+1.80%)[32,638~33,127]
TOPIX   2,264.79(+1.16%)[2,249~2,272]
マザーズ 806.22(+1.07%)[804~813]

値上がりセクターTOP5
1.輸送用機器(+3.40%)
2.卸売(+1.95%)
3.電気機器(+1.45%)
4.機械(+1.38%)
5.ゴム(+1.24%)

値下がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(▲1.05%)
2.電気・ガス(▲0.43%)
3.海運(▲0.37%)
4.鉱業(▲0.25%)
5.水産・農林(▲0.13%)

 日本市場は大幅高で再び平成バブル後最高値を更新、日経平均は33,000円台を回復して上昇幅は一時+700円近くに達する場面もみられました。主力値がさ株が軒並み大きく買われ、半導体の東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)が+5%近い大幅高に加えてファーストリテイリング(9983)やソフトバンクG(9984)などが指数を押し上げました。

 材料のあったソフトバンクG(9984)やトヨタ自動車(7203)が5%超まで強く買われたことが刺激材料となり、AI関連や全個体電池関連などの中小型株にも物色が波及、セクター別では自動車や商社が大幅高となっています。これをうけてTOPIXも続伸し、先物主導で日経平均だけが独り歩きするような状況とは異なり、物色が広範囲に広がる地合いの強さも窺えるものでした。

 マクロ環境では米CPIやFOMCを控えて様子見姿勢が強まるかに思える場面でしたが、足元の市場観測で日銀が金融緩和路線の維持を見込む声や岸田首相の会見予定に伴い解散総選挙の思惑が広がっていることなどをうけて、投資家の株高期待を後押ししました。新興のマザーズも後場はやや失速しながらも前日の大幅高からきっちり続伸しており、また、グロース市場に新規上場したABEJA(5574)は初日に初値がつかないほど人気が集中し、強い買い意欲が確認されています。

【米国株概況】
5月CPI鈍化でFOMC利上げ見送り観測強まり株高、投資家センチメントは昨年2月天井レベルの強気水準

NYダウ 34,212.12(+0.43%)[34,107~34,310]
S&P500 4,369.01(+0.69%)[4,349~4,375]
NASDAQ 13,573.32(+0.83%)[13,473~13,594]
ダウ輸送株 14,448.2(+1.00%)[14,294~14,459]
半導体SOX 3,683.7(+1.15%)[3,646~3,711]
日経平均先物(CME) 32,325(+0.39%)[31,810~32,495]
ドル/円 139.00~140.30(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.415%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.820%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 69.28(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1,957.00(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.829(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)14.61(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 156.44(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 80(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.73(安値70.30:10/13)

 昨晩の米国市場では5月CPI(消費者物価指数)が発表され、結果はほぼ市場予想どおりながらもインフレ鈍化が好感されたことで、今晩のFOMCでは利上げが見送られるとの観測が強まりました。為替市場では米ドルが売られドルインデックスは103pt付近へと軟化、債券市場でも米国債利回りが低下しましたが、その後は上昇に転じました。

 株式市場ではS&P500、ナスダックがそれぞれ高値を更新し、テスラやエヌビディアといった直近買われてきたところが再び騰勢を強めて指数をけん引しました。NYダウも年初来高値に接近しており、構成銘柄では英アームのIPOに絡む材料のあったインテルや中国の景気刺激策期待でキャタピラーなど景気敏感株も強く買われました。

 米FRBの金融引き締め姿勢が軟化するとの見方に加えて、中国人民銀行が短期金利を引き下げたことがグロース株の支援材料となり、テスラなど米国株だけでなく米上場の中国企業の銘柄も買われています。前日にゴールドマン・サックスが従来の原油強気予想を下方修正したことに伴い急落した原油先物価格も反発、米国とイランとの間で核合意再建にかかる期待報道からイラン産原油による国際供給量が増加するとの見方を米当局が一部否定したことも原油市場の反発につながったとみられます。

 商品市場では原油価格が反発した一方で金先物価格が下落、安全資産の需要後退から金融市場全体でリスクオンムードを強める形となっています。FOMCを無難通過するとの期待感も相まってリスク指標はVIX指数が再び15pt割れと軟化し、Fear&Greed指数は昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻前の強気水準であった80まで回復し、EXTREME GREEDレベルをさらに更新してきました。

 今回の5月CPIが前年比4.0%(市場予想:同4.1%、4月同4.9%)の伸びにとどまり、こちらも2021年3月以来の緩やかな伸びとなったことをうけて、米FRBの利上げ見通しは前日の80%弱から92%に上昇しています。米FRBが政策判断をデータに依拠すると言明している以上、市場観測どおりに利上げを見送るかどうかが焦点になります。ここで万が一、サプライズ利上げということになりますと米金利が跳ね上がり、グロース株が売られるという展開も確率的にはわずかながら一応想定しておく必要があると言えそうです。

【日本株投資戦略】
主力株材料で物色が賑わい日経平均は33,000円突破、選挙相場の思惑も加わり期待先行の株高につき調整警戒も

 日本市場は先週のSQ前波乱からの出直り相場で戻りを試す動きを見せつつ、昨日はソフトバンクG(9984)やトヨタ自動車(7203)などに好材料が提供されたことで相場は一段高となりました。今週末に控える日銀金融政策決定会合ではまだ政策修正もあり得るとの備えもしつつ、株式市場ではそれより目先で解散総選挙が行われ選挙相場にも発展していく期待感が高まっています。

 昨日引け後に注目された岸田首相による少子化対策をめぐる記者会見では、解散総選挙の時期について質問が投げかけられたものの、来週に迫る国会会期末の情勢を見極めながら総合的に判断するとの定型句でしたが、明確に否定もしなかったことで選挙思惑は継続しているとみられます。

 他方、日経平均は時間外の先物市場で早くも33,500円台に到達しており、先週のSQ前波乱で押し目を演出した31,400円付近からはすでに2,000円超の上昇幅となってきています。前回、25日移動平均線からの乖離率が+7%を超えたところで一転調整の動きを見せましたので、目先においても33,500円到達で25日線乖離は+8%に達するところで高値警戒感も意識されやすい場面であることは注意しておく必要があるでしょう。

 ただ、前回の相場展望でも今週は米国市場イベントでCPI、FOMCが予定されているこの週央が最も波乱を呼び込みやすいところになると解説しておりますので、今週末の米国クアドラプル・ウィッチングに絡めた先物乱高下はあらかじめ覚悟しておかなくてはなりません。

 とはいえ日経平均は30,000円の大台突破からすでに1割以上の貯金を確保していますので、多少の調整を入れたからと言って強い上昇トレンドが崩れるような事態は考えずともよく、所々で生じる押し目は追加買いのチャンスとの認識でよいでしょう。冒頭のソフトバンクGやトヨタ自動車のように個別での材料も出てきやすい時期でもあると言えますので、前のめりになって無謀な取引さえしなければ新規材料の関連物色などで十分なリターンが自然についてくるものと思われます。

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