【6/9日本市場の確認ポイント】
日経平均 32,265.17(+1.97%)[31,898~32,304]
TOPIX   2,224.32(+1.50%)[2,204~2,228]
マザーズ 772.79(+0.47%)[770~777]

値上がりセクターTOP5
1.卸売(+3.19%)
2.電気・ガス(+2.22%)
3.医薬品(+1.94%)
4.ゴム(+1.77%)
5.機械(+1.77%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲0.35%)
2.空運(▲0.13%)
3.石油・石炭(▲0.12%)
4.鉱業(▲0.10%)
5.なし

 日本市場は朝方に6月限の先物・オプションにかかるSQ算出にあたり32,018.38円で清算を終えた後、これを通過した安心感が下支えとなり上昇幅を拡大させました。日経平均は+623円高(+1.97%)と大幅反発し、指数売買で乱高下しているファーストリテイリング(9983)やダイキン(6367)などの大幅高はじめ、日経採用の9割弱が値上がりしました。

 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1522/値下がり266と値上がり銘柄が圧倒し、丸紅(8002)や三井物産(8031)など商社株が大幅高、また関西電力(9503)、東京電力(9501)なども強く買われて値上がりセクター2位に電力・ガスが食い込みました。東証33業種のうち29業種が値上がり、値下がりは海運・空運、石油・石炭など4業種ありましたがいずれも小幅安にとどまっています。

 前日の米国株反発や6月SQの無難通過で市場の警戒感が後退し、「魔の水曜日」前後の急落から半値戻し以上をクリア。投資家センチメントの急回復から指数や個別株の空売りを踏み上げていく可能性もある中、マザーズ指数の反発は控えめなものとなりました。乱高下の激しい一週間となりながらも日経平均はこれで9週連続の陽線形成、快進撃をどこまで続けられるか見ものです。

【米国株概況】
米経済指標にFOMC金利見通しと今後を占う重要な局面、強気相場入りを示唆した米国株に立ちはだかる米金利動向

NYダウ 33,876.78(+0.13%)[33,787~33,975]
S&P500 4,298.86(+0.11%)[4,291~4,322]
NASDAQ 13,259.14(+0.16%)[13,229~13,385]
ダウ輸送株 14,243.4(▲1.10%)[14,212~14,421]
半導体SOX 3,525.0(+0.30%)[3,508~3,580]
日経平均先物(CME) 32,325(+0.39%)[31,810~32,495]
ドル/円 138.74~139.71(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.424%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.743%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 70.35(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1,975.90(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.771(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)13.83(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 152.78(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 77(EXTREME GREED:極度の貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.72(安値70.30:10/13)

 米国市場は今週の5月CPI(消費者物価指数)発表、そして6月FOMCを控えて様子見姿勢、主要株式3指数はそろって小幅高、テスラ株の大幅上昇に刺激されてナスダックやS&P500は年初来高値を更新する場面もみられました。S&P500は昨年10月安値から20%超上昇し、強気相場入りの声も聞かれました。
アングル:米S&Pが直近安値から20%上昇、新たな強気相場入りには異論も(2023/6/9)

 ただし、冒頭の5月CPIや6月FOMCを波乱なく通過できるかというハードルがあり、前回も注目しましたようにこの週末には米国版メジャーSQであるクアドラプル・ウィッチングが予定されています。日本市場でもSQ週「魔の水曜日」をはさんで指数は大きく乱高下を強いられることとなり、日本よりもオプション取引が盛んな米国市場でもやはり週央は経済指標、中銀イベントに絡めた指数売買は要警戒と言えるところでしょう。

 今回の6月FOMCに対する市場の見方は利上げを一旦停止して、7月利上げ再開というのが大筋となっているようですが、足元の米経済状況をふまえますと6月に利上げを見送ることができるのであれば7月も利上げを見送ることができてしまうでしょう。この利上げを一旦停止した後の再開というのはなかなか高いハードルになる話で、本当に中央銀行としてインフレ退治を最優先に考えているのであれば6月の追加利上げは正当化されるはずです。

 結局のところ、利上げ見送り派は3月の米銀行不安や足元での米国デフォルト騒動なども重なり、今夏における米経済下振れに対する警戒感も相まって、これ以上金融市場にストレスを与えないでほしいというのが本音だとみられますが、もしここで米FRBが金融引き締めの手を緩めるのであれば歴史的インフレの悪魔が再び勢いを増してくる恐れがあるでしょう。米国の金融不安は解決したわけではなく、水面下で燻っている状況ではありますが、米FRBのBTFP(バンク・ターム・ファシリティ・プログラム)で流動性を供給して混乱が一定程度抑えられている間に利上げをできるところまでやっておこうという考えも選択肢にあるかと思われます。

 米金利の動向を考えますと今回のFOMCはとりわけ重要なものになると言え、米株市場においても今週半ばのところを境にこのまま強気相場入りが許されるのかどうか非常に注目されるところです。また、今週は足元で辛うじてクリアした米債務上限問題後のトレジャリー・ビル増加の行方や米国債の入札状況など今後を占う上で重要な見どころが目白押しですので、市場は神経質なムードが広がりやすいと言えるでしょう。

【日本株投資戦略】
SQ通過で勢いづく日本株は戻りを試した後に上昇一服か、四季報相場と6月後半に向けての取り組み方

 日本市場は前週末のSQ突破後に騰勢を強めた余勢を駆って戻りを試す相場とみられる中、順張り派にしろ逆張り派にしろ足元の激しく乱高下する市場の動きは投資チャンスを提供してくれます。上昇トレンドを形成している日本株にとっても、上述した米国市場の動向はとても重要で、今週もまた週央あたりが大きな注目点となります。

 上昇トレンドに乗りながら順張り派であれば積極果敢に攻めつつ、短期売買では週央までに利益確定を狙いたいところですし、逆張り派であればこれまでのように押し目好機をうまく活かしつつ週央の波乱で下値を拾うことを狙っていくことが上策となります。

 日本株にとって今週は週後半から週末にかけて予定される日銀金融政策決定会合が重要イベントであり、足元では今回も日銀は政策修正の可能性を残しつつ現状維持を貫くとの思惑が株価上昇を支援しています。加えて、日本の政治においても国会会期末が迫る中で衆議院の解散総選挙が近いとの憶測も飛び交い、選挙相場への期待感も含めた形で株価上昇を後押ししている側面もあるでしょう。

 日米欧それぞれで中銀イベントを控える重要な一週間であるだけに、投資家としてはこれらを見極めるために動きづらい側面もあり、おそらく強弱感は定まりづらいとみられます。市場では先週から岸田首相が少子化対策の財源をめぐり13日に会見を開く予定としている中で、解散総選挙をめぐる時期について重要な手がかりが得られるのではないかとの見方も浮上していますが、そこで選挙のことは現時点で考えていないとの発言が出てくるようなら市場は期待先行であった分、失望売りも招きやすい場面かと思われます。

 ただし、目先の乱高下を横に置いて大局的に考えますと、概ね高値圏でのもみ合いが続くものとみられ、市場は期待先行や思惑といったものを消化していく時間帯と言えるかと思います。足元では6月後半の株主総会ラッシュとともに3月期末配当の支払いを受け取って、次に大きく動いてくるのは6月最終週あたりになるかと思われます。

 したがって、市場の荒い値動きに翻弄されるのではなく冷静に取り組んでいくことが求められると言えます。ちょうど今週末には四季報<夏号>の最新号発売というタイミングもあって、個別株の売買は材料物色が活発となりやすいでしょう。だからこそ、四季報相場で投機に走るのではなく、日本企業の業績や設備投資の動向などをふまえながら6月後半にかけてじっくり仕込んでいくのが機関投資家、いわゆる〝プロの目線”ということになるかと思います。

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