【6/7日本市場の確認ポイント】
日経平均 32506.78(+0.90%)[31,933~32,534]
TOPIX 2236.28(+0.74%)[2,200~2,236]
マザーズ 784.05(+0.85%)[772~786]
値上がりセクターTOP5
1.卸売(+2.51%)
2.鉱業(+2.47%)
3.鉄鋼(+2.11%)
4.保険(+1.88%)
5.医薬品(+1.32%)
値下がりセクターTOP5
1.銀行(▲0.78%)
2.海運(▲0.74%)
3.精密機器(▲0.38%)
4.ガラス・土石(▲0.32%)
5.金属製品(▲0.27%)
日本市場は米国株失速をうけて朝方は警戒売りで売りに押されましたが、押し目買いが入りプラス圏へ浮上。その後も戻り売りとの鬩ぎ合いが続いたものの、売り物を吸収しながら後場は一段高となって再び新高値更新となりました。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり933/値下がり829とほぼ拮抗しながら、ファーストリテイリング(9983)や東京エレクトロン(8035)、ダイキン(6367)などの値がさ株が指数を押し上げたほか、重工3社や商社株などが大幅高となりTOPIXも同様に新高値更新の動きとなっています。
その反面、アドバンテスト(6857)や太陽誘電(6976)などが軟調で利益確定売りに抗えず、米国での自己資本規制強化や4月実質賃金が発表され春闘ベアの効果がまだ反映されていない現状から日銀が政策修正を後ずれさせるとの見方から銀行株が売りに押されました。また、エネルギー株や鉄鋼株などは強く買われましたが、海運株は軟調となるなど景気敏感株の反騰にもバラつきがみられています。
中小型株市場ではマザーズ指数が日経・TOPIXの朝方に弱含む場面でもしっかりとプラス圏を推移し、引き続きAI関連などのテーマ株物色が賑わいをみせました。マザーズ指数も2月以降の上値抵抗トレンドが次第に切り下がり、弱気の三角保ち合いを形成していましたが、ようやくブレイクアウトして出遅れ修正の動きを強めました。
【米国株概況】
来週のCPI、FOMCを前に様子見強まる、ハイテク株の上昇一服からバリュー株・中小型株への資金シフト
NYダウ 33573.28(+0.03%)[33,399~33,631]
S&P500 4283.85(+0.23%)[4,263~4,288]
NASDAQ 13276.42(+0.35%)[13,165~13,306]
ダウ輸送株 14024.8(+0.25%)[13,810~14,057]
半導体SOX 3488.3(+1.28%)[3,417~3,504]
日経平均先物(CME) 32,645(+0.69%)[31,930~32,705]
ドル/円 139.10~139.99(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.418%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.660%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 71.45(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1979.35(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.765(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)13.96(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 146.27(安値110.34:2022/11/3、高値158.30:6/1)
Fear&Greed指数 74(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.64(安値70.30:10/13)
米国市場は5日のISM非製造業指数が下振れしたほか当局が米大手銀行に対する資本規制強化を検討しているとの話から警戒売りを誘いましたが、昨日は買い戻されて主要株式3指数はそろって反発しました。新規材料難から様子見ムードが強く、来週のFOMCを前に5月CPI(消費者物価指数)発表を控えていることもあって株式・債券市場ともにイベント待ちの様相となっています。
市場では6月FOMCでは利上げ見送り、7月利上げ再開の見方が織り込まれていますが、5月CPIのインフレ動向次第では6月利上げもあり得るという可能性も捨てきれず、米FRBメンバーがブラックアウト期間に入っているため金利市場でも米債利回りが2年債で多少上昇しつつも基本は様子見という状況です。
株式市場では前日に売られた金融株が買い直されて銀行セクターが大幅反発、とくに地銀株が5%超と急伸したほか中小型株で構成されるラッセル2000が6/2に続いて+2%超の大幅高となっています。ビッグテック株の上昇一服からS&P500に代表される指数は上値追い期待に減衰傾向が窺えるものの、VIX指数などリスク指標は低下してFEAR&GREED指数も上限のEXTREMEGREEDレベルに接近してきました。
足元ではハイテク株偏重の相場からシクリカルバリュー株の見直しで資金シフトがみられており、世界景気動向において米国と並んで注目される中国では国有銀行に預金金利引き下げを要請して景気押し上げを図ったことが支援材料となっています。米中の景気悪化懸念が緩和したことによって投資家心理は改善し、出遅れ感の強い景気敏感株を中心に底堅い推移が見込まれます。とくに来週の5月CPI、6月FOMCまでは積極的な売買は手控えられ、大型株の動きが鈍い分を中小型株の物色で幕間つなぎの相場が続くと言えるでしょう。
【日本株投資戦略】
SQ週の波乱警戒は無難通過か、景気敏感株見直しと政府の新たな成長戦略の期待買い続く
日本市場は米国株の持ち直しに加えて中国の景気懸念後退を手がかりに、景気敏感株の出遅れ修正が続くとみられます。直近では前回も取り上げた国会会期末を前に重要法案の成立や政府の新たな成長戦略を打ち出す動きが相次いでおり、関連するテーマ株などを物色する動きも強まっています。
幅広い事業を展開する大型株にはあらゆる方面で設備投資を加速させる動きがみられており、半導体やデジタル分野では官民連携で投資を促進する取り組みも株高の支援材料になるとみられます。昨日のように売られる場面があっても、すかさず押し目買いが入って日経・TOPIXともに平成バブル後高値を更新したことからも投資家の買い意欲の強さが十分感じられる相場です。
今週末に控えたメジャーSQに向けて昨日、本日と週央は波乱含みとなることも想定されましたが、それらの売り物をことごとく吸収してなお上昇したことは改めて今の相場と地合いの良さを証明したと言えるでしょう。買い方の圧倒的優位から売り手は撤退を余儀なくされてショートスクイーズも起きやすいと言える状況ですので、このまま6月SQは高値形成の可能性が強まったとみてよいかと思います。
日本株は外部環境の影響を受けやすいと言われますが、この4月以降は誰の目からも明らかな独歩高状態が続いており、波乱はむしろ国内要因で持ち込まれるかどうかという状況となっています。週末のSQ通過後は来週の米国における金融政策、経済指標や中国の経済指標などが注目されるとみられますが、それ以上に15・16日の日銀金融政策決定会合が重要視されることでしょう。米FOMCをうけて日銀が政策修正に動く可能性は今のところ現状維持とみられますが、植田日銀総裁のトーンは少しずつ変わり始めていることも窺えます。基本は強気維持で上げに浮かれず、下げに怯えずのスタンスで上昇相場についていくことが大事でしょう。
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