【5/30日本市場の確認ポイント】
日経平均 31328.16(+0.30%)[31,064~31,374]
TOPIX   2159.22(▲0.07%)[2,143~2,162]
マザーズ 747.61(+1.93%)[730~748]

値上がりセクターTOP5
1.鉄鋼(+1.45%)
2.精密機器(+0.87%)
3.その他製品(+0.76%)
4.輸送用機器(+0.68%)
5.電気・ガス(+0.64%)

値下がりセクターTOP5
1.保険(▲1.37%)
2.金属製品(▲1.33%)
3.水産・農林(▲1.27%)
4.サービス(▲0.83%)
5.陸運(▲0.81%)

 日本市場は29日ザラ場で日経平均31,560円の高値を記録した後、為替ドル円も上昇一服となり、円安株高の流れに歯止めがかかりました。昨日の前場時点で日経平均は高値から▲500円幅で調整が入った一方、後場からは持ち直して終値ベースでの平成バブル後最高値を更新しました。

 引き続き半導体相場が市場全体をけん引しており、アドバンテスト(6857)は年初来高値をさらに更新。ただその一方、半導体の主力株には利益確定売りに押されるものが散見され、代わりに関連銘柄で中小型株を物色する動きが広がっています。半導体以外のところでは、ファーストリテイリング(9983)やファナック(6954)など前日売られた値がさ株が切り返し日経平均を押し上げ。全体は東証プライムの騰落銘柄数は値上がり574/値下がり1197と値下がり銘柄優勢、TOPIXもマイナスで終わりましたが、半導体株の利食い資金が他のセクターに回り始め、全体としての底堅さを再確認する一日となりました。

 とりわけ3月以来の安値水準となっていたマザーズ指数が大きく切り返し+2%弱の大幅高、まだ大型株優位の状況は続いているものの、下値模索の動きから持ち直したことはひとまず投資家心理の改善に寄与するものと思われます。セクター別には景気敏感株を代表する鉄鋼株が値上がりトップ、証券会社のレーティングが引き上げられたことが刺激材料となっています。

【米国株概況】
米債務上限問題の議会通過難航も市場では楽観的な見方、半導体株中心に高安まちまちでイベント通過待ちに

NYダウ 33042.78(▲0.15%)[32,893~33,132]
S&P500 4205.52(+0.00%)[4,192~4,231]
NASDAQ 13017.43(+0.32%)[12,968~13,154]
ダウ輸送株 13965.6(+0.45%)[13,848~14,021]
半導体SOX 3549.4(+0.11%)[3,537~3,643]
日経平均先物(CME) 31,145(▲0.75%)[31,060~31,690]
ドル/円 139.57~140.92(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.430%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.692%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 69.54(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1977.70(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.660(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)17.46(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 145.14(安値110.34:11/3、高値145.51:2022/4/1)
Fear&Greed指数 65(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.34(安値70.30:10/13)

 3連休明けとなった米国市場は、引き続き半導体株ブームの火付け役となったエヌビディアが大きく買われ、一時、時価総額1兆ドルを超える場面があって盛り上がりましたが、足元の米債務上限問題に対する懸念が重しとなる中、上昇幅を縮小して終値では1兆ドル超えとはなりませんでした。

 米債務上限問題をめぐっては31日に米議会採決を控えてバイデン米大統領、マッカーシー下院議長がそれぞれ米民主党、米共和党に合意案への支持を訴えていますが、一部の強硬派が反対姿勢を崩しておらず予定通りに議決できるかはなお不透明な状況となっています。

 しかし、市場では米国債のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)が低下して楽観的な見方が広がっており、米国債の利回りも短期・長期ともに先週末時点と比べて低下しています。こうした金利低下も足元のハイテク株買いを支援する形となっており、市場関係者の間では揺れている米債務上限問題の行方に関しても、仮に最初の採決が失敗したとしても6/5期限までには合意するだろうとの見立てで、そこに収益機会を見出しています。

 他方、商品市場では米ドルの軟化をうけて金価格が持ち直しの動きをみせている一方、原油価格が今週末のOPECプラス会合を控えて供給量の見通しに不透明感があるとして急落。資本市場全体で見た場合、米債務上限問題をめぐってのリスク警戒より週末の米雇用統計など経済指標やOPECプラス会合、再来週のFOMCなど次のイベントへの目配せも必要になっているとみられます。

 ひとまず、米国市場では先週のエヌビディアや今晩のセールスフォースなどで企業の決算発表が一巡となり、全体でみれば市場が想定していたよりもだいぶマシだったというのが総括になるかと思いますので、企業業績悪化懸念を反映した米景気後退への警戒感なども緩和し、6月FOMCは利上げしても問題ないという雰囲気が醸成されてくるものと考えます。

【日本株投資戦略】
月末ファンドリバランスに伴い半導体株偏重の物色傾向に転換も、6月はセクターローテーションと為替の動向に要注目

 日本市場は半導体株や商社株などが中心となって指数上昇が目立つ状況で、一部の大型株や特定の業種への偏重が鮮明なやや歪な相場となっています。ですから、投資家の見ている銘柄や業種によって強弱感が分かれるものと思われる反面、こうした二極化した景色を強いものだけ、あるいは弱いものだけに焦点を当ててしまいますと全体の方向感を見誤りがちです。

 本日は月末リバランスに伴い上述したような歪なポートフォリオを調整する動きが生じるものと思われ、さらに週末から来週にかけては米雇用統計や米債務上限問題のデッドラインといったイベントが控えておりますので、しばらくは上値を試す動きも抑制されます。ただ、その間に株式市場ではセクターローテーションで一部に偏った資金が循環していくようになると思われます。

 それと同時に、米債務上限問題が片付けば改めて米国債を購入したい向きが6月FOMC利上げに照準を合わせているはずですので、日本株においても米金利の上昇と来る日銀金融政策決定会合に向けて、金利上昇を意識したインフレトレードが再燃してくる可能性をみておくべきでしょう。

 昨日は政府・日銀・金融庁が会合を開いて、為替動向に適切に対応していくことを確認しており、日米の金融政策が決定した後で為替市場は当局介入の思惑が再び高まってくる事態も想定されます。足元のファンダメンタルズではドル高円安のトレンドが継続するとみられる一方で、所々の中央銀行イベントなどを通じて為替が大きく円高に振れてくるような場面も出てくるかもしれません。
財務省・金融庁・日銀3者会合 為替変動「適切に対応」(2023/5/30)

 とくにこの5月は円安・株高でグローバルファンドのポートフォリオは大きく偏重している状況とみられ、株・債券・為替など国際マクロレベルで動かしているファンドマネージャーは5月末のリバランスをきっかけに6月はポジションを調整してくるものと考えられます。とくに分散投資のバランス型ファンドなどにその傾向が強まるとみられ、日本株においても円安恩恵の大きい外需株から一旦、円高警戒の内需株への資金シフトが目立つようになってくるかもしれません。

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