【5/25日本市場の確認ポイント】
日経平均 30801.13(+0.39%)[30,558~30,889]
TOPIX   2146.15(▲0.29%)[2,139~2,154]
マザーズ 736.97(▲1.22%)[734~747]

値上がりセクターTOP5
1.電気機器(+0.97%)
2.金属製品(+0.80%)
3.ガラス・土石(+0.43%)
4.精密機器(+0.30%)
5.鉱業(+0.28%)

値下がりセクターTOP5
1.海運(▲2.05%)
2.銀行(▲1.38%)
3.保険(▲1.32%)
4.陸運(▲1.25%)
5.繊維(▲1.21%)

 日本市場は欧米株安をうけて3日続落の商状でスタートしましたが、米半導体大手エヌビディアが決算で時間外に急騰している状況に日本の半導体株も刺激され軒並み大幅反発。アドバンテスト(6857)の一時20%急騰を筆頭に、東京エレクトロン(8035)やSCREENHD(7735)、SUMCO(3436)など関連株が大幅高となって日経平均をプラス圏に押し上げました。

 半導体製造につながる素材系の関連株にも好影響が波及しましたが、それ以外のグロース株には強い売り圧力がかかっており、第一三共(4568)やエムスリー(2413)などが大幅安。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり726/値下がり1010と値下がり銘柄が優勢で、TOPIXはほぼマイナス圏で推移しました。

 セクター別には海運や非鉄金属、銀行や保険など金融株、鉄道株などバリュー系が値下がりの上位を占めて物色の強弱感が鮮明となっています。中小型株でも半導体関連銘柄が大きく買われていますが、規模別指数では直近の大型株偏重の傾向がやや変化し小型株がアウトパフォームしました。ただしマザーズ指数は▲1.2%安と沈んでおり、おそらく新興市場を主戦場とする個人投資家には向かい風の状況が続いていると言えるでしょう。

【米国株概況】
半導体エヌビディアの決算好感で関連株が軒並み大幅高、NYダウ5日続落もナスダックは大幅反発、半導体SOXは6.8%高と急騰

NYダウ 32764.65(▲0.11%)[32,586~32,870]
S&P500 4151.28(+0.88%)[4,129~4,165]
NASDAQ 12698.09(+1.71%)[12,604~12,736]
ダウ輸送株 13797.2(+0.74%)[13,689~13,840]
半導体SOX 3336.7(+6.81%)[3,238~3,347]
日経平均先物(CME) 31,100(+0.88%)[30,510~31,105]
ドル/円 138.81~140.22(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.428%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.822%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 71.81(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 1941.15(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.593(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)19.14(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 140.73(安値110.34:11/3、高値145.51:2022/4/1)
Fear&Greed指数 63(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)73.57(安値70.30:10/13)

 米国市場は欧州株の続落もあってNYダウが5連敗と沈むも、決算発表した半導体大手エヌビディアが+24%と急騰し、他の半導体株も大いに刺激してナスダックは+1.7%と反発しました。主力どころではマイクロソフトが+3.8%とアルファベットも+2.1%と上昇が目立ち、ハイテク株の上昇とそれ以外のエネルギー株や消費関連株、公益やヘルスケアなどのディフェンシブ株の軟調で物色の強弱コントラストが鮮明となっています。

 他の半導体関連株では、アドバンスト・マイクロ・デバイセズも+11%超と急騰したほか、ブロードコムが+7%、マイクロンが+4.6%、アプライドマテリアルズが+7%、ラムリサーチが+6%と軒並み大幅高、その一方で競合するインテルは▲5.5%と明暗がくっきりと分かれた格好になっています。

 大きな流れとしては依然として米債務上限問題がぐだぐだと協議が間延びしており、昨晩は与野党指導部で歩み寄りがあった模様ですが、それでもなお合意には至りませんでした。米政治の不透明感をうけて格付会社のフィッチがとうとう米国の外貨建て長期債格付けのアウトルックを「ネガティブ」に引き下げ、直近ではムーディーズも交渉状況次第で格付け見通しの変更を示唆しています。これはいずれ格下げがあって、国際機関の口出しなどがあるまでが1セットと思われる話ですが、市場にはじわじわと警戒感が滲み出してきています。

 米債市場では金利が上昇した一方、金価格は下落しており、この米債務上限問題がなければ半導体市況の底入れから景気回復期待と足元の米FRBによる6月FOMC利上げ見送り期待でリスクオンというところかと思いますが、米政治のゴタゴタによる不透明感が重しとなって市場参加者を尻込みさせています。

 気持ちよくスッキリと株高という状況になるには、ひとまずこの米債務上限問題で関門とされる6月上旬のXデーを乗り越える必要があるとみられ、おそらくあと1~2週間はモヤモヤした展開が続けられるものと思われます。ただし、市場にボラティリティをもたらすという意味では3月の米銀行破綻騒動と同じ類のもので、最終的に米国デフォルト回避の算段がつく頃には市場の地合いも改善して株価もV字回復を見せるようになる話だと思われます。

【日本株投資戦略】
米半導体株に刺激されて国内半導体株も急動意、海外勢の日本株大量買い継続で景気敏感株の持ち直しにも期待

 日本市場は昨日の半導体株高騰が相場を牽引する形となって持ち直し、日経平均が3日続落でチャートもやや崩れかけたところに救世主が表れた感じになっています。しかし、これを演出したのは米エヌビディアと海外投資家の大幅買い越しという事実で、日本勢としては寂しいところではありますが、海外勢は今年に入り現物・先物あわせれば累計6兆円ほど買い越しになってきています。これはかつてのアベノミクスを上回るペースで日本株を買い込んできていると言っても過言ではありません。

 値動きが良いのに目を奪われて半導体株の材料が起爆剤になっているとみられがちですが、その他の日本株についてもしっかりと買い込んでいるのが海外勢です。これは直近の欧米市場が軟調な中でも日本株が選好されてきたという事実と照らし合わせますと、海外勢の立場からすれば欧米株の比重を落としながら日本株の比重を上げてきており、いわば乗り換えをしていることになるでしょう。
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 指数主導の相場にも一役買ってきた半導体株の大幅高は、景気循環の順番から言っても先頭を引っ張るという特徴があります。半導体市況は今夏に底入れして今年後半には回復へ向かうとの期待が先行した形であるかと思いますが、それは他の業種にも影響が及んでくる話で、景気敏感株は付加価値の高いものから順番に、産業の川下から川上の方へと市場でも物色のローテーションが繰り広げられるようになっていきます。

 国際マクロの外部環境はまだ混乱が続きそうですので、ひとまず上述した米債務上限問題が収束とはいかずとも一区切りついてくるだけでも相場全体の重しが解消するようになると思われます。セクターによってはまだ下値確認が済んでいないものもありますので、あと1~2週間のうちに底入れが完了してくれば、景気敏感株の持ち直しも期待できるようになってくるでしょう。

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