【5/9日本市場の確認ポイント】
日経平均 29242.82(+1.01%)[29,020~29,262]
TOPIX   2097.55(+1.27%)[2,076~2,097]
マザーズ 760.64(+0.73%)[755~764]

値上がりセクターTOP5
1.鉄鋼(+6.12%)
2.卸売(+2.68%)
3.輸送用機器(+2.38%)
4.保険(+1.95%)
5.電気・ガス(+1.77%)

値下がりセクターTOP5
1.空運(▲0.54%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

 日本市場は大型連休前の高値にトライ、日経平均は半導体株のアドバンテスト(6857)や東京エレクトロン(8035)が上昇を牽引。また、TOPIXはトヨタ(7203)をはじめ商社や鉄鋼、海運大手の一角である川崎汽船(9107)などが大幅高して年初来高値を更新しました。

 企業決算を手がかりとした物色も本格化し、東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1497/値下がり288と値上がり銘柄が圧倒しました。バリュー株を代表する鉄鋼株や商社株の急伸が日本株全体を刺激した他、米国ではナスダックが年初来高値を更新したことなどから半導体株およびグロース株の一角が大幅高する動きにもつながりました。

 一方で決算ミスで急落する銘柄も目立ち、失望売りの東邦チタニウム(5727)は▲20%暴落と際立ち、同業の大阪チタニウム(5726)も決算を発表する前に▲11%と売り込まれるなど、決算材料をめぐっては連想買いだけでなく連想売りも激しい模様。主力株の決算で悲喜こもごもの様相の中、中小型株の指数も高値更新し新興マザーズも3日続伸と強気の物色姿勢が目立っています。

【米国株概況】
金融不安がくすぶりインフレ指標や債務上限問題の行方注視で様子見、警戒感から金は再び高値圏へ

NYダウ 33561.81(▲0.17%)[33,509~33,656]
S&P500 4119.17(▲0.46%)[4,116~4,130]
NASDAQ 12179.55(▲0.63%)[12,174~12,216]
ダウ輸送株 13958.3(▲0.41%)[13,845~14,023]
半導体SOX 2967.8(▲1.87%)[2,960~2,983]
日経平均先物(CME) 29,225(▲0.05%)[29,015~29,270]
ドル/円 134.71~135.35(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.421%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.522%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 73.46(高値123.68:2022/6/14、安値63.70:5/3)
金先物 2041.85(高値2,068:5/4、安値1,622:9/28)
銅先物 3.9040(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)17.71(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 133.88(安値110.34:11/3、高値145.51:2022/4/1)
Fear&Greed指数 61(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.36(安値70.30:10/13)

 米国市場は米地銀をめぐる金融不安が重しとなる中、10日の4月米CPI(消費者物価指数)公表やバイデン米大統領と米共和党マッカーシー下院議長との間で行われた米債務上限問題の行方を見守る警戒感から様子見姿勢が強まっています。一方で金先物は騰勢を強め、再び最高値更新を窺う動きとなっています。

 足元で戻り高値を更新したナスダックも上昇一服で、決算発表した米決済大手ペイパルのガイダンス失望売りや半導体のインテル、クアルコム、エヌビディアといった面々が反落しSOX指数は再び3000ptを割り込む動きとなりました。一方、NYダウはボーイングやセールスフォースといった採用銘柄が上昇して比較的下げ渋っています。

 市場が注視している議会指導部による債務上限を巡る協議は、お互いの主張が平行線をたどった末に次回12日に再協議することを設定。イエレン米財務長官は米債務上限問題が解決されなければ深刻な危機に見舞われると警戒心を露わにしながら米議会およびバイデン米大統領に決断を呼びかけています。これを受けて米債市場では短期債が売られる一方、債券王の異名をもつビル・グロス氏が短期物のトレジャリー・ビルの買いを推奨するとともに米債務上限問題が解決されることを見込んでいます。
米大統領、債務上限巡り共和党指導部と協議 主張平行線(2023/5/10)
ビル・グロース氏、Tビル買い推奨-米債務上限問題の解決見込む(2023/5/9)

 米国株は引き続き金融不安や米債務上限問題をめぐる警戒心を抱きながら、売り方の動向次第ではもう一段の買い戻し相場もありそうですが、買い手としては積極的に手がけづらい状況が続くとみられます。5月中旬は不透明感から様子見姿勢が継続すると思われ、米債務上限問題の期限が迫り相場が荒れやすくなる下旬の買い場を探るスタンスが望ましいのではないでしょうか。

【日本株投資戦略】
決算相場も大詰めを迎えてくる中どこまで上値を試せるか、海外勢は4月を通して大量買い越し

 日本市場は企業決算が相次いで売買も活況となる中、TOPIXは年初来高値を更新しました。昨日はほぼ全面高商状で大型・小型あるいはバリュー株、グロース株問わず幅広く買いが入る中で景気敏感株を代表する鉄鋼株や商社株などに強い動きがみられました。

 大型連休をはさんで様子見姿勢の投資家も目を醒ますようなド派手な動きもみられ、改めて日本株への投資機運が高まっています。とくに注目される海外投資家の動向では4月第4週も買い越しで、終わってみれば4月を通して大幅な買い越しとなりました。

 指数の最高値圏から警戒感も意識される中で日経平均の騰落レシオは再び140pt台をつけてきましたが、決算期待の継続から日本株は全体でならすと物色材料には事欠かない状況が続くとみられます。とくに、足元の決算シーズンを通して1-3月期の景気回復の遅れを懸念した悪材料もさほどの売り圧力とはならず、先行きのガイダンスを保守的にみる企業もすんなり出直ってくるなど底堅さが確認されています。

 外部環境では米経済指標や米債務上限問題の行方など不透明感もある中、国内はとにかく企業の決算でファンダメンタルの確認作業に夢中と言えます。休み明けの投資家も昨日の大幅高に刺激されて触手を伸ばしやすくなってくるかと思いますので、今週末のSQまでの間にどれだけ上値を試せるかが焦点になるものとみられます。

 取り組みに関しては前回と同様にポジション保有されている方は利益確定に適した短期天井を探る場面、ポジションを保有しない投資家は決算材料を見極めながら買い場を探りたい場面かと思われます。主力株の決算発表では本日のトヨタ(7203)ザラ場決算を含めて明日には一巡となってきます。中小型株は12日、15日と集中してきますが、上昇モメンタムは徐々に息切れしてくるものとみられますので、週後半は無理する必要はないでしょう。

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