【4/28日本市場の確認ポイント】
日経平均 28856.44(+1.40%)[28,499~28,879]
TOPIX   2057.48(+1.23%)[2,038~2,057]
マザーズ 745.24(+1.01%)[738~746]

値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+2.91%)
2.機械(+2.23%)
3.輸送用機器(+2.19%)
4.倉庫・運輸(+2.05%)
5.保険(+2.04%)

値下がりセクターTOP5
1.銀行(▲0.28%)
2.なし
3.なし
4.なし
5.なし

 日本市場は大幅続伸で日経平均は年初来高値を更新、TOPIXも3/9以来となる戻り高値を更新しています。東証プライムの騰落銘柄数は値上がり1659/値下がり155とほぼ全面高商状になり、とくに注目された日銀金融政策決定会合後の後場は一段高しほぼ高値引けで4月の取引を締めくくりました。

 日銀会合の金融緩和政策維持を受けて金利は低下、為替は円安に傾斜したことで自動車関連株やエレクトロニクス株が強く買われたほか、低金利政策を好感した不動産株も大幅高。決算材料で関西電力(9503)はじめ電力・ガスセクターが広範に買われ、キッコーマン(2801)などの食品株も急伸しました。

 一方、日銀材料が逆風と捉えられた銀行株が下落、メガバンクはじめ地銀株も荒い値動きとなりました。また、決算材料でアドバンテスト(6857)や信越化学(4063)など前期好調も今期のガイダンスにおける懸念が重しとなった半導体関連株が撃沈し、決算発表前のレーザーテック(6920)などにも強い売り圧力が波及しました。他に、キーエンス(6861)や日立(6501)など主力どころの一角も今期不透明感から売られる場面が目立ち、そうは言っても売られ過ぎとの見方から押し目買いも入るなど売り買いが交錯しました。新興市場も足元の軟調が続いていますが、全体が強含みとなった後場は一緒に買われており、決算ラッシュ前の調整売り圧力はやや緩和してきたものとみられます。

【米国株概況】
景気悪化懸念を織り込みながら反騰攻勢に転じた米国株、ショートカバーの勢いでどこまで戻りを試せるか米FOMC後の動きに要注目

NYダウ 34098.16(+0.80%)[33,728~34,104]
S&P500 4169.48(+0.83%)[4,127~4,170]
NASDAQ 12226.58(+0.69%)[12,082~12,227]
ダウ輸送株 14021.9(+1.62%)[13,805~14,099]
半導体SOX 2995.0(+1.81%)[2,945~2,995]
日経平均先物(CME) 29,065(+0.68%)[28,490~29,095]
ドル/円 133.60~136.54(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.375%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.433%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 76.62(高値123.68:6/14、安値64.12:3/20)
金先物 1997.25(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.8875(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)15.78(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 138.44(安値110.34:11/3、高値137.12:4/18)
Fear&Greed指数 60(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.36(安値70.30:10/13)

 米国市場は引き続き米地銀株に対する金融不安が重しとなるも、景気悪化懸念に対する過度な警戒感は緩和して買い戻し主導で続伸。決算材料でアマゾンが▲4%近い下落となりハイテク株主体のナスダックを押し下げる場面があったものの、先行きの市況悪化懸念が強まっていた半導体インテルが+4%と急伸し景気悪化懸念の緩和につながりました。

 また、米経済指標では3月PCE価格指数が発表され、変動の大きい食品、エネルギーを除くコア指数が前年比+4.6%と引き続きインフレ長期化との見方が優勢に、目前に迫った5月FOMCでは0.25%利上げが決定されるとの市場織り込みは8割超となりました。加えて4月シカゴ地区購買部協会景気指数は48.6と予想の43.5を大幅に上回ったことも追加利上げを正当化するものであると同時に、足元の景気悪化懸念よりもインフレ抑制が必要であるとの金融当局の考えを後押しするものとなりました。

 その一方、債券市場では5月FOMCでの追加利上げ観測を織り込み済みであるほか、むしろ足元の金融不安を受けたこの先のガイダンスにこそ注目しており、6月FOMCおよびその後の利上げアクションは消極的なものにならざるを得ないとの観測から米金利は低下。株式市場と債券市場では見ている時間軸が明確に異なっている様子が窺えます。

 株式市場では景気悪化懸念を強く反映したダウ輸送株が反転上昇し、同様に市況悪化が懸念された半導体SOX指数も再び3000pt近くまで戻してきています。米企業決算を受けてある程度は景気悪化懸念を織り込んだ上で、過度に警戒された売りポジションが巻き戻されたことによって株価上昇といった動きにつながっています。

 目先、米FOMCのパウエル米FRB議長の発言に注目が集まりますが、おそらく米景気に対する見方では変に踏み込むことなく米FRBは淡々と物価安定のための利上げ継続方針について説明するにとどまるとみられ、ある程度市場の自走に任せるものと思われます。ただ、市場では需給面における買い戻しが一巡してしまえば推進力を失うものと考えられますので、戻り一服後は再び警戒心を強めていく必要があるかと思います。

【日本株投資戦略】
GW入りの日本市場は強気相場の中で売買交錯、大型連休前のポジション調整圧力にはやや警戒を

 日本市場はゴールデンウィークの大型連休前にもかかわらず日銀会合を通過して一段高、商いも伴っての大幅高の動きから上値追いムードが高まっています。ここからさらに米FOMCもこなす必要があるものの、米景気悪化懸念をひとまず織り込んで上昇した米国株高を好感し、これまで低迷してきた景気敏感株を見直す動きが強まるかが注目されます。

 日本企業の決算シーズンは主力株がピークを迎えてくるところで、足元では決算材料に伴い値動きが荒くなる銘柄が続出していますが、発表直後に一旦売られた銘柄などの動きをよく観察すれば押し目買いがすかさず入ってきていることなどが分かるかと思います。つまり、景気懸念が市場を覆う中で企業のガイダンスなども日本企業の場合、保守的に見積もって提示されることが慣例のようになっていますので、どうせ後から業績を上方修正してくることを見越して安い時に買っておきたいという投資家の先回り買いが入っているとみるべきでしょう。

 投資家によってそれぞれ取り組みの時間軸が異なるでしょうから一概にはなんとも言い難いですが、日銀会合を経て日本のインフレ圧力がしばらく強まっていくことを勘案すれば、金融・財政の支援から日本株のトレンドはさらに強まっていくことは明らかでしょう。目先はゴールデンウィークにちなんだ日本市場が休場をはさみますので、連休中に起こる突発的なリスクやそれを回避したい投資家の手仕舞い売りなどが需給面での重しになるかと思われますが、上述したように決算通過後の押し目買いに積極的な投資家も多いと見受けられます。

 したがって、短期的には相場の過熱感も意識されるところに慌てて飛び乗る必要性は薄いかもしれませんが、大型連休と前後して不用意に売られ過ぎてしまう場面は意外にも安く拾えるチャンスが溢れていると言えるかもしれません。とくに日米の金融当局および欧州も含めて、金融政策を概ね市場観測どおりに動かしてくれている以上、世界の景気に対してもある程度共通の認識をもってバランスをとってくるはずです。

 市場が企業業績すなわちファンダメンタルデータのみを重視して、日本株の割安性よりも欧米株の割高感が意識されるのであれば、これまで過度に偏重してきたグローバルマネーの配分もリバランスされる動きが一層強まることになるでしょう。とくに米国市場では先行きへの懸念が強まるほどに強弱感が鮮明でハイテク大手への資金偏重が強まっており、これはS&PはじめNYダウ、ナスダックなどの指数はテックジャイアントの株価動向に左右される部分が大きくなり不安定さが増しているということです。米国株のバリュエーションに割高感が出れば当然こうした銘柄群の動きにとって重しとなり、相対的に日本株の評価余地が高まってくることを意味していると言えるかと思います。
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