【4/21日本市場の確認ポイント】
日経平均 28564.37(▲0.33%)[28,527~28,778]
TOPIX   2035.06(▲0.23%)[2,031~2,045]
マザーズ 752.88(▲1.74%)[750~764]

値上がりセクターTOP5
1.電気・ガス(+2.10%)
2.機械(+0.79%)
3.食料品(+0.40%)
4.化学(+0.35%)
5.倉庫・運輸(+0.33%)

値下がりセクターTOP5
1.銀行(▲1.79%)
2.保険(▲1.44%)
3.鉱業(▲1.31%)
4.精密機器(▲1.14%)
5.輸送用機器(▲0.91%)

 日本市場は上昇を引っ張ってきた内需株物色が一服、日経寄与度の大きいファーストリテイリング(9983)が下落して指数も上値が重い展開でした。ただ、欧米の半導体企業や国内でもディスコ(6146)が決算好感で急伸するなど半導体関連株を見直す動きが広がり、日本市場における決算シーズンへの期待も高まりつつあると言えます。

 足元ではやはり景気悪化懸念から景気敏感株に対する警戒感が強まっている反面、市場特性として懸念が行き過ぎている場合には業績への影響がそれほどでもないと判れば買い戻し圧力が強まりやすい点も挙げられます。内需のディフェンシブ株物色に資金が向かったのもその影響の一つと言えるかと思いますが、国内決算では概ね業績懸念を払拭できる内容が相次ぐようですと、景気敏感株の持ち直しと内需好業績の追加買いで総花的に買われてくるようになる可能性があります。

 決算シーズン前で主力株がポジション調整している間に新興市場では材料株物色が活況でしたが、SNS上などで盛り上がりを見せた話題株がこぞって撃沈。材料株というより仕手株の相場に近いものが見受けられますが、売買代金で上位に食い込んでくる程に中小型株物色が活発なのは、局地戦は惨状でもリスクマネーの積極性は健在であることを物語っています。幕間つなぎの相場でも新興・小型株市場で売買活況であったことは今後の主力株決算でも投資家意欲が大いに刺激されることでしょう。

【米国株概況】
米企業決算で景気悪化懸念に対する不透明感は徐々に払拭、市場の見直し買いを誘う来週の米FOMCが次の焦点に

NYダウ 33808.96(+0.07%)[33,688~33,858]
S&P500 4133.52(+0.09%)[4,113~4,138]
NASDAQ 12072.46(+0.11%)[11,986~12,097]
ダウ輸送株 14413.6(▲0.23%)[14,317~14,539]
半導体SOX 3021.4(▲0.82%)[2,995~3,032]
日経平均先物(CME) 28,675(+0.40%)[28,485~28,780]
ドル/円 133.54~134.49(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.461%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.536%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 77.82(高値123.68:6/14、安値64.12:3/20)
金先物 1993.10(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 3.985(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)16.77(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 132.94(安値110.34:11/3、高値137.12:4/18)
Fear&Greed指数 65(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.99(安値70.30:10/13)

 米国市場は決算銘柄がまちまちの反応を見せつつも全体では小じっかりの展開、足元で景気減速懸念が燻る中で4月の製造業・サービス業PMIが発表されましたが、ともに市場予想を上回ったことで安心感につながりました。

 市場物色ではS&P500の11セクターは一般消費財、生活必需品、ヘルスケアなど6セクターが上昇し、素材、エネルギー、金融など5セクターが下落となり、依然としてディフェンシブ志向が強いとみられます。来週に決算を控えるハイテク大手の動向が鍵を握っていると見られる中、アマゾンがJPモルガンの投資判断「オーバーウエート」据え置きが好感されて大幅高するなど、米企業業績に対する懸念は和らいでいる面も見られます。

 政治的には対中投資制限などにより半導体企業への懸念が強まったりもしていますが、マスコミによって過度に誇張されている面もあり、関係企業の業績影響においてはそれほど悪化せず、見直し買いの入る余地が大きいとみることができます。著名投資家のウォーレン・バフェット氏なども台湾TSMC株を地政学的理由から短期で売り抜けたことなどが話題となりましたが、米国の外交姿勢をみる限りにおいては対中敵視政策ではこれ以上は必要以上に踏み込まない、あるいは踏み込めないものと思われます。

 地政学的緊張が今後も展開されるいくのはバイデン米政権中枢の動きからも明らかですが、対中敵視政策をめぐっては米共和党の方が過激寄りで、米債務上限問題など内政面での重要な政局争いも激化が予想されることから地政学リスクにかまけている余裕は無くなってきています。つまり、米国市場における懸案事項は景気悪化懸念や米FRBの利上げ政策などに焦点が絞られ、そうであるならば今週の主要企業決算である程度不透明感が払拭されるでしょう。

 来週の米FOMCにおいても5月利上げはほぼ織り込まれており、市場は6月追加利上げの有無と利上げ停止時期に対する金融当局の見解を知りたがるのだと思われ、米FRBは結局データ次第としながらも金融不安の波及的影響から一定の金融引き締め効果があることをガイダンスに含めることで利上げ停止を匂わせるようなことくらいはするかもしれません。市場にとっては終わりの見えないインフレとの闘いに少しでも緊張緩和を見出したい状況が続いてきましたので、この辺で金融当局からアメを与えられれば素直に好感するのではないかと思われます。

【日本株投資戦略】
年初来高値を更新した日本株の上値はどこまで伸びるか、植田日銀新体制の初手と日本企業決算が一段高を後押しする材料となるかに注目

 日経平均は前々週からの連騰こそ途切れたものの週間ではきっちりと続伸、年初来高値を更新してきました。米国市場などで景気悪化懸念が重しとなる場面などがみられていますが、相場は強弱感が交錯する中でも簡単に腰折れすることなく底堅く推移していると言って良いかと思います。

 国内でも企業の決算発表が本格化してくる上に、今週は日銀金融政策決定会合で植田日銀新体制の初手が注目されているだけに前半はそこまで物色が活発になることはないでしょう。しかし、29,000円手前での戻り売りもそれなりにこなして、あとはこの先の上値を買っていって良いものかどうかまだ確信が持てていないだけとみられます。

 上述のとおり年初来高値を更新した日経平均では昨年8月高値の29,222円が次のターゲットになるものの、需給面ではこの頃よりもだいぶ改善しており、29,000円台に乗せた後の反落を警戒するよりも一気呵成に節目の30,000円トライまで突き進んでいく可能性も十分あり得ます。

  そのためには需給のアヤだけでなくファンダメンタル面の改善がやはり必要になってくるわけですが、海外の景気悪化懸念および国内のアフターコロナ経済の立ち上がりが鈍い経済環境をほぼ乗り越えました。今回の決算シーズンでは2024.3期の見通しが最大の焦点になりますが、企業は慎重なガイダンスを発表するのは毎度の恒例行事としても、市場では余程のネガティブな利益予想とならなければ期待先行での買いが優勢になると見込んでいます。

 特に景気悪化懸念というからには景気敏感株が実勢以上に押し下げられている面があるように思いますし、これらのボトルネックになっているのは地政学リスクに絡むサプライチェーンの再構築プロセスにあります。これが新しい枠組みの下で進められている日本企業の製品供給元としての役割は以前にも増して重要視されることから、世界の交易条件悪化の中においても日本の景気敏感株は見直されやすくなると考えられます。

 つまり、日本企業が5月ガイダンスで慎重な見方を示そうとも、次回8月の1Q決算時期には業績予想の上方修正をどうせ出すことになるものと見込んでおり、株価としてそれを評価するのが5月なのか8月なのかの違いはあれど、遅かれ早かれファンダメンタルの改善は明らかになってくるものと考えています。おそらくマスコミや市場関係者の見通しなどはまだしばらく保守的な見方が続けられるかと思いますが、コロナ解放の5/8以降、そしてウクライナ戦争後のリスクフリーな市場環境を見据えた投資家は密かに動き出しているはずで、それを市場の動きから見出しやすいのがこの決算シーズンだと思います。

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