【4/20日本市場の確認ポイント】
日経平均 28657.57(+0.18%)[28,442~28,694]
TOPIX   2039.73(▲0.03%)[2,029~2,042]
マザーズ 766.20(+0.35%)[760~772]

値上がりセクターTOP5
1.紙・パルプ(+1.00%)
2.小売(+0.46%)
3.電気機器(+0.45%)
4.保険(+0.41%)
5.銀行(+0.37%)

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲0.85%)
2.海運(▲0.77%)
3.情報・通信(▲0.63%)
4.卸売(▲0.61%)
5.医薬品(▲0.55%)

 日本市場は朝方に軟調な寄付から日経平均は28,500円を下回って始まったものの半導体関連株を中心に持ち直し、ファーストリテイリング(9983)もやや買い戻されたことで日経平均が押し上げられました。TOPIXは相対的に戻りが鈍く、為替が円安に振れているものの自動車や海運、商社などの冴えない動きが目立ちました。

 景気悪化懸念が重しとなっている中で相対的に内需株が選好されやすく、訪日外国人客数の発表などを手がかりにインバウンド関連や旅行関連の物色が賑わい、百貨店はじめ小売業なども堅調。また、金融株が銀行、保険などが続伸の動きを見せ、建設株などもしっかり。一方で、半導体を除くグロース株の軟調が目立ち、電子部品や情報・通信、サービス、医薬品などが売られました。

 一方で、新興市場は直近IPO株物色の賑わいもあって売買は活況、マザーズ指数も戻り高値を更新してみせるなどしています。中には直近跳ねた銘柄などが反動で大きく売られるものも目につくものの、代わりにまた別の切り口から急騰する銘柄などが台頭してくるため、新興市場内での資金循環する勢いは衰えていないとみてよいでしょう。

【米国株概況】
米経済指標下振れに加えてテスラ決算での急落、米国株は忍耐の時期続くも過度な警戒よりピンチをチャンスに

NYダウ 33786.62(▲0.33%)[33,677~33,875]
S&P500 4129.79(▲0.60%)[4,114~4,148]
NASDAQ 12059.56(▲0.80%)[12,011~12,155]
ダウ輸送株 14446.7(+0.08%)[14,357~14,578]
半導体SOX 3046.3(▲0.01%)[3,015~3,090]
日経平均先物(CME) 28,605(▲0.16%)[28,440~28,695]
ドル/円 134.01~134.96(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.470%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:2022/3/6)
米10年債利回り 3.536%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:2022/3/7)
WTI原油 77.16(高値123.68:6/14、安値64.12:3/20)
金先物 2015.55(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.017(高値5.0395:2022/3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)17.17(高値37.79:2022/2/24)
SKEW指数 133.49(安値110.34:11/3、高値137.12:4/18)
Fear&Greed指数 64(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)74.76(安値70.30:10/13)

 米国市場は米企業の決算発表が本格化してくる中、4月のフィラデルフィア連銀業況指数などの経済指標が軒並み弱い結果が出てきたことで警戒感が強まり、また注目度の高いテスラが相次ぐ値下げ戦略の影響から大幅減益決算を発表して▲10%近い急落となったことからハイテク株売りを誘いました。

 NYダウは3日続落となりましたが、昨日の下げを主導したのはユナイテッドヘルスGで、その寄与度の大きさから1社で▲100ドル超も押し下げています。また、決算銘柄では上記のテスラのほか通信大手のAT&Tも▲10%超の急落が注目された一方、台湾のTSMC決算が市場予想を上回ったことに加えて同じく半導体大手のラム・リサーチが+8%近く上昇したことで、欧州半導体大手ASMLが直近売られても半導体SOXの下落は限定的です。

 米国も欧州も足元で総合インフレ鈍化の兆しがみられてもコアインフレ率の高止まりにより金融当局者はさらなる利上げが必要との認識で共通しており、市場の年内利下げ催促にも動じる気配はみられません。米企業決算も金融不安に絡めて信用収縮を懸念する声はあがっていますが、金融株には一部売られる銘柄が出ても概ね底堅く売りをこなしており、ファンダメンタル上での懸念が広がる事態には至っておりません。

 テスラの決算反応はこれまでの利益率に対して最近の大幅な値引き攻勢で強みが失われることへの懸念から、バリュエーション評価としては致し方ないと言え、それでもなお自動車株の中では割高な水準と言えます。しかし、中長期的にみればEV領域の先行者メリットを失いシェアを他の自動車メーカーに食い荒らされるよりはマシであるはずです。むしろ米国株にとってみればテスラの下落でも、ハイテク株には新たな競争領域としてAIの進化によってGAFAMなどが踏ん張るとみられ、指数の底堅さはある程度担保される部分もあるように思います。

 そうなると結局は実質金利との関係で株価を下支えすることはある程度可能で、金融当局の手腕にかかってくる部分です。当の金融当局者たちはインフレ退治の観点から米景気を抑制的に、一時的なテクニカル・リセッションはむしろ望んでいるフシがあり、市場やマスコミが警戒を煽るような部分は流動性供給でしのげると考えています。したがって、来週のハイテク大手決算を中心に米企業の決算シーズンおよび次回米FOMCで景気悪化シナリオを市場に織り込ませた後は、再び市場を押し上げる政策支援を打ち出してくることでしょう。

【日本株投資戦略】
海外勢による日本株の本気買いはこれから、日本企業の真の実力評価は為替円高の環境でこそ発揮されるようになる

 日経平均は連騰は途切れたものの順調に売り物を消化して高値圏を維持、ひと息入れたことによって短期的な過熱感を調整する形で上値期待が高まっているとみられます。足元では4/10~14の投資主体別の売買動向として日本株の上昇とともに海外勢による大幅買い越しが判明しており、とりわけ現物買いによる腰の入った買いが中心となっていることが窺えます。

 著名投資家であるウォーレン・バフェット氏の日本株買いに象徴されるように、グローバルリーダーが続々と来日して日本の国際上における役割や存在感の高まりが、そのまま海外マネーを再び日本市場に呼び込む原動力となっています。この日本再評価機運の高まりが、日本株を積極的にポートフォリオに組み込む機関投資家の動きを後押しするものとなります。

 とりわけ日本株のバリュエーション面でも為替の円安水準でも海外勢にとってみれば、日本株は非常にお買い得なわけであり実体経済においてもインバウンド消費の復活にとどまるものではありません。足元では金融政策上での違いから日本円の相対的な売り圧力をもたらしていますが、植田日銀新体制下においてはその構図が逆転してくるとともに日本の金利復活で好意的に日本円を選好する動きが強まってくることになります。

 為替の円高転換を悲観視する声は国内のアナリスト陣などからも日本企業の業績圧迫要因ととらえる向きは根強いですが、結局のところ日本は資源に乏しいエネルギー輸入国ですから産業構造上から言っても、円高によってエネルギーコストが抑えられれば十分に利益を出しやすくなると考えられます。むしろエネルギー戦争の環境に置かれている今の状況からすれば、国際競争力を高める上では円高の方が有利というのがこのインフレ時代の新常識になってくるかと思います。

 したがって、日米欧の金融当局は現行の政策維持を掲げながらも、政策修正の転換期が訪れることを念頭に置きながらこの4~6月期で適切なガイダンスができる時期をうかがっているとみられます。その際には当然グローバルマネーのリバランスが生じることから下振れ警戒が強まることも想定されますが、市場やマスコミが煽るほど心配する必要はないかと思われます。海外勢による日本株買いはこれから本格化してくるとみておくべきでしょう。

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