【4/18日本市場の確認ポイント】
日経平均 28658.83(+0.51%)[28,520~28,698]
TOPIX   2040.89(+0.69%)[2,031~2,043]
マザーズ 765.62(+1.32%)[756~767]

値上がりセクターTOP5
1.水産・農林(+1.53%)
2.その他製品(+1.49%)
3.情報・通信(+1.46%)
4.小売(+1.44%)
5.銀行(+1.35%)

値下がりセクターTOP5
1.鉱業(▲1.84%)
2.石油・石炭(▲0.50%)
3.非鉄金属(▲0.31%)
4.海運(▲0.08%)
5.ガラス・土石(▲0.05%)

 日本市場は8連騰で3/9につけた年初来高値に接近、金融不安を無かったものとして上値を試す段階に入っています。主力株は東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、レーザーテック(6920)など半導体関連株の軟調が目立つ一方で、内需株が総じて強く新高値銘柄数は4/3以来の200に迫る勢いで増加中。

 大型株は決算発表を控えて小動きとなりやすい一方、中小型株の値動きが改善しておりストップ高まで買われる銘柄も多数輩出。直近IPOのアイスペース(9348)が全市場の売買代金ランキング上位に顔を出して2ケタ上昇、公開価格254円に対してすでに9倍近くまで高騰しました。中小型株の活況から地合いの強さが窺えるものの、騰落レシオは足元で125ptとようやく過熱感も意識される水準で、従来の相場けん引役である半導体株や海運株が上昇一服しているためにさほど過熱感を伴わずに全体が押し上げられてきました。

 日経平均が上値を伸ばしている要因としてファーストリテイリング(9983)が高値圏を推移していることや、先物市場での売り方の買戻しが続いていることが挙げられますが、そろそろこれが一服してもおかしくない状況。しかし、押し目があればと待ち構えている投資家も多いとみられ、TOPIXなどを見比べてみれば3/9高値までもう一段の戻り余地を残しています。

【米国株概況】
米金利上昇でも崩れない米ハイテク株を裏で支えるQEマネー、決算本格化で景気悪化懸念を消化しつつ米FRBは追加利上げを目論む

NYダウ 33976.63(▲0.03%)[33,791~34,018]
S&P500 4154.87(+0.09%)[4,140~4,169]
NASDAQ 12153.41(▲0.04%)[12,110~12,245]
ダウ輸送株 14303.6(▲0.11%)[14,272~14,478]
半導体SOX 3077.7(+0.36%)[3,054~3,116]
日経平均先物(CME) 28,655(+0.02%)[28,520~28,760]
ドル/円 133.86~134.69(高値151.93:10/21、安値127.46:1/3)
日10年債利回り 0.470%(高値0.600%:1/12、安値0.131%:3/6)
米10年債利回り 3.578%(高値4.338%:10/21、安値1.668%:3/7)
WTI原油 80.89(高値123.68:6/14、安値70.25:12/12)
金先物 2017.65(高値2,085:3/8、安値1,622:9/28)
銅先物 4.090(高値5.0395:3/7、安値3.1322:7/15)
恐怖指数(VIX)16.83(高値37.79:2/24)
SKEW指数 137.12(安値110.34:11/3)
Fear&Greed指数 68(GREED:貪欲)
High Yield Bond (HYG)75.13(安値70.30:10/13)

 米国市場も3月の金融不安を乗り越えて上値を試す動きが続く中、米企業の決算シーズンが本格化しており反応はまちまちとなりつつも底堅い展開。米経済指標で懸念された景気悪化も、米企業の業績を確認しながら事前の警戒感が少しずつほぐされていってるような状況で、NYダウは34,000ドル付近で戻り売りとの攻防戦。

 5月米FOMC前に米FRBメンバーが金融政策に対する発言が控えられるブラックアウト期間入りが意識される中、金融市場では5月0.25%利上げの織り込みが着々と進んでいるほか、利上げ早期停止期待とそれを打ち消す米FRBメンバーの牽制が繰り広げられています。セントルイス連銀のブラード総裁は5月利上げに加え、あと2回分の追加利上げでFF金利5.5~5.75%水準まで引き上げることを支持し、米金利は短期債を中心に上昇、とくに3カ月物が5%台に到達して2007年以来の高値を再び更新してきました。

 高金利水準の中で逆風が意識されやすいハイテク株ですが、ナスダックは年初来高値圏でもみ合っており、ある意味底堅く推移しているとみられます。これには米FRBの利上げ継続方針とは別に、金融支援としてステルスQEとも言うべき流動性供給による市場ストレス緩和策が講じられている部分が大きいわけですが、まもなくその準備金が底をつきそうな状況に達してきています。

 米企業の決算が相次ぐ中で、米国株を高値圏に導いているのはハイテク大手である以上、これらが決算通過するまでの間はなんとか米FRBが相場を下支えしておきたいというのが市場参加者にとっても、金融当局者にとっても本音だろうと思われます。また、以前もお伝えしましたように米FRBは追加利上げを決定するまでは相場を腰折れさせるわけにはいかず、仮に今週末の米株オプションSQで波乱が生じたとしてもなんとか下振れを抑えようとするのだろうとみられます。

 米国株は個別の決算発表前ということもあって値動きがぎゅっと小さくなっており、商いとしては閑散とでも言うべき状況となっています。市場が上昇一服感から次の方向を探りたい意図もあるかもしれませんが、こうした動きの後には大きな値幅が出やすくなってきますので、米企業決算の一巡してくるタイミングや米FOMC通過後に向けた取り組みとしては、決算前に利益確定したものをすぐ買い付けるのではなく、市場が一息入れるのを待って押し目買いを狙っておくのがよいでしょう。

【日本株投資戦略】
日経平均8連騰に短期的な過熱感も意識され出す中、企業決算で更なる上値期待が広がる可能性も

 日経平均は4月SQの28,519円を明確に上抜けて一段高、今週の大きなヤマ場に差し掛かってくる中で3月に届かなかった29,000円の大台を目指す動きが続いています。足元で気をつけたいのは上述したとおり半導体株の軟調で、今週は半導体製造装置の世界的大手である台湾TSMCの決算が20日に控えています。

 3月の金融不安が市場を覆った際には、米ハイテク大手と同様にいち早く上値を伸ばしてきた市場のけん引役ですが、現在は世界の景気悪化懸念が燻る中で利益確定売りに押されています。ある意味、日本市場の過熱感がさほどでもないのはこのような景気敏感株の主力どころが冴えない展開となっていることによるもので、エース不在の中で全員野球、全員サッカーのようなチーム力でカバーし合う状況が今の日本株の実像とも言えます。

 ここから日本企業も決算シーズンが本格化してくる中では、チーム力とは言ってもさすがに業績における好不調の波による影響は避けられず、利益の出ない企業はこぼれ落ちてしまう可能性は否めません。しかし、業績相場は今の日本株にとってみれば追い風となるもので、日本のデフレ脱却で売上高は向上しているのはもちろん、利益面においてもコスト高を製品値上げによる価格転嫁を進めた動きが反映されて業績は改善に向かう企業が増加しているとみられます。

 今回の決算シーズンで日本企業のEPS(1株当たり利益)が改善されれば、多少割高であっても業績改善期待から上値を買い進む海外勢の動きを後押しするものにつながってきます。個人投資家も直近IPOやテーマ、材料株物色の活況で懐具合も温まっている面もあるかと思いますので、それこそ日経平均29,000円、30,000円といった大台達成に向かっては投資家の全員参加機運も高まっていくことでしょう。

 日本市場では選挙相場という側面もありつつ全体が押し上げられてきましたが、5月のG7サミットも迫りくる中で内需振興も一段と加速してくるファンダメンタル面の裏付けがある点が強みです。岸田政権も余勢をかって解散総選挙に踏み切るとの観測も浮上し始めている中で、大きな資金がうごめく日本には株式、不動産などに更なる投資マネーを呼び込む素地が整っていると言えるでしょう。

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